国連の正体

藤井厳喜さんが解説する、99%の日本人が知らない世界の裏側・・・。

国連の正体

 知人の中にも「国連に期待している。もっと世界平和に貢献して欲しい。」と言う人がいますが、現状ではそれが無理なことを告げても、私の説明力の無さなのでしょうがほとんど分かってもらえません。
 その人にぜひ本書をお貸ししたいと思うところですが、読んでくれるかな・・・。

 あとがきに書かれている、日本の対国連外交のあり方に関する藤井さんの次の提言、その通りだと思います。

 1 国連とその関連機関は、国益のための「情報戦」を行う場と割り切る。そして、それを実行しうる意志と能力を持った人間の戦闘チームを送り込む。
 2 予算は黙って出さない。問題がある場合は、厳密な監査を自ら行う。日本からの資金支出に際しては、日本からの改善要求を突きつけ、翌年までに具体的成果を出させる。
 3 それができない場合は、組織からの脱退も辞さない。
 4 アメリカが国連を脱退するなら、日本も一緒に脱退し、第二国連を創る。

 藤井厳喜さんの「国連の正体」 を紹介するために、以下に目次や目を留めた項目をコピペさせていただきます。
 興味が湧いて、他も読んでみたいと思ったら、本書を手にしていただければと思います。

国連の正体<99%の日本人が知らない世界の裏側> 藤井厳喜

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国連の正体/藤井厳喜
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目次

 はじめに 武漢ウィルス対策で腐敗ぶりが明らかになった国連とWHO

 プロローグ アメリカが国連の期間を脱退!――トランプの自国ファーストが始まった?
トランプは何のために大統領になったのか? 16  /  トランプと国連は相容れない? 18  /   トランプはなぜ、国際機関から脱退するのか? 22

 第1章 国連幻想――その誕生の遺伝子を知れば、正体が明らかになる
「国際平和の殿堂」国連という大いなる幻想 24  /  日本人が抱く国連像は、虚像である 25  /  国連を田舎の農協に譬えるのは間違っている 27  /  民主国家の一員として、国連の実態を知っておく 28  /  国連が持つ遺伝子 30  /  国連という名前には、意図的な誤訳が込められている 31  /  日本が戦った相手は「国連」だった 33  /  なぜ外務省は連合国を国連と言い替えたのか? 35  /  「連合国」という名前でいいじやないか 36  /  国連は反日組織として誕生した 39  /  宣戦布告が国連加盟の条件だった!? 43  /  敵国条項の存在 ―― 日本やドイツは今も国連の敵である 46  /  日本人の国連幻想はお笑い種でしかない 49  /  コラム 日本やドイツは、なぜ安保理理事国になれないのか? 50

 第2章 国連というシステム ―― 平和を守れない、蛮行を止められない
国連の中心機関、総会はただのおしゃべりフォーラムに過ぎない 56  /  事務総長はどれだけの権力を持っているのか? 59  /  国連は世界の外交の中心ではなく、世界政府でもない 69  /  日本人が抱く、三つの大きな国連幻想 72  /  国連は平和を守れない、戦争を止めることもできない 76  /  北朝鮮の拉致問題に無力だった国連 77  /  北朝鮮のミサイルにも国連は何もできない 81  /  国際法を無視するチャイナを国連は止められない 82  /  独立国だったチペットに侵攻したチャイナの蛮行 86  /  救いを求めたチペットに国連は何をしたか 88  /  チベット侵略は過去ではない、現在進行形の弾圧である 93  /  絶望して焼身自殺をする僧侶、若者たち 95  /  ウイグル人をテロリスト扱いして人権弾圧を強める 98  /  狙いは民族殲滅! ウイグル人居住地域で核実験を繰り返す 99  /  人権問題と侵略は分けて考えなければならない 101  /  チベット・ウイグルの運命は対岸の火事か ―― 尖閣諸島をチャイナが侵略する日 ―― 103  /  コラム 愛国者の島だった沖縄は、なぜ反日の島になってしまったのか? 105 国連の平和維持活動がカンボジアではうまくいった理由 108  /  カンボジアの和平に日本は大きな貢献をした 112  /  国連が防ぐことのできた戦争、侵略は一つもない 116  /  国連は、peaceがなければkeepすることはできない 117

 第3章 腐敗する国連 ―― 国際高級官僚という名の寄生虫の巣窟
贅沢をするために国連職員になる人々 120  /  国連を目指す日本人にありかちな“おめでたい”思考 122  /  コラム カラー写真満載の豪華なパンフレット「タマゴ基準」 127  /  崇高な使命どころか、腐敗を極めたUNESCO 130  /  UNESCOを私物化した事務局長そのやりたい放題 132  /  アメリカのレーガン政権がUNESCOと鋭く対立 134  /  アメリカのUNESCO脱退は勇気ある行動だった 138  /  我々の血税が浪費されるのを黙っていていいのか 140  /  アメリカの愛国者は国連を大いに嫌っている 142  /  武漢ウィルスで明らかになったチャイナの下部機構としてのWHO 146  /  中国共産党の御用機関WHOは、武漢ウィルスにどう対峙したか 149  /  WHOパンデミック宣言の意味は何か 152  /  テドロス事務局長はなぜ異常なまでの台湾非難をしたのか 156  /  国連支配の野望を着々と実現するチャイナ 160  /  人権を守るべき国連組織で何が起こっているのか 167  /  コラム 日本にある唯一の国連機関「国連大学」の実態 169

 第4章 プロパガンダの場としての国連 ―― 反日を繰り広げる戦いの最前線
反日反米の国に、国連はプロパガンダの場を提供している 174  /  従軍慰安婦問題は、何か問題なのか? 175  /  慰安婦問題の核心 ―― 虚言癖の持ち主による嘘が発端であり、すべてだった ――  178  /  証言が嘘だとわかっても糾弾し続ける韓国こそ日本の敵である 180  /  韓国側による慰安婦問題の捏造を検証する 182  /  国連の紋章をつけた「クマラスワミ報告」の大嘘 186  /  慰安婦問題を拡散する日本の意外な「活動家」たち 190  /  慰安婦問題は反日捏造事件に過ぎない 197  /  日本の陸軍は悪逆非道だったのか? 198  /  特別報告者による日本への非難は当たっているか? 200  /  なぜ、人権理事会はプロパガンダの場になるのか? 206  /  人権を弾圧している国々が人権を問う場を牛耳っている 210  /  人権理事会、女子差別撤廃委員会が設立された本来の意味に返れ 211  /  コラム 国連のインテリたちが、なぜ簡単に騙されるのか? 216

 国連関連機関の実態を紹介する特別寄稿 国連人権組織は日本糾弾の無法地帯 ―― 反日歴史捏造と利権の構造 山岡鉄秀
児童の権利委員会・対日審査会に傍聴参加する 222  /  糾弾される日本、媚びる外務省 226  /  小さな会議場で大いに目立つ反日団体 233  /  国連に持ち込まれる意見や嘆願は玉石混淆 238  /  日本は、いつまでも理不尽な暴力に屈していてはいけない 242

 あとがき 日本は国連とどう向き合うべきか? 245  


はじめに 武漢ウィルス対策で腐敗ぶりが明らかになった国連とWHO

 この文章は、2020年4月11日に書いています。本書の大部分を完成したのは、19年の12月末でした。そして20年1月になり、チャイナの武漢市から新型コロナウィルスによる感染症が爆発的に世界中に広がりました。そこで新たにこの前書きを付け加えます。
 武漢ウィルス感染症対策で明らかになったのは、国連傘下の専門機関であるWHO(世界保健機関)の腐敗ぶりです。WHOは感染症の世界的拡大阻止という本来の役割を全く果たせませんでした。完全な機能不全です。
 しかしそれは単に、官僚主義による機能不全ではありません。今やWHOは中国共産党の完全な下部機構であることが明らかになりました。つまりWHOは感染の被害を隠蔽しようとする中国共産党の意図を代弁するような形で、そして弁護するような形でしか行動してこなかったのです。特にWHOのトップであるテドロス事務局長は、まるで中国共産党員であるかのような言動をとりました。常に習近平国家主席の意図を忖度し、チャイナの決定的なミスを隠蔽し、かつチャイナがあたかも武漢ウィルスを完全に制圧したかのような中国共産党のプロパガンダに協力しています。トランプ米大統領が「WHOは完全に失敗した」と4月7日に批判したのも誠にもっともです。
 またWHOはチャイナが流出させる嘘情報を、さらに拡大して世界に蔓延させる手助けすらしています。
 今回の武漢ウィルス対策に関して、国際比較で最も成功しているのが台湾です。武漢ウィルス感染症対策の優等生と言ってよいでしょう。なんとその台湾に対して、テドロス事務局長はいわれのない非難の言葉を4月8日の記者会見で投げつけました。個人的な怒りの感情を爆発させての、およそ冷静とは言い難い台湾攻撃でした。しかし事実を調べてみると、台湾政府がテドロス事務局長を個人的に批判した事実はありません。ましてテドロス事務局長が言ったような人種差別的な批判などは元より台湾政府から全く出ていません。この件については第3章の末尾で詳しく解説します。
 今回の武漢ウィルス感染症の世界的拡大でますます明らかになったのが、国連という機関の腐敗ぶりです。さらにその専門機関の一つであるWHOの機能不全でした。単に機能不全であるばかりでなく、WHOは今や、中国共産党独裁政権の下部機関の様相を呈しています。中国共産党政権が今日の世界で最も非人道的な全体主義政権であることは明らかですが、彼らは国連という組織そのものを乗っ取って支配しようとしています。そしてこのチャイナの独裁政権の下部機関と化そうとしているのはWHOだけではありません。国連は単に無能な組織であるばかりでなく、世界の民主国家にとって極めて危険なチャイナ独裁政権の道具と化しつつあります。その実態を暴くのが本書の目的の一つです。


「国際平和の殿堂」国連という大いなる幻想

 「国連(国際連合)」と聞いて、あなたは何を思いますか?
 日本でも国連をめぐるニュースが、よく伝えられます。いわく、「国連委、日本に子ども虐待対策強化求める」「国連の人権専門家、報道の独立性に対する重大な脅威を警告」「国連委が、元慰安婦への補償不十分として、日本政府に遺憾の意」などなど……。国連の日本への要求はまるで、人権を抑圧する独裁国家への改善勧告のようではありませんか。もちろん、日本にだって多くの問題はあります。しかし、国際的第三者機関から勧告されるほどの大問題があるわけではありません。
 こういうニュースが報じられるたびに、「国連から批判を受けるなんて日本はそんなにひどい国なのか」と嘆く人もいるでしょう。一方で、国連というものは、どうも我々が思っていたものと違うのでぱないか。いやいや、ずいぶんインチキ臭いところらしいと思う人もいるかもしれません。このように、国連の実情を理解する素地が生まれつつあるのは結構なことです。それでもいまだに国連のことを大変良いイメージで見ている日本人が大多数です。
 多くの人が、国連というものに対して抱く共通のイメージというのは、こういうものではないでしょうか。すなわち、「国連は国際平和のために努力しているけれども、それを実行するだけの力がないために、その本来の役割を果たすことができないでいる」と。国連は理想を追求している。国連は機能不全だけれども、頑張っている。このような同情的な考えをしている方が、日本には多いのではないかと思います。
 しかし、違います。
 私は、ここで全く違う国連像を皆さんにご紹介したいと思います。


日本人が抱く国連像は、虚像である

 この本では国連という国際組織がいかにいい加減な組織であるか、いかに問題を抱えた組織であるか、いかに反日的な国際組織であるか、そのことを、事実のみに基づいてお話したいと思います。
 なぜそんなことをするのかと言えば、日本では国連幻想があまりにひどいからです。国連幻想とは、先ほど書いたように、「国連が、世界平和のために貢献している、崇高で素晴らしい国際組織である」という全く誤った認識のことを言います。
 日本人の国連幻想と国連信仰は、もはや滑稽を通り過ぎて悲惨ですらあります。国連は第二次世界大戦の戦勝国が中心に創った組織であり、日本などの敗戦国にとっては極めて不公平で不利な仕組みを持っています。
 日本には、外国に対するいろんな幻想や幻影、誤解というものがありますが、そのなかで最も広く行きわたっているのがこの国連に対する幻想だろう、と私は思います。
 この状況を正さないと、国際関係の現実を認識して日本の安全を確保し、日本の繁栄を実現することはできません。


敵国条項の存在 ―― 日本やドイツは今も国連の敵である

 ですから、戦勝国連合としてのthe United Nationsの憲章のなかには、いまだに敵国条項というものがあります。
 敵国条項とは何かと言うと、国連憲章のなかに「the United Nationsの敵だった国々(つまり、日本やドイツのことですね)が不穏な動きを見せたと判断した場合には国連に諮ることなく、つまり国連の承認なしにいつでも自由に軍事攻撃を加えてよい」という主旨の条文が含まれていることです。
 これが敵国条項というもので、第二次世界大戦中に連合国の敵であった枢軸国を対象に、安全保障面で特別の過渡的規定を盛り込んだ国連憲章第107条および53条の別名です。これは、現在に至ってもいまだに改正されておりません。
 そもそも国連憲章には、武力行使の禁止(第2条4項)や集団的武力行使権限の安全保障理市会への集中化(第42、46、48条など)などの規定があって、国連で集団行動をとる場合は国連安全保障理事会にかけられ、その合意を経てということになるのですが、「旧敵国に対する行動に関する限り、それに拘束されない」とされているのです。
 朝鮮戦争のときに国連軍が組織されましたが、このときはソ連が欠席していて提案が安全保障理事会を通ったために国連軍という名前を使うことができました。ところが、「旧敵国」相手(くどいですが日本やドイツ)には、そのような手続きはいらないのです。日本やドイツは旧敵国だから、この国が悪いことをしていると思ったら、国連に入っている当時の加盟国51力国はどの国でも、安全保障理事会にかけることなく勝手に攻撃して構わないという、ものすごい差別条項です。
 ちなみに、憲章の条文には敵国の相手国は、明示されていませんが、日本政府の見解では、日本、ドイツ、イタリア、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、フィンランドがこれに該当すると解釈しています。
 
敵国条項の存在については、ときどき論じられることかあります。そんな条文がいまだに残されている、排除されていないのは大問題でしょう。
 憲章の条文には具体的な敵国の名称はないわけですが、明示されていないからこそ敵国条項は残った、とも言えます。そういう遺伝子が今でも伝わっているということは、やはり日本人として知っておくべきです。もしあなたが、国連は真の平和の組織であると信じているのであれば、なおさらです。
 日本は、この敵国条項だけはなんとしても排除しなければいけません。これこそ日本が率先して国連改革の一歩として進めなければいけないことでしょう。
 第二次世界大戦の終結50周年にあたる1995年、日本やドイツなどが国連総会において第53・77・107条を憲章から削除する決議案を提出しました。総会で賛成多数によって採択され、日本政府にとって懸案だった同条項の削除が一歩進みました。しかし、憲章改正は安全保障理事会5カ国を含む加盟国3分の2以上の批准が必要とされるなど、その後も進展は見られず、改正に至るにはまだかなりの時間がかかると見られています。


国連は世界の外交の中心ではなく、世界政府でもない

 国連は、好意的に見ても「おしゃべりフォーラム」か「国益を追求して国家間で喧嘩をする場所」の一つに過ぎないのです。見方を変えれば謀略の場でもあります。
 「国連中心外交(国連中心主義外交)」という言葉があります。日本ではいまだに受けのいい言葉のようですが、よく考えると何の意味もない言葉です。むしろ日本の国益を傷つける危険な発想です。
 そもそも「国連中心外交」とは、何を意味している言葉なのでしょうか? 全く意味不明な言葉ではありませんか。
 例えば、日本の政治家が「国会中心に政治を進めます」「我が党の方針は国会中心主義です」と言ったら、皆大笑いするでしょう。政治の中心が国会であることはわかりきったことです。その国会でどんな政策を掲げ、どんな主張をするのか、それこそが政治家や政党に求められている役割です。国会とは、駆け引きと合意形成の場所に過ぎません。そもそも日本では、国会は国権の最高機関であると位置づけられていますから、国会の場を政治の中心とすることには何の問題もないことであり、常識なのです。ですから、敢えて「国会中心政治」などと言う必要は全くないのです。
 同様に国連中心主義と言うのも愚かな発想です。国連で何を主張するのか、国連でどのような日本の国益を主張するのかが大事なのです。国連は国益を追求する外交の場の一つに過ぎないのですから。
 日本の国連大使(国際連合日本政府代表部常駐代表)を1998年から2002年まで4年間務めた佐藤行雄氏は、一部の日本人が主張している「国連中心主義」を次のように鋭く批判しています。
 「国連中心主義というのが、日本の国益に関わる問題についての判断を国連に委ねるということならば、危険極まりない。日本には、自国の利益のために国連を利用するという視点が欠けている。国連を神聖化したような議論には心から危惧の念を覚える」
 このような認識が、日本人すべての常識にならなければいけません。
 さらに言うと、国連は世界の外交の中心ではありません。国会は国権の最高機関ですが、国連は世界政府のような強い統制力を待った最高機関ではなく、主権国家の集合体であり、各加盟国はそれぞれ平等の主権を持っています。国連は、いくつもある国際機関の一つでしかないのです。
 国連は、加盟国に命令を発する権限は持っていません。例えば、内容的にいかに重要な総会決議が行われても、加盟国が順守の義務を負う国際法規となるとはみなされていないのです。そういう意味で、国連の実態とは、単なる「おしゃべりフォーラム」でしかありません。
 アメリカのトランプ大統領もツイッター上で、「国連には大きな潜在力があるが、現在は人々が集まっておしゃべりし、楽しい時間を過ごすだけの団体になっている」と批判していますが、その通りなのです。
 現在まで、日本は膨大な資金を国連に提供してきましたが、およそ国連が日本のために役立ってくれたことは極めて稀です。これは無駄遣いで済ましていい話ではないでしょう。慰安婦問題や拉致問題のことを考えれば、国連と国連関連機関は日本を軽視し、さらに日本の国益と尊厳を傷つけるようなことを平気で行ってきたのです。国連とそれに関係した諸機関は、日本の味方であるよりは、日本の敵であったことの方が多いのです。
 日本に必要なのは、第一に国連において戦う姿勢を持つことと、第二に脱国連外交を強化することなのです。


日本人が抱く、三つの大きな国連幻想

 国連が平和を守る機関だと思っている日本人は多いことでしょう。では、果たして国連に世界の平和を守る力があるのかを見ていきましょう。
 国連を意味する「UN」という英語の略称を見ると、筆者が強烈に思い出すことがあります。それはカンボジアでのことです。長い内戦で疲弊したカンボジアでようやく停戦協定が結ばれ、国連のPKO活動が開始されました。
 そのとき、筆者は2年連続してカンボジアPKO活動の現場を取材しました。当時の話なのですが、夕刻になると豆電球で飾られた売春街に、白いトヨタの四輪駆動車がずらりと並んでいました。各国から集まったPKO要員たちは、車体に大きく「UN」と書かれた車で、青と白の「UN」の旗までなびかせながら売春宿に押し寄せていたのです。
 第三世界から集まってきた兵士たちは、この国連PKO活動では大変な高給をもらっており、どこに行っても陽気でした。筆者は終戦直後の日本の占領軍の兵士たちもこんな調子ではなかったかと、ふと想像力をめぐらせていました。
 さて、これからもっと具体的に話していきますけれども、ポイントは三つです。
 第一に、国連は平和を守れない。国連は国際紛争の予防や解決に何の役にも立っていません。役立ったことは極めて稀です。むしろ、ときには明らかに人道主義に反する役割を果たすことさえあります。国連は、贔屓目に見ても無駄なおしゃべりの場、おしゃべりフォーラムに過ぎません。
 第二に、国連は膨大な予算を浪費する国際機関です。「無駄遣い天国」と言っていいくらいです。典型的なのが、国連関連機関であるUNESCOに見る腐敗と浪費です(もちろん無駄遣いをしているのはほかの機関も似たり寄ったりなのですが)。
 日本は世界で3番目に国連に金を出している国です(2018年までは日本がアメリカに次いで2番目でした)。そして、UNESCOなどの専門機関には国連本体とはまた別にお金を出しています。しかし、我々が税金から拠出する分担金は、国際高級官僚という寄生虫に浪費されているのです。浪費の実態を見ると、彼ら自身の作った規定にも違反する不正行為が堂々とまかり通っています。この点からも我が国は、国際的な寄生虫階級に食い荒らされている国連とその傘下の諸機関の改革を進めるべきでしょう。
 第三に、国連は悪質なプロパガンダの場になってきている。国連は、北朝鮮のような人権、人道を無視するテロ支援国家がそのプロパガンダを行う場所になってきています。プロパガンダを行うための国際的な場を提供しているのです。こうしている間にもチャイナや韓国などによる捏造情報に基づく反日攻撃が続けられています。慰安婦問題に関する国連人権理事会の動きなどはその最たるものです。
 そこでは、日本のような真っ当な国が国際的な非難の対象となっています。国連に頼っていては、このような不正を正すことはできません。
 「国連」の名を使った反日攻撃も盛んです。「国連特別報告者」のデービッド・ケイという人が、対日調査報告書のなかで、「日本の言論は弾圧されてすごくひどい目に遭っている」などと言って、日本がまるで北朝鮮かチャイナであるかのような報告をしたのも、その一例です(報告書では「政治的公平性」を求めた放送法4条など、政府・自民党による放送メディアヘの圧力をはじめ記者クラブ制度の排他性を指摘。政府の歴史教育への介入や特定秘密保護法についても強い懸念を示しました)。全くの事実無根の反日攻撃です。
 そもそも国連は、各国が自らの国益を増進するために利用する機関です。そのための戦いの場なのです。平和の殿堂などではありません。日本はその現実を認識して、国連の場でいかに自国の国益を推進するかを考えなければなりません。 ここからは、以上の3点を中心にお話をしていきたいと思います。


国連は平和を守れない、戦争を止めることもできない

 国連は平和を守れません。戦争を止めることもできません。皆さん、よく思い出してみてください。
 国連はまず、ベトナム戦争も防げませんでしたし、朝鮮戦争も防げませんでした。
 記憶に新しいところでは、2014年にロシアがクリミア併合をしましたが、これも防げませんでした。ロシアによるクリミア併合とは、その年の2月のことですが、ウクライナの親ロシア政権が反対派の謀略で崩壊したと見たロシアが、ウクライナ南部でロシア系住民が多いクリミア半島に軍を侵入させ展開した政治危機を言います。3月には、住民投票でロシアヘの編入賛成が圧倒的多数を占めたとして、併合に踏み切っています。同月末、国連総会で併合を無効とする決議が採択されていますが、もちろん何の効果もありませんでした
 もっともこのときは、クリミア半島で住民投票をやった結果として、ロシアに編入された方がいいという住民が圧倒的多数になったと言いますから、私はこれは一般に言われているほどひどいことだとは思っておりません。けれども、それを国連が防ぐことができなかったのは事実です。


独立国だったチペットに侵攻したチャイナの蛮行

 チャイナによるチベット侵攻の話に戻りましょう。
 1949年、国共内戦で中国国民党に勝利した中国共産党がチャイナを掌握します。50年10月、中国共産党の4万の軍隊がチベットのカムド地方に侵攻し、ここを占領。翌年にはチベット全土を制圧しました。
 チャイナ政府とチベット政府の間で「十七か条協定」が「締結」され、チベット軍は中国人民解放軍に編入され、チベットの全域がチャイナの支配下に入ることになりました。
国連の正体(藤井厳喜著) チャイナによる侵略
 しかし、これより前、チベットはまぎれもなく独立国であったことを忘れてはいけません。亡命チベット人のペマ・ギャルポ氏は、「チベットは歴史が始まってからずっと独立国家であった」と主張しています。初期の国連の催しにも独自の国旗を持って参加していました。チベットが独立主権国家として存在していたことは、2千年以上も昔の歴史書にも記されています。近年では、1913年にモンゴルとの間に蒙蔵条約が、14年にはイギリスとの間にシムラ条約が締結されているように、チベットは完全な独立国家として認識されていたのです。
 第二次世界大戦中、アメリカのルーズベルト政権は、蒋介石政権への武器供与のために、インドからチベットを経由して重慶へと到る道路建設の許可をチベット政府に要請したことがあります。チベット政府は第二次世界大戦において中立を貫く政策をとっていたために、このアメリカからの要請を拒否しています。実はチベット国内では、日本の勝利を祈る仏教祈祷が行われており、チベットは親日的な態度を保持した中立国でした。
 こういった外交的経緯から見ても、アメリカもまた、チベットを独立国として認識していたことがよくわかります。もしチベットがアメリカの要求を第二次大戦中に受け入れて、道路建設を許可していたら、チベットは親米国となり、50年の中国共産党によるチベット侵略はなかったかもしれません。日本への同情が、後に侵略の間接的原因となったことを思うと、日本人としては心が痛みます。
 第二次世界大戦が終わった翌46年、チベット政府は連合国諸国に使節団を送りました。47年にインドで開催されたアジア関係会議にも代表団を送り込みました。また、インドの独立を契機にチベット政府はイギリス、アメリカ、インド、チャイナ各国にも通商代表団を派遣しております。このときの通商代表団はチベット政府発行のパスポートを持って各国に入国しております。つまりこれらの国々は、チベットが独立国であることを事実として認めていたのです。
 しかし、チベットの悲劇は起きてしまいました。そのような独立国に対してチャイナは問答無用で武力侵略したのです。このとき、国連は何の役にも立ちませんでした。


救いを求めたチベットに国連は何をしたか?

 中国人民解放軍4万が侵攻してくると、当時独立国であったチベットの義勇兵8千人が果敢に抵抗しましたが、圧倒的な数の中共軍の兵力に敗北。この戦闘でチベット人兵士の半数に当たる約4千人以上が殺されたと伝えられています。
 1950年10月26日、インド政府はチャイナがチベットにおいて軍事力を行使したことに抗議し、この侵略はチャイナの利益にならず、平和にも貢献しないと発表しました。また、イギリス政府の外務次官アーネスト・デイヴィスが英下院で声明文を出し、イギリスはチャイナのチベット侵略と武力行使に対して遺憾の意を表し、“インド政府がとった立場を完全に支持する”と述べています。
 そして、このときチベット政府はすでに誕生していた国連に救いを求めたのです。チベット内閣および国民議会は、「極悪なる侵略的行為」に抗議を行い、通商代表団団長はそれを、国連へ打電しました。

 「チベットを共産チャイナに編入するために、強大な武力を用いてチベットに軍事侵攻したことは、明らかな侵略事件である。チベット人民が自らの意志と希望に反し、無理矢理チャイナの一部に組みこまれるというこの事態がこのまま進行するならば、この侵略行為は強者による弱者征服の最悪の実例となるであろう。それゆえ、我々はチベットのために介入し、チャイナの武力侵略を阻止するよう、国連を通して世界各国に訴えるものである」(『チベット政治史』(亜細亜大学アジア研究所)より)

 しかし、奇妙なことに、チベットの長年の友人であるはずのインドの代表が驚くべき発言をしました。それは、「この問題を国連総会の場で討議するのはふさわしくない」という発言でした。国連総会での討論抜きでチベット・チャイナ・インド3方に有利な解決をもたらすことができると主張し、チベットの提訴をいったん延期するよう、国連総会の委員会を説得したのです。このとき、イギリス代表までもがインドの提案を支持しました
 その後も救いを求めるチベットの行為は国連の場でついに取り上げられることもなく、完全に黙殺されてしまいました。国連は、チャイナのチベット侵略について討議することすらしなかった、というのが歴史上の事実なのです。
 当時インド、イギリス、チベットの3力国は条約を結んでおりました。この条約は3カ国間で効力を発揮していました。つまりインドとイギリスはチベットを独立国として承認していたのです。
 その2カ国の代表までが、このときチベットの法的地位は不明瞭であると述べています。こうして、国連はチベットをついに救えなかったのです。
 その後、国連は、59年、61年、65年の3回にわたってチャイナによるチベット侵略の非難決議を出しました。チャイナが台湾の中華民国に代わって代表権を得る71年までは、中国共産党のチベット侵略を非難する決議を出せたのです。その決議は通りました。しかし、言葉だけのことでした。それ以降も国連が何かそのことについて調査委員会を作って報告をした、というような話は一切聞いたことかありません。
 国連は全く役に立たなかったどころか、この侵略を黙認することによってその片棒をかついだと言っても過言ではないでしょう。まして今日のように中国共産党政府が国連の常任理事国となってしまっている現状では、事態はもう救いようがないところまで来ています。
 
ところで、チベットの長年の友人であるインドは、なぜ当時あのような態度を取ったのでしょう。
 これは私の推察ですが、当時のインドは、インド、イギリス、チベットの3力国で条約を結んでおりましたから、その枠内で争い事を解決したい、という思いが強かったのではないか。ほかの外国からの干渉を避けたい、チベットに対するインドの影響力を残したい、ということを考えたのでしょう。しかし、結果としては取り返しのつかない大変ひどい過ちを犯してしまいました。
 ダライ・ラマ猊下(げいか)もいらっしやるチベット亡命政府は、現在インドにあります。インド政府はこのチベット亡命政府を支持しているのですが、初期においてインド外交が非常に大きな過ちを犯した、ということは残念ながら事実です。


チベット・ウイグルの運命は対岸の火事か ―― 尖閣諸島をチャイナが侵略する日

 私たち日本人は、近未来の日本が、チベットや東トルキスタンなどと同じ運命にならないように努力しなければなりません。そして、チベットや東トルキスタンの解放と独立を支持すべきです。
 と言うのも、このチベットやウイグルの運命を日本が踏襲しないという保証はどこにもないからです。我々が最も気を付けなければならないのはそこです。私たち日本人は、そんなことが起こらないように必死にならなければ、日本の未来は危ういのです。
 今やチャイナは国連のメンバーであるばかりではなく、国連で一番重要な安全保障理事会の常任理事国です。あらゆる問題について拒否権を行使することができます。
 もし、チャイナが、日本の沖縄の一部である尖閣諸島を侵略したとしても、日本がその問題を国連で解決することはできません。拒否権がすぐ発動されます。
 国連は何もしてくれません。そのとき、日本はどうするのでしょうか? 日本政府は、このような国連にどこまでもついていくのでしょうか?
 あなたはこのような国連を信じられますか?
 信じられませんよね。その問題こそ、私たちが肝に銘じておくべきことです。


我々の血税が浪費されるのを黙っていていいのか

 そして、腐敗した国際高級官僚の多くが新興国出身なのですが、これらの新興国は、国連の分担金をほとんど拠出していません。

 皆さん、考えてみてください。では、そのお金はどこから来ているのでしょうか。我々の税金はこんな組織の食い物にされているのです。だから、アメリカは、問題の多い専門機関に対しては、頭に来て、脱退をしたり、分担金を出さないなどの行動を起こして揺さぶりをかけています。ときには国連本体にも分担金を出さないことも辞さないほどです。
 最近でも、UNESCOの姿勢が反イスラエル的だとして、アメリカのトランプ政権は2018年の暮れに再びUNESCOを脱退しました。日本も一緒にやめたら良かったと思うのですが、日本は一度もそういうことをやらないのです。
 日本人にとって切実な北朝鮮問題では、「国連はもう少し真面目にやれ、拉致問題をもっと頻繁に取りあげてくれ。そうでなければ日本は、国連の分担金を出さない」と主張すればいいのです。
 UNESCOにも「日本を敵視するような決定をするならお金を出しません」とか、「反日思想に基づく行動を繰り返すひどい職員を替えるまで、我が国はお金を出しません」と言った方がいいと思います。それなのに、お人好しの国・日本は自己主張したことがない。予算は使われ放題、言われ放題です。
我々の血税は全く有効に生かされていない。これは実に悲しいことです。


国連支配の野望を着々と実現するチャイナ

 チャイナは単にWHOを支配しているだけではありません。彼らは国連本体とさらに国連の傘下にある15の国連専門機関を徐々にその支配下に収めつつあります。現在、15ある国連専門機関のうち、4機関のトップがすでにチャイニーズになっています。その機関名とトップの人名を挙げましょう。

・国連食糧農業機関(FAO):役割は新興国の貧困解消や農林水産業の発展。2019年8月から事務局長は屈冬玉。
・国連工業開発機関(UN-DO):役割は新興国の産業開発を支援。13年から事務局長は李勇。
・国際民間航空機関(ICAO):役割は民間航空の安全や環境対策の推進。15年から柳芳。
・国際電気通信連合(ITU):電気通信での協力推進、インターネットの世界的監査。14年から事務局長は趙厚麟。
・その他、国連会計監査委員会(BOA)や国連教育科学文化機関(UNESCO)などでも幹部メンバーにチャイニーズが入り込んでいます。

 実は、3月4日、もう一つの国連関連専門機関のトップの座がチャイナに取られるところでした。知的所有権保護のための国際機関に、世界知的所有権機関(WIPO)があります。この国連機関専門の事務局長の選挙がジュネーブのWIPO本部で3月4日に行われました。前評判では、チャイナ出身の女性、王彬穎事務次長の評判が高かったのですが、幸い、日米欧が推すシンガポール特許庁長官のダレン・タン氏が決選投票で事務局長に専任されました。投票結果はタン氏55票に対して、ワン氏28票で、タン氏の圧勝でした。しかしこれとても、米トランプ政権を中心とする巻き返しがなければ、王彬穎に勝利を奪われていたことでしょう。
 チャイナは知的財産権の侵害で有名な国です。その国益を代表する王彬穎氏が事務局長になっていれば、世界的な知的財産権保護の流れは逆転していたことでしょう。さすがにこの選挙の前には、「王彬穎のWIPO事務局長就任は、銀行強盗が銀行の頭取になるようなものだ」との痛烈な批判が巻き起こっていました。
 ここで読者の皆さんに注意を喚起しておきたいのは、これは国連本体の職員に関しても言えることですが、チャイナ出身の職員は全て中国共産党独裁政権の指令下にある工作員だということです。日本や欧米出身の職員の場合、そういうことは稀です。むしろ自国の国益に反しても、国際組織の考えを優先させるようなグローバリストが日米欧出身の職員には多いのです。国益をそのまま代弁して行動する職員は稀です。むしろ国益第一主義に反発しているグローバリストがこういった職業に就きたがるものです。しかしチャイナの場合は全く事情が異なります。国連職員になるチャイニーズはこれ全て、中国共産党の方針に従う忠実な工作員なのです。そのためにこそ、チャイナは国連本体は元よりこういった国連専門機関に次々と人材を送り込んでいるのです。
 話を国連本体に進めましょう。グテーレス国連事務局長など、国連の上級幹部たちも、テドロス氏に負けず劣らず、チャイナを賞賛しています。チャイナの進める一帯一路をグローバルな経済発展の模範だと位置づけてさえいるのです。
 国連本体のなかにある国連経済社会局(DESA)は事務局長に17年7月、チャイナの外交部副部長(外務副大臣)だった劉振民氏を迎えました。このため、現在、このDESAはチャイナの一帯一路計画の推進とその宣伝活動を活発に務めています。あるヨーロッパの外交官は「DESAは最早、チャイナ企業のようなものだ」とすら語っています。チャイナは国連の文書に、習近平の文言を挿入し、一帯一路計画をグローバルなインフラ建設構想として推進するように働きかけているのです。国連本体もここまでチャイナによる乗っ取りが進んでいるのです。 一帯一路計画がチャイナによる帝国主義的な政策であることは、すでに明らかです。これは一帯一路を受け入れた国の悲惨な現状を見れば、一目瞭然です。一帯一路に参加した国は、テドロス氏の出身国であるエチオピアも含めて、やがてチベットやウイグルのような悲惨な状況に陥れられるでしょう。あるいはこう言ってもいいでしょう。国内で中国共産党がすでに行った一帯一路計画がチベットやウイグルに対する占領政策だったのです。一帯一路参加国の将来は、現在のウイグルやチベットです。
 それにもかかわらず、グテーレス事務総長などは一帯一路を賞賛し、推進しているのです。彼らはチベットやウイグルの悲惨な状況を知らないわけがない。それでも一帯一路を推進するということは、彼らもまたチャイナによって買収され、人道や人権をお金で売り渡した人たちだということなのでしょう。国連はここまで腐敗・堕落しているのです。
 ちなみに国連専門機関のトップである事務局長の選挙においては、買収が公然と行われています。そこには日本の公職選挙法のような規制は存在しません。例えばWHOの事務局長選挙においては、チャイナはWHOのメンバー国にさまざまな経済利権をばらまいて、自分の望む候補への投票を依頼します。チャイナが新興国に経済援助をばらまくことによって、いくらでも票が買えるのです。もちろん、そのほかに個人的な買収もあるでしょう。これはルール違反ですが、水面下で行われれば、これを禁止したり、罰則を与える強制権力はどこにもありません。だから買収のし放題というのが選挙の実態です。
 さらに話を国連本体に移しましょう。18年の国連資料によれば、国連事務局に務めているチャイナ出身者は89名で、出身国としては第7位を占めているに過ぎません。しかし18年の時点でもチャイナは最大限、職員を229名まで送り込むことができます。19年にはチャイナは国連の拠出金でアメリカに次いで2番目になりましたから、現在のルールではもっと多くの職員を送り込めることでしょう。チャイナは一般職員をより多く送り込むための準備を着々と進めています。国連にはJPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)と呼ばれる資格があります。これは国連に派遣される若手人材のことで、自国の費用負担で原則2年間に国連に派遣して、職務体験を積ませ、任期終了後に空席があれば応募し、合格すれば正規採用されるというものです。
 チャイナでは北京外国語大学などを中心に、国連やその専門機関で働く人間を重点的に養成しており、今後5年間に800名をJPOとして派遣しようと意気込んでいます。将来は国連本体でも専門機関でも、チャイナ出身の一般職員かどんどん増えてゆくことでしょう。
 現在の国連事務局の職員数では、アメリカが360人で第1位、第2位がドイツ、第3位がフランスと続いていますが、すでに述べたように、欧米諸国の場合、アメリカ人だからアメリカの国益を代表するとは限らないわけです。むしろ国益第一主義を嫌うグローバリストが国連の職員になっている場合の方が多いのではないかと推測します。
 それに対してチャイナから送り込まれる職員は全て中国共産党の工作員です。国連や専門機関の極秘情報を盗むことも厭いません。このようにしてチャイナは、国連への支配度を着々と高めているのです。


反日反米の国に、国連はプロパガンダの場を提供している

 この章では、国連がいかにプロパガンダの場になってきているか、その現状をお話ししましょう。
 国連幻想を持っている人には驚くべきことかもしれませんが、各国によるプロパガンダの場を提供しているのが、国連ないしは国連傘下の国際機関なのです。チャイナや北朝鮮はもちろん、韓国なども反日プロパガンダを繰り広げる戦いの最前線に国連を使っています。プロパガンダですから、「慰安婦問題」などで自分たちの主張を押し通すためには、彼らは平気で嘘をついてきます。
 国連やその傘下の専門機関が日本をいかに疎外してきたかは、実例を挙げればきりかないほどです。国連人権理事会やその前身である国連人権委員会(国際連合の経済社会理事会所属の国際連合人権委員会は、2006年6月19日、国際連合人権理事会が設立されたことにより廃止された)だけでなく、慰安婦問題で日本を糾弾している国連の委員会は、いくつもあります。
 この章の次に、国連傘下の「児童の権利委員会」に乗り込んで対日審査の実態を暴いた山岡鉄秀さんのレポートを掲載したので、何が話し合われているのかを読んで確かめていただきたいと思います。


従軍慰安婦問題は何が問題なのか?

 「従軍慰安婦」という言葉があります。これは何かと言うと、第二次世界大戦中に日本の兵隊さんを相手にしていたプロの売春婦のことで、当時は「慰安婦」と呼んでおりました。慰安婦とは、はっきり言えば売春婦のことなのですが、それでは露骨な響きがありますから、日本的な婉曲表現で「慰安婦」と称していました。
 ちなみに戦時には従軍記者はいましたが従軍慰安婦という言葉はありませんでした。この言葉を作りだしたのが元毎日新聞記者で作家の千田夏光氏です。『従軍慰安婦 ―― “声なき女”八万人の告発』など慰安婦に関する著書を出版したことでこの造語が使われるようになりました。
 それから、朝鮮、チャイナ、あるいは東南アジアの一部の国でも、「慰安婦を強制連行して無理やり働かせていた」とか、「軍が銃を突きつけて、一般の素人女性を連行してきて、そして強制的に売春婦にした」という批判が広がりました。
 しかし、これは全くの嘘です。日本軍による強制連行は全くありませんでした。
 では、軍や政府は関与していたのか、というと“関与していました”。どう関わっていたのかというと、非常にいい関与をしておりました。この慰安婦と言われる売春婦の人たちの権利を守るように、健康を守るように、関与をしていたのです。
 時代はまだ、売春が合法であった時代です。昔は、売春が合法的にできる場所として内地なら遊郭がありました。若い男性たちが皆戦争に行ってしまったので、内地におけるそういう場所は商売あがったりになってしまいました。
 そして、兵隊がいる現地で働く売春婦を募集したのは、このような遊郭業者がやっていたことであって軍は全く関与していません。
 軍が関与していたのは「どこで場所を開くか」の許可を与えるとか、そこで働いている女性たちを、遊郭業者が過度に搾取し過ぎないように指導をするとか、女性たちの健康面の面倒を見るとか、そういったいい意味においてなのです。
 慰安婦問題は、本来は「問題」にするようなことでは全くないのです。

・まず慰安婦というのはプロの売春婦である。
・日本軍による強制連行は1件もなかった。
・軍はいい意味で関与していた。

 この3つが歴史の真実です。それでおしまいです。
 しかし、この問題の別の側面は「なぜ捏造(嘘)の話がここまで大きくなってしまったのか」ということなのです。実際のところは、朝日新聞をはじめとする国内の反日メディアと、外国、特に韓国が共謀して作った、全く根も葉もない、日本人に対する歴史的な冤罪事件なのです。
 戦地における、日本軍人による個人の強姦事件はありましたが、これらは軍紀により厳格に処罰されています。例えば、インドネシア占領地において性的暴行事件が1件報告されていますが、これは個人による犯罪であり、しかも日本軍により処罰されています。平時でも性犯罪は起きるものであり、占領地で起きても不思議はありません。日本軍は犯人を厳格に処罰しています。


日本は、いつまでも理不尽な暴力に屈していてはいけない

 この傾向は日本政府の外交全般に顕著だ。例えば、韓国駆逐艦から日本の哨戒機へのFC(火器管制)レーダー照射事件のように、明らかに相手に落ち度がある場合でも、結局議論を避けてしまう。戦後平和教育は日本人を「殴られても逆らわない民族」に躾けた。それを弱さと見る韓国は、次から次へと嘘を並べたて、声高に日本を非難する。日本が躾けられたように議論を避ければ、韓国の嘘が首尾よく真実として定着する。それがわかっているから韓国は自らの過失を隠すためにことさら大げさに騒いでみせる。押せば折れる、と思われているのだ。
 基本的にはこれと同じことが国連でも再現される。集中砲火を浴びせれば、ほかの国だったらむきになって反論してくるか、いい加減な答えを返してくるだろうが、日本人はニコニコしながら申し訳なさそうに大人数で手分けしてせっせと答える。この態度がさらなる集中砲火を招く。
 かくして、莫大な分担金を負担しながら、その強みを活かせもせず、格好のターゲットとなっている。うがった言い方をすれば、日本政府にとっては、総花的な質問に総花的に答えている方が楽かもしれない。焦点を絞って突っ込まれたらそれこそ大変だからだ。
 しかし、本来、国連の委員会に問題が持ち込まれるということは、国内で解決できなかったことを意味するから恥ずかしいことなのだ。委員の口から「JKビジネス」などという言葉が出てきたときにはぞっとした。
 もちろん、どこかのNGOが吹き込んだのであろうが、そんな問題を国連の委員会で追及されたら、日本政府というよりも日本人の恥だ。職業的に日本政府を追及したい人たちはそういう感覚は持ち合わせていないだろう。日本政府と日本人を貶めることで、相対的に自らを善意の優位者とみなしているからだ。私だったら、そういう問題を海外に出すのは恥と考え、徹底的に国内で議員を巻き込んで活動する。組体操など言うに及ばない。
 た、日本政府も、日本の国益を守り血税を節約することを考えれば、単なる受け身のサンドバッグにならずに、無駄で内政干渉になりかねない議論は排して、より本質的な問題に絞るべく努力をすべきだ。
 喧嘩はせず、対立は避けながらも議論をより有益なものに誘導するのが外務官僚のスキルのはずだ。日本は衰えたりとはいえ、先進国であり、文明国である。本来は「子どもの権利条約」を批准して委員会の審査を受けなくても、自分たちで子どもの人権を守れなくてはならない。国連は安全保障理事会を除けば発展途上国のためのものとみなして、幻想や畏敬を捨てて何でも自力解決する気概を持つべきだ。大金を払いながらいつまでも小突き回される日本の姿がそこにあった。
 2019年2月上旬には今回の審査を踏まえた対日勧告が発表される(編集部注:2月7日、委員会は日本への勧告を公表。総括所見で、差別の禁止、体罰など緊急措置をとるべき課題として挙げた。また、子どもへの虐待などの暴力の頻発に懸念を示し、政府に対策強化を求めた)。それでまた慌てふためいたら、情けないことこのうえもない。日本政府は国連との付き合い方を真剣に見直す必要がある。


あとがき 日本は国連とどう向き合うべきか?

 日本の対国連外交はどうあるべきなのでしょうか。ここまで読んできた読者は、すでにお気付きでしょう。答えは今まで読んでいただいた頁のなかにすでに述べられていますが、それをまとめてみましょう。

 1 国連とその関連機関は、国益のための「情報戦」を行う場と割り切る。そして、それを実行しうる意志と能力を持った人間の戦闘チームを送り込む。
 2 予算は黙って出さない。問題がある場合は、厳密な監査を自ら行う。日本からの資金支出に際しては、日本からの改善要求を突きつけ、翌年までに具体的成果を出させる。
 3 それができない場合は、組織からの脱退も辞さない。
 4 アメリカが国連を脱退するなら、日本も一緒に脱退し、第二国連を創る。

 さて、ここまで書いてきて気付いたことは、こういった大改革は外務省の、というより日本の政治と外交の一大改革なしには不可能だということです。憲法9条を改正して堂々たる国軍を持ち、その国軍の下に情報機関を創設する。そのような体制を整えて初めて、我々が望むような対国連外交が実現できるのでしょう。
 遠路はるかですが、日本を滅ぼさないために一歩一歩進んでいくしかありません。我々の智力を高め、政治家の水準を上げ、日本の力を充実させてゆくしかありません。
 そして、日本人の智力、情報力を高めるためには、私が月2回配信しているワールド・フォーキャストをお勧めします。マスコミの流す情報だけを見ていると、マスコミに操られる「大衆」という操り人形になってしまいます。そこから脱するために、ワールド・フォーキャストで本当の情報と自ら考える力を身につけてください。

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