中国に侵略されたアメリカ

私も数年前まで、ソ連の崩壊によって共産主義は敗北したのだと思っていました・・・。

中国に侵略されたアメリカ

 山口敬之さんは『現代の共産主義勢力は、世界の資本主義陣営のリーダーであるアメリカそのものを破壊すべく、今後も着実に歩みを進めるだろう。忍び寄る共産主義テロリストの内なる侵略を、今のように無防備なまま放置すれば、アメリカは守るべき「アメリカらしさ」を失いつつ、急速に弱体化していくだろう。』と捉えています。
 日本についても『「自由・平等・博愛」を掲げる「フランス革命至上主義者」と、社会に分断と憎悪を植え付ける「毛沢東主義者」は、手に手を携えてあらゆる階層に侵入し、跋扈している』と指摘していますが、その通りだと感じます。
 そういう状況にあって、我々の理論武装・精神武装はどうすれば良いのでしょうか・・・。

 山口さんは『壊れゆくアメリカを他山の石とし、日本固有の伝統文化を守っていけるか。そのための大前提となるのが、「平等」「博愛」といった一見耳触りの良い主張に丸め込まれず、日本の伝統文化のかけがえのない価値を再確認し、バーク的論考によって理論武装していくという、「真の保守の再興」である』と結んでいます。

 山口敬之さんの「中国に侵略されたアメリカ」を紹介するために、以下に目次や目を留めた項目をコピペさせていただきます。
 興味が湧いて、他も読んでみたいと思ったら、本書を手にしていただければと思います。

中国に侵略されたアメリカ 山口敬之

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中国に侵略されたアメリカ [ 山口敬之 ]
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目次

 まえがき 1

第一部 サンフランシスコの赤い闇 11
 第1章 急速に劣化するアメリカ 12
不自然過ぎる「静けさ」 / 途上国のような無秩序 / 失われた「正義」と「自由」
 第2章 首都に響いた中国語 22
領事館閉鎖と首都暴動 / 仕組まれた同時多発デモノ度重なる目撃証言
 第3章 「暴動鎮圧映像」という策謀 32
不思議な関連性 / 中国に都合のいい映像が・・・
 第4章 「華人進歩会」という赤い闇 42
黒人と中国を繋ぐ赤い糸 / 華人進歩会の正体 / 「黒人未来研究所」と兄弟団体 / 中国人犯罪組織「トング」

第二部オークランド ―― 毛沢東の亡霊 57
 第5章 死んだ街・オークランド 58
ベニヤ板に占領された街 / 無言の同調圧力 / 「BLM支持」が最善のセキュリティ / ベニヤ板アートによる支配のカラクリ
 第6章 反トランプで共闘した黒人と中国 70
本当に人権団体なのか / 「トランプ=人種差別主義者」という印象操作 / 彼らの真の目的は・・・
 第7章 継承される毛沢東思想 79
毛沢東の呼びかけに呼応 / ブラックパンサー党からBLM運動へ / 反日、毛沢東主義者たったサンフランシスコ市長

第三部 アメリカ大統領選挙の真実 91
 第8章 毛沢東主義者を守ったニューヨークタイムズ 92
ニューヨークタイムズの異様な反応 / 衝撃のゴンザレス証言 / 通底するBLM、LGBTと毛沢東主義
 第9章 華人進歩会は中国共産党アメリカ支店 105
バイデンのやましさが露呈 / 華人進歩会がバイデンを恫喝 / アメリカの基本理念に反する華人進歩会 / 国防動員法の精神 / 公開書簡に署名した「中国共産党別働隊」
 第10章 見返り要求と銀行送金 121
バイデンヘ送られた醜悪な手紙 / 最強のブランド「黒人・女性・性的マイノリティ」

第四部 コロナと共産主義 131
 第11章 ウィルス起源再調査の茶番 132
重い腰を上げたバイデン
 第12章 「陰謀論」に圧殺された真実 146
ウソの奥の真実 / 「陰謀論」の絶大な効果 / 多くの学者が「武漢研究所発」を否定
 第13章 英雄から売国奴疑惑ヘ ―― ファウチの転落 160
研究所流出説を全否定したファウチ / 中国の主張と瓜二つのファウチ弁明 / ファウチと中国の蜜月 / 目先きの利害が嚙み合ったWHO武漢調査団

第五部 日本に浸透するマオイズム 173
 第14章 毛沢東と日米左翼の系譜 174
「毛沢東の後継者」を演出した習近平 / 「打倒保守」で共闘する共産主義勢力 / 毛沢東思想の米国への適合 / 毛沢東VS宮本顕治 / 真岡銃砲店襲撃事件
 第15章 人民戦争理論と同床の「PCR原理主義」 191
PCR拡大論者の共通点 / PCR拡大というテロ行為 / 毛沢東主義とPCRテロ / 尾崎治夫・東京都医師会会長
 第16章 日本の「現職マオイスト」と「親中政党」 203
現職マオイスト知事 / 日本学術会議とマオイスト / 現職ニュースキャスター / 人民戦争理論とオスプレイ反対運動 / 米機関が認定した「公明党の親中」 / 対日工作は保守政権の中枢まで
 第17章 LGBT理解増進法と毛沢東主義 221
BTLM ―― 現代の毛沢東主義プロパガンダ / 社会の不安定化と相互不信の増進 / 「性自認」という沼 / エスカレートする左翼の要求 / 「五輪憲章に合わせる」というウソ / 分断のタネを撒く

あとがき 240  


まえがき

  「アメリカは、正義と自由の国だ」―― アメリカ人の多くがそう自負している。真偽は別として、その自負こそが、資本主義・自由主義陣営の盟主としてのアメリカの根幹を支えてきた。
 ところが2020年に起きた2つの大きな現象は、アメリカの根っこに横たわる「不正義」と「不自由」を世界に知らしめた。
 一つはBLM運動だ。黒人人権運動を標榜したBLM抗議デモは、全米各地で略奪・放火へと過激化し、通りがかりの白人が殴打される事案が相次いだ。
 彼らの運動目標の一つが「警察解体」だった。治安維持を担当する警察自体を憎悪の対象とするスローガンは、社会を騒擾させ弱体化させるという、BLM運動の歪んだ本質をハッキリと示していた。
 そして、黒人の命や生活を守ることが本当の目的ならば、BLM運動に終わりはないはずだ。今でも多くの黒人が貧困に喘ぎ、まともな職に就けず、黒人が黒人に殺される犯罪が続発している。
 ところが大統領選挙が終わり、アメリカの大統領がドナルド・J・トランプからショー・R・バイデンに交代した途端、少なくともデモや抗議活動という形でのBLM運動は、ウソのように静かになった。
 なぜBLMは大統領選挙の年に、憎悪に満ちた過激な抗議活動として燃え盛り、トランプ氏の退場ともに何事もなかったかのように消退していったのか。それは、BLMが自発的な黒人人権運動などではなく、人為的にコントロールされた「反トランプ運動」だったからだ。
 
本編では、BLMがいかに外国勢力によって組織され指揮されていたか、その全貌を明らかにする。
 BLMと入れ替わるように再燃したのが、新型コロナウイルスの起源論争だ。
 2020年の4月、大統領だったトランプ氏は「-証拠を見た」と明言した。
 ところがこの発言は、「大統領による陰謀論」「根拠のないトンデモ理論」として非難され、研究所流出説は口にするのも憚られるようになり、封印された。アメリカの保健当局とメディアが束になって創出した、陰謀論という名の「不自由」である。
 しかし、2021年5月にバイデン大統領が研究所流出説の可能性について言及して、アメリカのすべての情報機関に徹底調査を指示したことで、事態は180度変わった。今では、武漢ウイルス研究所からの流出について、しっかりと検証しなければならないという空気が、政府でもメディアでも支配的だ。
 それでは、2020年4月のトランプ発言は何だったのか。それはなぜ1年以上放置されなければならなかったのか。
 アメリカで、何か途轍もないことが起きている。大統領選挙の最中からそう確信していた私は、2020年12月と2021年3月の2度の現地調査で、アメリカ社会の「異変の断片」を拾い集めた。
 そこから見えてきたのは、内外のさまざまな勢力によって、民主主義の土台をシロアリのように食い荒らされ、ボロボロにされた、アメリカの衝撃的な姿だった。
 そして、60年以上かけてアメリカを蚕食し破壊しているのが「共産主義ウイルス」であり、その震源地がカリフォルニアにあることも突き止めた。
 共産主義ウイルスは、日本にも、何十年も前から攻め入り、政財官マスコミの各界の奥深くまで浸透している。
 このままでは、日米はいずれも「共産主義パンデミック」に襲われ朽ち果てていく。それはもはや時間の問題なのかもしれない。
 本編では、拾い集めた「断片」を、剥き出しのままファクトとして提示するよう努めた。そこから、日米に迫る「赤い危機」のリアリティをどう汲み取るかは、読者次第である。


「黒人未来研究所」と兄弟団体

 この謎めいた、閉鎖的な中国人組織(「華人進歩会」のこと)が、アメリカ全土に毎年ばら撒いているカネは、その外観からは想像もつかないほど巨額だ。
 たとえば、黒人未来研究所が設立された2017年の華人進歩会の会計報告書を見ると、385万ドル(約4億2700万円)あまりの収入があり、このうち255万ドル(約2億8000万円)を、黒人未来研究所を含むさまざまな団体に拠出していることがわかっている。
 他の年を見ても、毎年4~10億円前後の収入があり、3~9億円前後を全米の各種団体にばら撒いている。外見上は商店主の互助会にしか見えない華人進歩会は、一体どこから巨額の資金を調達しているのだろうか。
 もう一つの特徴が、黒人未来研究所との異様な蜜月だ。特に2020年には、華人進歩会は黒人未来研究所の主宰する反トランプの街宣やさまざまな抗議活動に、積極的に参加していたことがわかっている。
 中国共産党が発行する人民日報の英語版「チャイナ・デイリー」は、2020年6月、こんな記事を掲載した。
 「6月1日、華人進歩会のメンバーが、サンフランシスコ市庁舎の正面玄関前で、警察に蹂躙された黒人家族のために正義がなされることを願って脆くデモンストレーションに、他の数千人の参加者と共に参加した」
 華人進歩会と黒人未来研究所の関係を暴く、決定的な事実がもう一つある。私か調査を始めた2021年2月段階では、黒人未来研究所のホームベージのロゴマークをクリックすると、なんと華人進歩会のホームページに自動的にジャンプしていたのだ。
 その後2021年6月上旬には、こうした謎のリンクは解消された。逆にいえば、黒人未来研究所は2017年の設立から4年近く、ホームページで華人進歩会と直接繋がっていたことになる。
 黒人未来研究所は単に華人進歩会から資金提供を受けただけでなく、ホームページの制作から日々の政治活動まで、あたかも兄弟団体であるかのように、ピッタリと寄り添って運営されていたのである。
 全米の過激なBLM運動を指揮した黒人人権団体が、共産主義思想に染まった中国人団体によって指揮・指導されていることは、もはや疑う余地もない。


彼らの真の目的は…

  それでは、トランプ氏が黒人にとって悪い大統領になるかどうか、まだわからない段階で、ガーザ氏が反トランプの姿勢を鮮明にしていたのはなぜなのか。
 ガーザ氏と背後にいる組織の真の狙いは、トランプ氏が大統領選挙を通じて明確にしていた外交姿勢を見れば、一目瞭然である。
 トランプ氏は2016年の大統領選挙期間を通じて、「アメリカ第一主義」(America First)を掲げ、特に製造業のアメリカ回帰を目標とした。
 そして、偉大な超大国アメリカを復活させる(MAGA=Make America Great Again)というスローガンを連呼した。
 「製造業復活」と「強いアメリカ」―― トランプ政権の2大目標の、最大の障害が中国だった。だから、大統領選挙期間を通じて「中国に巨額の関税を課し、アメリカに製造業を回帰させる」と訴え続けたのである。
 そして、2017年1月に正式に大統領に就任したトランプ氏は、有言実行とばかり、どう中国と対峙するつもりかを明確に示す閣僚人事を断行した。
 最も象徴的だったのが、カリフォルニア大学経済学部教授だったピーター・ナヴァロ氏の抜擢だ。
 『中国は世界に復讐する』(イースト・プレス)や『米中もし戦わば ―― 戦争の地政学』(文芸春秋)などの著作で知られる、対中超強硬派のナヴァロ氏の哲学は、米中の2国間関係に留まらない。
 「中国は近い将来、必ず世界覇権を取りに来る」
 「中国に覇権を譲れば、世界は暗黒時代に突入する」
 「それを防げるのはアメリカだけであり、今が最後のチャンスである」
 中国共産党を絶対悪とみなし、総力を挙げて駆逐すべしと訴えてきたナヴァロ氏を、通商政策を統括する新設の閣僚ポスト「国家通商会議議長」に据え。これだけで中国共産党からすれば、トランプ政権は「前代未聞の危険な政権」だということになる。
 そして宣言通り、トランプ大統領は通商政策の切り札である関税を次々と引き上げ、中国共産党と中国経済を締め上げた。
 華人進歩会が支援・指導し設立された黒人未来研究所が、当初からトランプ政権への敵意を剥き出しにしていたのは、ある意味では当たり前ともいえる。
 逆に言えば、トランプ政権発足後、半年で黒人未来研究所が設立された経緯を見れば、「黒人の地位向上」という団体の設立目的ですら、中国共産党の敵であるトランプ打倒という真の目的を隠す、「偽装」に過ぎなかったとすら思えるのである。


ブラックパンサー党からBLM運動へ

 前身となったのは、毛沢東が檄文の冒頭で名前を挙げたロバート・F・ウィリアムズという黒人テロリストが率いる「革命的行動運動」(RAM=Revolutionary Action Movement)だ。
 東海岸中南部のノースカロライナで、中国の支援を受けて毛沢東主義を実践していたウィリアムズ氏は、穏健な左翼団体だったRAMをライフル銃で武装させ、一気に過激化させた。その後、自由の女神やワシントン記念塔を爆破する計画を立てたり、白人カップル襲撃を繰り返したりして、計画的に社会騒擾を引き起こした。その後ウィリアムズ氏は、テロリストとして逮捕状が出てアメリカにいられなくなり、亡命先のキューバや中国から「クルセイダー」(十字軍兵士)という機関紙を発行、アメリカ国外から毛沢東主義者を鼓舞し続けた。
 ブラックパンサー党を立ち上げたヒューイ・P・ニュートンとボビー・シールというオークランドの2人の黒人も、最初はウィリアムズ率いるRAMのオークランド支部で活動していた。
 その後、RAMを自立させる形でブラックパンサー党を立ち上げた2人は、中国に逃れたウィリアムズを仲介として、毛沢東の指導と支援を受けながら、ブラックパンサー党の政党活動とテロ活動を同時並行で展開した。
 結党時の幹部が必ずと言っていいほど自動小銃を携行しているのも、暴力革命を提唱した毛沢東主義を根本理念としていた動かぬ証拠である。
 ブラックパンサー党は結党にあたって、次のような活動綱領をまとめた。
・黒人および抑圧された地域社会の自決権を要求
・黒人をはじめとするすべての人民の完全雇用を要求
・黒人コミュニティに対する資本家の搾取の終わりを要求
・人間が居住するに値する最低限の住宅を要求
・人民のための、アメリカ社会の真実を暴露する教育を要求
・真実の歴史と、社会における黒人の役割を教える教育を要求
・すべての黒人と、抑圧された人民の完全な健康回復を要求
・我々は警察官による、アメリカ合衆国国内における黒人および抑圧されたほかの人種の人々に対する暴力行為の即時停止を欲する
・すべての侵略戦争の即時中止を要求
・我々は、国立、州立、地方、都市、および軍の刑務所に収監されている黒人の解放を要求する。この国の法律のもとで、いわゆる犯罪のために告訴された囚人のために、同じ階層出身の陪審員による裁判を求める
・土地、パン、教育、住宅、衣服、正義、平和および現代技術による地域社会の自治を要求

 すなわちブラックパンサー党は「暴力革命による共産主義社会の実現」を目指しつつ、
・警察による黒人弾圧への抵抗
・黒人中心の歴史教育の再構築
・白人支配層(資本家)の徹底批判
 を掲げた。
 これらの主張は、2020年のBLM運動のスローガン、
・警察解体
・黒人の人権擁護
・トランプ批判
 と瓜二つだ。ブラックパンサー党の理念は、55年の時を跨いで、BLMに継承されているのである。
 こうした「毛沢東主義の永続的継承」の拠点となったのが、ブラックパンサー党がオークランド市内各所に設置した、
・人民病院
・食料品配給センター
・貧困対策センター
 である。
 炊き出しや無料の医療サービスを求めて集まってくる貧困層の黒人をターゲットに、こうした各種福祉センターで共産主義思想を教え込むシステムをつくり上げたのだ。


通底するBLM、LGBTと毛沢東主義

 しかし2021年6月、毛沢東主義者と毛沢東思想のアメリカヘの浸透に警鐘を鳴らし続けているゴンザレス氏に、思わぬ援軍が現れた。
 ワシントンDC郊外に住む、中国系移民のシ・ヴァンフリートさんだ。毛沢東の文化大革命の最中にアメリカに亡命したシさんは、今アメリカで行われている社会制度改革は文化大革命当時の中国と瓜二つだと主張したのだ。
 シさんが槍玉にあげたのが、ゴンザレス氏がインタビューで言及していた「批判的人種理論」(Critical Race Theory)である。 バージニア州の学校で導入が検討されている「批判的人種理論」とは、
・アメリカ社会は人種、性的指向などで差別されている
・頂点に君臨するのは、「白人」「男性」「異性愛者」「健常者」「中上流会級」という属性を持つグルー プである
 としたうえで、
・アメリカ社会は、「黒人」「女性」「性的マイノリティ」「身体障害者」「低所得者」に対して、永続的に謝罪し賠償する義務を負う
 という考え方である。
 シさんは、批判的人種理論は社会を分断し憎悪で満たす、「毛沢東思想の焼き直し」だと指摘し、アメリカ社会を破壊するものだと強く批判した。
 実際、批判的人種理論は、黒人の権利をことさらに強調し略奪まで正当化したBLM運動の理論的支柱となったばかりでなく、昨今のLGBT擁護の風潮とも密接に関係がある。
 BLMやLGBTと毛沢東主義の関連を指摘したシさんが、毛沢東による文化大革命による大災禍の実際の経験者だっただけに、フォックスなどテレビメディアでも大きく扱われた。
 アメリカに忍び寄る毛沢東主義者の策謀に警鐘を鳴らすゴンザレス氏やシさんのような人の声に、少しずつではあるが注目が集まりつつある。


最強のブランド「黒人・女性・性的マイノリティ」

 「BLM運動によって6000万票が加算された。それがなければ、あなたがたの勝利はなかったのだから、我々の要求を聞け。我々と面会し、新政権の政策立案に関与させろ」
 こうした黒人サイドの上から目線は、ゴンザレス氏が指摘した「批判的人種理論」に起因する所が大きい。ガーザ氏もカラーズ氏も「自分は黒人女性でかつ性的マイノリティ」と自称している。毛沢東思想の「最も抑圧された者こそ、最も強く権利を主張する権利がある」という理論に照らし合わせれば、「黒人・女性・性的マイノリティ」は、今や最強のブランドなのだ。
 それにしても、新しく選ばれた大統領に対して、これだけ露骨で傲慢な要求をする団体というのは、あまり聞いたことがない。少なくともこれまでは、政治に対する圧力は、一般国民から見えない所で密やかに行われてきた。
 華人進歩会が選挙期間中にバイデン陣営のキャンペーンCMにイチャモンをつけ、BLM運動が選挙後に見返りを要求する。
 この2つのエピソードは、バイデン陣営が選挙戦を通じて「黒人」「中国系」にいかに依存していたかを雄弁に物語っている。
 
カラーズ氏が書簡を公表した1週間後、黒人未来研究所は華人進歩会から1億円の寄付を受領していたことが、会計資料から判明している。寄付の名目は「特別プロジェクト」。
 大統領選挙の結果が事実上確定し、カラーズ氏がバイデン氏に見返りを要求した直後の寄付。これについては、2つの可能性が噂されている。
 一つは、BLMサイドの見返り要求に対して、バイデン陣営が直接回答する代わりに、華人進歩会が「見返り供与を代行」したケースである。この場合、バイデン政権と華人進歩会は、想像以上に密接な連携関係にあることになる。
 あるいは、バイデン政権への見返り要求と関係なく、華人進歩会がバイデン当選の成功報酬として1億円を寄付したケースである。
 この場合、華人進歩会は「バイデン当選」=「トランプ再選阻止」というミッションを、何らかの組織ないし勢力から請け負い、黒人未来研究所を設立した。そして、当初の目的を達成した報酬として92万5000ドル(約1億円)を寄付したことになる。
 もちろん、大統領選とはまったく無関係なプロジェクトに対する寄付である可能性もゼロではない。しかし、それならば「特別プロジェクト」(Special Projegt)というような漠然としたテーマでなく、具体的な寄付名目が勘定項目に記載されているはずだ。
 いずれにしても、
・黒人未来研究所が、華人進歩会の資金で設立されたこと
・華人進歩会が昨年5月段階ですでにバイデン支持を明言していたこと
・寄付が大統領選の結果確定の1週間後だったこと
・寄付名目が「特別プロジェクト」であること
 などを考えれば、92万5000ドルはバイデン勝利に貢献した黒人未来研究所に対する何らかの成功報酬とみるのが自然だ。
 サンフランシスコの中華街にある雑居ビルに小さな事務所を構える華人進歩会は、どこから潤沢な資金をかき集めているのか。そして、2020年11月にどんな目的で1億円の資金を黒人未来研究所に拠出したのか。
 カリフォルニア政界に詳しい私の知人は、こう証言する。
 「トランプ政権発足の(2017)年に、華人進歩会の資金で黒人未来研究所が設立されたこと、そして黒人未来研究所が設立当初からトランプ再選阻止を最重要活動目標に掲げていたことは、紛れもない事実です。そしてバイデン勝利、すなわちトランプの再選阻止に成功した1週間後に92万5000ドルが華人進歩会から黒人未来研究所に寄付されたのは、成功報酬と見る他ないでしょう。華人進歩会の収入は、表向き中国系移民の会社、団体、個人からの寄付によって成り立っています。この場合、本来中国系移民の権利増進を謳う華人進歩会が成功報酬を支払うのは、華人社会にとって望ましい法律が成立したり、補助金の支給が決まったりした、いわば具体的な成果が確定したタイミングで支払われるはずです。

~ 中略~


 ところが、『トランプ大統領の再選を阻止する』という目標は、トランプ大統領が再選後に中国系移民の嫌がる法案や予算措置の実施をあらかじめ宣言するなど、再選阻止が華人社会にとって直接的な利益になる状況が現出している必要がありますが、昨年1年間を通じてそういう状況にはまったくありませんでした。
 92万5000ドルは、寄付金ベースの華人進歩会にとって、決して小さな額ではありません。華人進歩会に簿外のまとまった資金が入っていないか、それが『トランプ再選阻止』という目的での資金提供ではなかったかなど、解明すべき疑惑が山積しています」
 大統領選挙後に次々と明らかになる、「バイデン陣営」「黒人」「中国人」の露骨な連携と報酬。これらは、ゴンザレス論文が指摘しニューヨークタイムズが否定した、「中国共産党の黒人を利用した大統領選介入」という仮説を、強力に補強し続けている。


目先の利害が噛み合ったWHO武漢調査団

 さらに2020年3月には、もう一つの国際組織が武漢ウイルス研究所起源説の圧殺に加担した。他ならぬWHO(世界保健機構)である。
 2月からWHOの調査団を受け入れた中国だったが、
・調査は中国側とWHOの合同調査とし、
・それぞれ17名からなる調査チームをつくり、
・WHO側は中国側が提供する情報に基づいて調査を行う
 という、枠組みからして完全な中国主導の調査となっていた。
 この調査団の構成や調査内容を指揮したWHOのテドロス事務局長は、エチオピア出身で、自他ともに認める毛沢東主義者だ。母国では、暴力的共産主義革命を目指す「ティグレ人民戦線」という政党の代表を務めていた。
 そしてWHO調査団の中で中心的な役割を果たし、受け入れを決定した時、重要な働きをしたのが前述の「エコヘルス同盟」代表のピーター・ダスザック氏である。
 アメリカ政府は武漢調査団のメンバーとして3人の科学者を推薦したが、全員が中国側に受け人れを拒否された。代わりに調査団入りしたのが、ダスザック氏だった。
 しかも、中国側が受け入れたWHO側の武漢調査団17名のうち、6名がダスザック氏の元で研究していた人物だったという。
 ダスザック氏個人も、これまでに中国政府の研究者と共同で20以上の論文を書き、中国人民解放軍を含む中国共産党機関の資金での研究も請け負っていたことがわかっている。
 また2014~2020年にかけて、ダスザック氏は国立衛生研究所「NIH」から得ている助成金を武漢ウイルス研究所での研究に充て、「コウモリ女」の異名をとる、武漢ウイルス研究所研究員の石正麗氏とともにウイルス兵器の研究も行っていたという。
 武漢ウイルス研究所とダスザック氏の蜜月関係が知られるに連れて、ダスザック一派が調査団に入れば、公正な調査ができなくなると懸念する声があかっていた。
 今では多くの科学者や研究者が、WHOの調査を批判する声明を発表している。
 まとめられた報告書は案の定、
・ウイルスは自然発生的なものであり、
・武漢ウイルス研究所からウイルスが流出した可能性は非常に低く、
・冷凍食品の中に入ったウイルスが中国国外から持ち込まれた可能性がある
 など、中国政府の注文通りの「お手盛り報告書」となった。
 BLM同様、WHOの事務局長などの毛沢東主義者と、中国共産党と目先の利害ががっちりと噛み合っているアメリカ側の関係者が、新型コロナウイルスの真実を激しく隠蔽し続けてきたのである。


毛沢東思想の米国への適合

 毛沢東は共産主義を中国に適合させ、暴力革命論を世界に拡散する過程において、「人民戦争理論」と「第三世界論」という、毛沢東思想の骨格をなす2つの理論を提唱した。
 人民戦争理論とは「全人民の力量で敵に打撃を与える」とした戦争論で、「プロの正規軍と人民大衆を有機的に結合させる」とした。
 「第三世界論」は、アメリカとソ連という当時の2つの超大国を「第一世界」、米ソいずれかと同盟を結んでいる国々を「第二世界」、いずれとも同盟を結んでいない国々や集団を「第三世界」と分類した。
 第三世界には、中国をはじめとする主権国家のみならず、第一世界や第二世界の中の非支配階層も含めた。その代表的なものが、アメリカの黒人である。
 また1960年代後半、中国共産党内部の権力闘争のなかで、一旦失脚した毛沢東が自身の復権をかけて「文化大革命」を指揮した。これは当時の中国社会を「都市と農村」「資本家と労働者」「知識階級と非知識階級」などに分断し、後者が前者を憎悪し糾弾するという、文化啓蒙活動に名を借りた権力奪還闘争であり、凄惨な社会状況を意図的につくり出した。この結果、少なくとも2000万人以上の中国人が処刑されるなどして命を落とした。
 こうして見てくると、2020年に全米を席巻したBLM運動は、
・アメリカ社会を人種によって分断し、
・白人によって抑圧された黒人の権利回復をあらゆる分野で激しく要求し、
・暴動という暴力によって攬乱し、
・社会を不安定化させる
 という意味において、毛沢東思想を忠実に再現している。

 世界中のどんな社会にも、そこに不満を抱える階層がある限り、毛沢東主義者は「差別解消」「弱者救済」を唱えて言葉巧みに侵入してくる。そして、各国の多様な左翼・リベラルグループを懐柔し連携しながら、徐々に勢力を拡大するのである。
 もちろん、日本にも明治維新以降多様な左翼勢力が生まれ、それぞれ独立して活動しつつ、時に連携し、共闘してきた。
 それでは毛沢東主義は日本にどのような形で流人し、どういう位置を占め、現在はどのように活動しているのだろうか。
 日本の左翼は、国政レベルでは日本共産党、立憲民主党左派、日本社会党の残滓である社民党という3つの系譜、さらに中核派・革マル派・革労協など極左暴力集団を加えると4系統に大別される。
 それぞれのルーツを遡っていくと、1966年に行われた、毛沢東と、ある日本人の会談にたどり着く。


毛沢東主義とPCRテロ

 一方、世田谷区の保坂展人区長は8月4日に記者会見し、「PCR検査を1日3000件にまで拡充する」と表明、「いつでも・誰でも・何度でも」PCR検査が受けられる体制を構築するとぶち上げた。94万人足らずの世田谷区で1日に3000件のPCR検査ができるというのは、日本全体なら42万人というとてつもない検査体制である。
 この判断について保坂区長は、児玉氏のアドバイスを受け、無症候者を含むすべての希望者にPCR検査を実施する方針を固めたと説明している。
 65歳の保坂区長は、麹町中学校に通っていた60年代後半、極左の毛沢東主義グループであるML派の集会に精勤した「最後の新左翼世代」である。
 その後、1996年に社民党から衆議院選挙に東京22区から立候補し、小選挙区では惨敗したが比例復活。得票率わずか5.89%で議員バッジを付けるという不名誉な記録をつくったご仁である。
 PCR検査を急拡大すれば、「感染者数」も急拡大し、社会不安と政府への不満が増大する。毛沢東が主張した分断闘争の状況が、自動的に現出する。
 
政府批判のため、あるいはコロナ危機を殊更に煽って社会を萎縮させるため、あるいは資本主義の足場を破壊するため ―― 悪意あるPCR拡大論者の本音は、人それぞれだろう。そして、どのような真意や悪意を秘めていようと、自説を主張する権利は誰にでもある。
 だからこそ、諸説を受け止める我々は、それぞれの「識者」「専門家」「ジャーナリスト」の出自と真意を推し量ることが求められる。さもなければ、もっともらしい主張と大手マスコミの誘導に、国民までもが誤った選択をするリスクが高まってしまう。


現職ニュースキャスター

毛沢東主義者によるテロ事件、リンチ殺人、内ゲバは、多くの真っ当な日本人にとっては、共産主義の恐ろしさを思い知る反面教師となった。
 ところが、なかには毛沢東主義者の悪辣な犯罪行為への、シンパシーを隠さない人物もいる。その代表格が、TBSの「報道特集」でキャスターを務める金平茂紀氏だ。
 連続企業爆破事件を起こした新左翼テロリスト大道寺将司が2017年に獄中死した際金平氏はフェイスブックにこんな投稿をした。
 「午後、知人からのメールで大道寺将司死刑囚が東京拘置所で病死したことを知る。衝撃」 「1つの時代がまた終わっていくのだな、という大きな感慨のようなものに襲われた」 「本当に悲しい」
 大道寺は真岡事件の起きた1971年から凄惨なテロ活動を開始。連続企業爆破事件や天皇陛下お召し列車爆破未遂事件など、11件の事件で主導的な役割を果たした。
 1974年の三菱重工爆破事件では8人が死亡、376人が負傷した。亡くなったのは23歳から51歳のサラリーマンやオフィスレディで、たまたま現場を通りかかって大道寺らが仕掛けた爆弾に吹き飛ばされた。この犠牲者に対し大道寺ら犯行グループは驚くべき声明を出している。
 「爆死した人間は、『同じ労働者』でも『無関係の一般市民』でもない。彼らは日帝中枢に寄生し、植民地主義に参画し、植民地人民の血で肥え太る植民者である」
 自らが爆殺した無宰の市民を「寄生」「植民者」と侮辱する行為に吐き気を催さない日本人はほとんどいないだろう。ところが、金平氏は取材にかこつけて大道寺の葬儀に参列。こんな感想をツイッターに書き込んだ。
 「大道寺将司氏が娑婆に還った日、遺体と対面した。歴史のうねりを感じながら。享年68歳」
 死によって刑務所を出たことを「娑婆に還った」と表現し大道寺の死を悼んだ。金平氏にとっては、大道寺に殺された8人の犠牲者と遺族の思いなど、400人にもおよぶ負傷者の苦しみなど、一顧だにする価値もないのだろう。そして凶悪な殺人犯でありテロリストの獄中死こそ、悲しむべき出来事なのだろう。
 毛沢東主義者は、大道寺将司のようなテロリストばかりではない。
 毛沢東が人民戦争理論で「プロの正規軍と人民大衆を有機的に結合させる」と述べたように、革命家から一般国民まで、シームレスに暴力革命論を共有することを求めたのであって、金平茂紀氏のような自称ジャーナリストは、大道寺将司のような犯罪者と、一般国民を繋げる接着剤の役割を負わされているのである。
 公共の電波を預かる民放が、テロを称揚し助長する人物を、報道番組のキャスターにしていることこそ、日本における毛沢東主義浸透の顕著な一断面なのである。


人民戦争理論とオスプレイ反対運動

 1976年に毛沢東が死んだ後も、中国は地下に潜った新左翼を強力に支援し続けた。中国共産党が日本の左翼・リベラル層を支援し、支援を受けた日本人が中国の意向に沿った主張や政治活動をする構図は、今なおまったく変わっていない。それどころか鄧小平から習近平へと中国共産党指導体制が変わるにつれて、対日工作の度合いが深化・激化しているように見える。一番わかりやすかったのが、オスプレイ配備問題だ。
 オスプレイは、2つの大きな回転翼によってヘリコプターとしてもプロペラ機としても機能する、現代米軍の主力機の一つだ。在日米軍基地にはオスプレイ以外にも、数多くの軍用機や軍艦が配備されているにもかかわらず、なぜオスプレイに限って、日本で執拗な反対運動が起きたのだろうか
 配備反対運動ではオスプレイの事故率の高さが強調された。しかし実際は、オスプレイが10万3500時間以上の飛行で起こした事故はわずかに2回。オスプレイは、海兵隊の軍用機やヘリコプターの平均値より事故率がはるかに低いより安全な航空機なのだ。そして騒音も、ほとんどの指標で従来型のヘリコプターより低い。新規配備ならいざ知らず、旧型ヘリからの置き換えなら日本国民の負担はまったく増えない。
 にもかかわらず、オスプレイ配備に執拗な反対運動が展開された本当の理由は、その航続距離にあった。旧型機CH-46シーナイトの作戦行動半径は140キロメートルで、沖縄の基地からだと尖閣列島にすらたどりつけない。しかしオスプレイの作戦行動半径は4倍の600キロメートルで、尖閣はもちろん、台湾北部まで空中給油なしで到達できる。中国が「核心的利益」と強調する台湾有事の際、オスプレイは決定的に邪魔になる。
 オスプレイ反対運動の現場では、革マル派など新左翼の残党が大きな幟旗を掲げている。しかし極左を標榜しない政党の政治家や自称ジャーナリストも、事故率や騒音のデータを歪曲してまでオスプレイに反対した。まさに人民戦争理論の「革命家と人民の有機的連携」である。
 日本の左翼運動を陰に陽に指揮し、また共産主義者以外の各層への浸透工作も並行して多層的に進めてきた、中国共産党の面目躍如といえよう。
 こうして、現代日本には筋金入りの「ネオ・マオイスト」と、毛沢東主義者の本質的悪意に気がつかず賛同し協力している「情報弱者リベラル」が、多様な業界で枢要な地位を占めているのである。


米機関が認定した「公明党の親中」

 そして、毛沢東回帰を露わにした習近平の率いる中国へのシンパシーを持ち続けている「親中派」は、共産主義者に限らない。政界、官界、学界、法曹界、教育界、マスコミ界に至る、ありとあらゆるジャンルのありとあらゆる階層に、さまざまな思想的背景を持つ親中派が存在する。
 ワシントンDCの有カシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は2020年7月末、「日本における中国の浸透工作」と題する調査報告書を公表した。
 グローバル関与センター(GEC)の支援を得て作成されたと明記されている。GECは中国の対外的な影響力工作や政治宣伝への対応を任務としている。
 この、いわばアメリカ国務省のお墨付きの報告書には、統一戦線工作部など中国共産党と中国政府の諸機関が、孔子学院など文化教育組織を標榜した団体を駆使しながら、日本に対してどのように影響力を行使しているかが詳述されている。
 そして「日本には中国共産党の影響下にある組織・機関が数多く存在する」と指摘した上で、政党としては公明党の名前を挙げた。


分断のタネを撒く

 毛沢東思想は、社会を分断し、互いに憎悪させることで、資本主義を揺さぶろうとする。
 たとえば文化大革命では、
・政治的階層「持つ者と持たざる者」
・知的階層「知識層と労働者層」
・地域的階層「都市と農村」 などで社会を真っ二つに割った。
 2020年に全米を吹き荒れたBLM暴動は、アメリカ社会を「黒人と白人」に分断して憎悪を煽った。
 そして「差別した側」に対して罪悪感を植えつけ、「差別された側」が際限なく賠償を求め続けるのが、分断を長続きさせるコツである。
 ところが日本には、各種世論調査を見ても、そもそも歴史的に深刻な人種問題はなく、警察や自衛隊に対する信頼も厚い。
 そんな日本に分断と混乱を持ち込める数少ないテーマこそ、「性自認」なのだ。

 20世紀中頃の反共産主義運動「マッカーシズム」で有名なアメリカの上院議員ジョセフ・マッカーシーは、同性愛と共産主義を「アメリカの生き方への脅威」と呼んだ
 性自認、選択制夫婦別姓、女系女性天皇 ―― 性にまつわる「差別反対」を日本で声高に訴える勢力の真の狙いは何か。そこに、2000万人もの犠牲者を出した毛沢東の暴力革命を指向する人物が混入していないか。
 今も日本の各界各階層に跋扈する毛沢東主義者の策謀を慎重に見極めなければ、日本は早晩憎悪と分断のソドムに転落してしまうだろう。
 ベルリンの壁とソ連邦崩壊以降、共産主義革命勢力は雲散霧消し、もはや自由主義陣営にとって深刻な脅威ではなくなったと思われてきた。
 しかし2020年のアメリカで「コロナ禍の大統領選挙」という前代未聞の事態が引き起こしたさまざまな混乱と騒擾が、しぶとく生き残ったネオ・マオイスト(現代の毛沢東主義者)の存在を改めて浮き彫りにした。
 彼らは、社会に分断と憎悪を持ち込むプロフェッショナル集団である。かつては「富者と貧者(格差)」「持つ者(資本家)と持たざる者(無産階級)」といった、経済・政治的階級で社会を真っ二つに分断して資本主義を揺さぶった。
 一方、現代のマオイストがターゲットとするのは、「人種」「性差」「治安維持」といった対立軸であり、社会は2つないしそれ以上の集団に分けられ、最上位のグループに、それ以外のすべてのグループが団結して襲い掛かるという構図が取られる。
 
たとえば人種という対立軸では、アメリカ社会は「黒人」「ヒスパニック」「アジア系」「白人」などにグルーピングされ、「有色人種を搾取してきた階層」としての「白人」が「黒人・ヒスパニック・アジア系」というすべての非白人から血祭りに挙げられる。
 性差という対立軸では、男性優位の社会を改善するという「女性=弱者」という視点に、LGBT(性的マイノリティ)という観点が追加され、問題が一気に複雑化した。
 治安維持という対立軸では、警察そのものが批判の対象となった。「取り締まる人」と「取り締まられる人」という分断である。だからこそ「defund police(警察を解体せよ)」「All Cops Are Bastaeds(すべての警察官はクズ)」というような、日本では考えにくい運動が、BLMとともに全米に拡散した。これは結果として社会の治安維持能力の弱体化を招き、デモの暴徒化や、2021年1月の連邦議会議事堂襲撃事件などに繋がった。正に、毛沢東主義者が目指す革命の第一ステージ、「社会騒擾の深刻化」である。
 さらに、人種と性差をドッキングさせて分断と憎悪を煽るのが、近年全米を席巻している「批判的人種理論(CRT)」(8章参照)である。
 こうして、多層的な対立軸でバラバラに分断されたアメリカ社会でスケープゴートとされたのが「歴史的に長く最上位にいた階層」、すなわち「白人・男性・プロテスタント・性的マジョリティ(異性愛者)」である。
 ジョージ・フロイド氏を逮捕する際に死亡させたとして2021年6月に22年の実刑判決を受けた警察官のデレク・ショービン氏は、白人男性だった。彼が黒人や性的マイノリティであれば、全国に暴動が拡大することはなかったと信じられている。
 そして、このスケープゴートのカテゴリーにピッタリと当てはまったのが、2020年の大統領選挙で再選を目指した「トランプ・ベンス」コンビだった。対するバイデン氏はカソリックという宗教的マイノリティだったし、副大統領候補のカマラ・ハリス氏は、父はアフリカ系、母はインド系という、人種的マイノリティだ。
 アメリカでは、もはやマイノリティであることが武器となり、マジョリティであることが弱点となる、極めて歪な社会ができ上がってしまった。これも元はといえば、分断と憎悪によって社会を弱体化させるというマオイストの手法が、アメリカ社会の隅々にまで浸透してしまったからに他ならない。
 翻って我が国はどうか。天皇陛下の下で、知的レベルと遵法精神の高い国民が、経済的にも豊かに、睦まじく暮らす「和の国」。こういう社会が一番分断しにくい。
 
世界中の社会に分断と憎悪を持ち込んできたマオイストにとっても、日本には使える「対立のタネ」が極端に少ない。階級格差も使えない、経済的格差も少ない、人種問題もない。だからこそ日本のマオイストとグローバリストは、唯一の切り口である「性差」にこだわるのだ。
 「LGBT」「選択的夫婦別姓」「女系女性天皇」。コロナ禍という国難の中でさえ、不要不急の性差課題をことさらに待ち出す勢力の狙いは、日本の伝統・文化の破壊だ。
 そして、彼らが今ターゲットとして照準を合わせているのが、自民党内の保守政治家だ。彼らの弛まぬ工作によって、例えば選択的夫婦別姓の導入については、自民党内でも賛否が拮抗するところまで来ている。
 「性差別解消」という美名の背後に、日本固有の誇るべき社会そのものを敵視し破壊しようという集団が蠢いていることを自覚しない限り、日本が日本ではなくなる日が遠からずやって来る。


あとがき

 アメリカの政治と社会は、その中身を知れば知るほど、世界的に見ても極めて特異であると痛感する。
 特に注目すべきなのは、各州の独立性である。州ごとに憲法と軍隊があり、50州50様の多様性を維持している。州ごとに住民の体質や考え方も大きく異なるので、まるでそれぞれの州が独立国家のようだ。アメリカは日本のような純粋な単一国家というより、EUのような連邦国家とみなした方が実態に近い。
 この「各州の自立」は、建国の理念と深く関係がある。イギリスの植民地としてスタートした白人国家としてのアメリカは、「本国からの自立」が初期の至上命題となった。彼らが目指したのは政治的な独立のみならず、経済的、社会的、精神的な面も含めた、総合的な自立だった。
 この総合的自立を目指した独立戦争の最中に生まれたスローガンが「俺に構うな」(Don't Tread On Me)だ。黄色地にガラガラヘビがこちらを睨みつける「ギャズデン(ガズデン)旗」と共に、アメリカの自主独立を謳うキャッチフレーズとして、今でもさまざまな局面で登場する。
 もう一つの独立戦争時のスローガン「代表なくして課税なし」と並んで、「俺に構うな」は、建国の精神とアメリカ独特の政治思想を象徴している。
 2021年夏、アメリカでは「HR1」という、大統領選挙や連邦議会選挙を司る投票法改正案をめぐって、共和党を中心とする保守層と、民主党を中心とするリペラル層が激しい論戦を展開した。民主党が提案したのは、在外投票や郵使投票のハードルを下げ、不法移民にも投票の道を開く大改革案だ。
 この法案が成立すれば、移民や貧困層など社会的弱者の国政選挙参加のハードルが一気に下がる。社会的弱者は民主党に投票する傾向が強いと見られているから、結果として民主党を利する変更となるのは明らかだった。
 しかしこの法案には、もう一つ重大な論点があった。全米一律で投票のあり方を規定する項目が盛り込まれていたため、「各州の独立性を毀損する」という反対論が噴出したのだ。
 同じような論点で、2021年のアメリカで議論の対象となっているのが、ワシントンDCの扱いである。建国以来の南北対立を緩和する目的で、アメリカの首都は1800年、北部に属するメリーランド州と南部のバージニア州の境界線上に置かれた。そして南北の政治的対立に翻弄されることがないよう、首都の住民は連邦議会議員を選出しないことになった。
 民主党はこの伝統を変え、ワシントンDCからも連邦議会議員を選出するべきだと主張する。
 「代表なくして課税なし」という独立戦争当時のスローガンを持ち出して、「すべてのアメリカ国民に連邦議会議員を選ぶ権利を与えよ」というのが、民主党の表向きの主張である。
 しかしこの主張にも、HR1と同様に民主党を利するカラクリが潜んでいる。ワシントンDCは「超リベラルエリア」として知られていて、民主党支持者の割合が圧倒的に多い。2020年の大統領選挙では、有権者の93%がバイデン氏に投票し、トランプ氏に投票したのはわずか5%だった。もし、ワシントンDCから連邦議会議員を2人選ぶことになれば、2議席とも民主党が取る事は確実である。
 2021年現在のアメリカ上院の勢力は、50対50で共和党と民主党が同数である。ここにワシントンDCの議席2つが加われば52対50となり、民主党は首の皮一枚抜け出すことができる。
 「すべてのアメリカ人に平等な選挙権を!」という一見真っ当な主張の背後にも、剥き出しの勢力争いが横たわっているのだ。
 しかし、少なくとも表向きの議論で、問われたのは、「アメリカとは何か」「州の独立性とは何か」「自由で聞かれた選挙のあり方とはどのようなものか」という、いわばアメリカという国家の根本哲学だった。
 民主党は、HR1で「移民や貧者に手を差し伸べる」姿勢を強調し、ワシントンDCの参政権をめぐって「すべての有権者の平等」を訴えた。これは「自由・平等・博愛」というフランス革命的価値観と深く繋がっている。
 これに対して、共和党がこだわっているのは「個人や州の自決権」や「ワシントンDCが設置された歴史的経緯」といった、アメリカ固有の伝統・文化だ。
 「自由・平等・博愛」というフランス革命的価値観を錦の御旗に、黒人やLGBTなどマイノリティの権利拡大を訴える民主党の基本姿勢は、単純でわかりやすい分、広く受け入れられやすい。
 これに対して共和党の「アメリカ固有の伝統・文化」を重視する姿勢は、アメリカの歴史や社会を知らない者にはわかりにくく、また個人の価値観によって左右されるだけに、支持が大きく広がりにくいという弱点がある。
 そこにつけ込んだのが、現代の共産主義者たちである。彼らはまず、黒人や移民、性的マイノリティなど「歴史的社会的弱者」の怒りと憎悪を惹起し、アメリカ社会に分断と憎悪のタネを植え付けた。
 そして大統領選本番の2020年、全米の黒人を指揮して暴力的な抗議活動を激化させる一方、民主党や大手メディア・SNS企業と共闘して、「共産主義の敵」「中国共産党の敵」であるトランプ氏を倒すという、大目標を達成したのである。
 ところが、負けたのはトランプ氏だけではなかった。社会に渦巻く相互不信、人種間の対立、性差による対立、富裕層と貧困層の対立。大統領選挙後もアメリカ社会には深い分断と憎悪が残った。
 そして、大統領制と行政機関、選挙制度、メディアといった、アメリカ政治の根幹を支えるはずの重要な要素と機関が根腐れを起こし、機能不全を起こしていることが次々と明らかになった。

 残念ながら、いくら超大国でも、土台をシロアリに喰われた国は長くない。共産主義勢力は、世界の資本主義陣営のリーダーであるアメリカそのものを破壊すべく、今後も着実に歩みを進めるだろう。忍び寄る共産主義テロリストの内なる侵略を、今のように無防備なまま放置すれば、アメリカは守るべき「アメリカらしさ」を失いつつ、急速に弱体化していくだろう。
 そして日本でも「自由・平等・博愛」を掲げる「フランス革命至上主義者」と、社会に分断と憎悪を植え付ける「毛沢東主義者」は、手に手を携えてあらゆる階層に侵入し、跋扈している。
 こうしたリベラリズムとマオイズムの共闘に、どう抗していけばよいのか。重要なヒントを与えてくれるのが、フランス革命期に活躍したイギリスの政治家、エドマンド・バークだ。
 「保守思想の父」と呼ばれるバークは、フランス革命の理念、すなわち「自由・平等・博愛」というスローガンそのものが、社会の安寧を破壊するとして激しく批判した。
 バークは、そもそも人間は「間違いを犯しやすい」生き物であり、個々の人間の知性や理性には限界があるとみなす。だからフランス革命のような「短期間に考案された、不完全な人間による不完全な思考の産物」によって、社会を革命的に変化させるべきではなく、長い時を経て醸成された伝統や文化という「集合知」こそ、重視するべきだと主張した。

 バークの論考に従えば、「男女平等」というフランス革命的価値よりも、「男系男子の皇統」こそが、日本人が守るべき集合知だということになる。
 バークはこんな言葉を残している。
 「祖先を顧みようとしない人々は、子孫のことも考えようとはしないであろう」
 壊れゆくアメリカを他山の石とし、日本固有の伝統文化を守っていけるか。
 そのための大前提となるのが、「平等」「博愛」といった一見耳触りの良い主張に丸め込まれず、日本の伝統文化のかけがえのない価値を再確認し、バーク的論考によって理論武装していくという、「真の保守の再興」である。
   
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