慰安婦像を世界中に建てる日本人たち<西早稲田発→国連経由→世界>
副題の「西早稲田発→国連経由→世界」をご覧になって、「ホントそうだよな」と思う方もいらっしゃると思います。
慰安婦問題の火付け役として吉田清治、宣伝担当として朝日新聞が有名ですが、その背後にあってそれらを利用し何かを企む勢力が存在するということのようです。さらにそういう勢力を育て援助している国がある・・・。
そして大高未貴さんが著書「父の謝罪碑を撤去します」でも解説するように、慰安婦問題は戦時労働者問題やアイヌ問題ともつながっているのだそうです。
本書を読んでさらに勉強したいと思います。
杉田水脈さんの「慰安婦像を世界中に建てる日本人たち」 を紹介するために、以下に目次や目を留めた項目をコピペさせていただきます。
興味が湧いて、他も読んでみたいと思ったら、本書を手にしていただければと思います。
目次
はじめに 3
■年表-慰安婦問題の主な経緯 10
■年表-2015年以降の経緯 12
第1章 本当の敵は日本人
「赤い絵」を掲げる人々 20 /
西早稲田2-3-18 28 / 西早稲田発国連行 35 / 日本政府と左派系NGOが“共闘” 39 / 恥を知れ 42 / あなたは性奴隷です 47
第2章 敵視される在外邦人
ジャパン・ハウスなんていらない 54 / 課題図書も反日小説 58 / 日本名で呼ばないでほしい 61 / 「アメリカ人」にならない韓国系移民 64 / 状況は変わりかけたが… 70
第3章 国連が慰安婦問題に介入する理由
国連は「慰安婦」だらけ 78 / 国連の「良心」を利用する左派NGO 84 / 日本の民法にまで介入 87 /
林陽子とは何者か 90 /
法の不遡及を無視した慰安婦問題 95 /
「異なる意見」に委員が動揺 100 /
クマラスワミ報告の撤回を要求 105
第4章 日本政府の「前進」と「後退」
注目された審議官発言 112 /
「強制連行」「性奴隷」をきっぱり否定 117 /
英語で公表されない日本の立場 121 /
国連回答をめぐる二転三転 125 /
背後に潜む日韓合意 129 /
どこの国の外務省か 132 /
国連は挺対協の代弁者か 136 /
行き過ぎたジェンダーフリー 138
第5章 危機に直面する世界を見た
反日映画上映会に潜入 146 /
過度なマイノリティーの保護 155 /
親中に傾くオーストラリア 158 /
日本企業に対する不可解な抗議デモ 165 /
空爆記念式典に芽生えた反日 169 /
ベトナム人大虐殺 172 /
ベトナムの二つの人権問題 176 /
男女同権が新たな問題を生む 182 /
理想とされるデンマークの福祉の罠 186
第6章 国内で暗躍する敵を討て
「保育園落ちた日本死ね」は愚か 194 / 保護者に教育を与えよ 199 / 貧困を自分で判断する若者 203 /
「AV女優=性奴隷」が世界に広まる 207 /
地方分権の是非 211 / 「セクハラ」が社会を窮屈にする 215 / ヘイトスピーチと「性奴隷」はワンセット 220 / 共産党を支える公務員労働組合 224 /
被災地をかき乱す左派系団体 230 /
左派の最後の砦 237
はじめに
2017年、慰安婦問題の主戦場は「国連」に移ったと考えてよいでしょう。
日本や韓国、中国など9ヵ国・地域の市民団体により、「国連教育科学文化機関」(ユネスコ)の「世界の記憶」(記憶遺産)に2744点の「慰安婦に関する資料」が申請され、17年2月末から審査が始まるのです。審査は進展があるたびにユネスコのホームページで報告されますが、その内容自体は非公開のため、私たちは10月に発表される見通しの結果を待つしかありません。
14年8月、朝日新聞が慰安婦に関する「世紀の誤報」を認めたことで、日本国内でいまだに「慰安婦=性奴隷」と考えているのは、一部の左派勢力だけになりました。しかし、世界では、まだまだこの嘘を信じている人は多いのです。
ユネスコは15年、「南京事件に関する資料」を記憶遺産に登録しましたが、慰安婦資料については、いったいどのような判断を下すのでしょうか。資料の中には中国が提出したものも含まれています。万一登録されるようなことになると、韓国が「20万人」と主張している慰安婦の数が、中国の主張する「40万人」に膨れ上がる可能性もあります。慰安婦資料の記憶遺産登録を絶対に許してはならないのです。
私は15年7月にスイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪れたのを皮切りに、合計4回にわたって国連に足を運び、「国連女子差別撤廃委員会」などでスピーチを行い、慰安婦の強制性を否定しました。しかし、現地では、慰安婦問題について、まるで日本が「性奴隷国家」であったかのように訴える「反日」日本人の姿を見せつけられることになりました。日本人が日本を貶めるために、国連内部で工作活動をしていたのです。彼らの活動を放置すれば、国際社会における日本の品位と評価は下がり続けることになると痛感しました。
私は本書で、国連や反日施設などに潜入し、目の当たりにしたことをすべて明らかにしたいと思います。
韓国は、相変わらず慰安婦問題で日本を貶めようとしています。
15年末に日韓両政府の間でなされた「日韓合意」に基づき、日本政府は16年8月、元慰安婦を支援するため韓国政府が設立した財団に10億円を拠出しました。しかし、ソウルの日本大使館前にある慰安婦像が撤去されないばかりか、新たな像まで次々と設置されています。16年12月には、釜山の日本総領事館の近くにも像ができました。
像の設置計画を推進しているのは、政府ではなく、韓国の市民団体です。しかし、政府がそれを黙認しているようでは、日韓合意で謳われたように、慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決」することは不可能であり、日本から10億円を受け取った韓国政府は、早急に対処しなければならないはずです。
日韓合意は、アメリカの意向が反映されたものだと私は考えています。世界の脅威となった中国と対峙するためにも、日米韓が足並みを揃えなければならないからです。合意を反故にしている韓国に対して、アメリカは今後どのような対応をとるのでしょうか。
17年1月20日、ドナルド・トランプ新大統領が誕生しました。トランプ氏は16年12月、国連安全保障理事会でイスラエルの入植活動を非難する決議が採択されたことに対し、「国連は大きな潜在力があるのに、現在は人々が集まり、おしゃべりし、楽しい時間を過ごすためのクラブにすぎなくなっている」とツイッターで批判しています。また、政権移行チームの報道担当者は、トランプ氏が国連に改革と変化を求めていくことを明らかにしました。
慰安婦問題において、日本は想像以上に深刻な状況にあります。しかし、韓国が揺らぎ、国連に不信感を抱くアメリカ大統領が誕生した17年は、日本にとって必ずチャンスが訪れるはずです。
慰安婦問題で日本を糾弾し続ける国連の一部委員会には、日韓合意を是としていない人々がおり、日本にさらなる謝罪や補償を求めてきています。加えて反日勢力が世界で暗躍し、アメリカだけでなく、カナダやオーストラリアでも慰安婦像の設置計画が持ち上がっている状況です。
国内で慰安婦問題を語っているだけでは意味がなく、世界で「慰安婦=性奴隷」の嘘を広める反日勢力と対峙しなければなりません。
私は12年12月、日本維新の会から衆院選に出馬して当選し、約2年間にわたって国会議員を務めました。
私か国会などで積極的に慰安婦問題に取り上げるようになったのは、13年夏のアメリカ視察がきっかけでした。現地では、元国務副長官のリチャード・アーミテージ氏ら、「知日派」といわれる方と面会することができたのですが、その席で、彼らは、「近年、日韓関係が悪化しているのは、慰安婦問題があるからではないのか」と指摘してきたのです。
当時の私は、慰安婦問題は一部の韓国人と左派が騒いでいるだけだと考えていました。しかし、アーミテージ氏らが根拠もなくこの問題に言及したとは思えず、帰国後に調査を始めました。すると、慰安婦問題は解決済みと言える状況ではなく、すでにアメリカなどを巻き込んだ大きな問題に発展していることが分かり、私は政策の軸に据えて活動することにしたのです。
それは、14年12月に落選し、民間人となった現在も変わらず、多くの賛同者の支援をいただきながら、世界を飛び回って慰安婦の真実を訴えています。
私か慰安婦問題にこだわっている理由は、私自身が母親だからです。
私は議員だった頃から、「慰安婦問題は私たちの世代で解決しなければならない」と訴え続けています。15年8月に発表された戦後70年の「安倍談話」の中で、安倍晋三首相も「子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と語っていましたが、私も同じ思いを抱いているのです。
慰安婦問題は、国内の反曰勢力によって捏造された問題です。私は大学時代や地方公務員時代に、多くの左派系団体や活動家と対峙してきました。だからこそ、彼らが曰本の伝統や文化を壊そうとする存在であることは熟知しているつもりです。しかし、これまでの曰本は、彼らが作り上げた嘘の問題につき合い、謝罪や補償を続けてきてしまいました。
私は一人の母親として、自分の娘が社会に出て結婚をして母親になったときに、このような嘘のために謝罪や補償を続けてもらいたくありません。だから私たちの世代で慰安婦問題を解決する、そう心に決め、「なでしこアクション」代表の山本優美子氏らとともに活動しているのです。山本氏は「慰安婦=性奴隷」の嘘に終止符を打つことを目的に活動を続けている「同志」です。
慰安婦問題は、女性こそが取り組むべき問題だと思っています。なぜなら、反曰勢力は慰安婦問題を「女性の人権問題」に仕立て上げているからです。彼らが強姦や虐殺などを引っくるめて「戦時中性暴力」として拡散しているのは、その方が国際社会の賛同を得られるという事情があります。
曰本軍の慰安所は、強姦などの被害から女性を守るために存在していたものであり、戦時中性暴力とは別物です。ただ、気をつけなければならないのは、男性がそれを指摘すると、国際社会では「女性差別だ」と反論を受けることになります。それを避けるためにも、女性が率先して、慰安婦の真実を訴えていくべきなのです。
ユネスコの審査結果が出るのは17年10月の予定です。私たちに残された時間はあまりありません。本書を読んでいただき、曰本人の中で真実を共有することで、世界に対抗できる国へと生まれ変わり、慰安婦問題で貶められた曰本の名誉を回復したい。そう願っています。
「赤い絵」を掲げる人々 P20
2015年10月、フランス・パリに本部があるユネスコの記憶遺産に、中国が申請した「南京事件に関する資料11点」が登録されたことは記憶に新しいと思います。
14年6月に中国がこの資料を申請した際、同時に「慰安婦に関する資料」も申請していました。しかし、ユネスコは慰安婦資料の登録は見送り、その際には、他国の資料も合わせて共同申請するべきだと助言しました。そして16年5月、その助言に従う形で、慰安婦資料は中国だけでなく、韓国や台湾、さらに日本の民間団体などが共同で申請しました。そのため、次回(17年10月)は登録が認められる可能性が高いのです。
申請から遡ること2ヵ月前の16年8月、私は米ニューヨークで開催された講演会「このままでいいのか、日本!」に出席しました。
この講演会を主催したのは、ニュージャージー州など、ニューヨーク近郊に住む日本人女性が立ち上げた民間団体「ひまわりJAPAN」です。正しい日本の歴史を伝えていくことで、在米日本人に「日本人としての誇り」を持ってもらうことを目的に現地で活動しています。
講演会には約100人の日本人が参加しました。詳細は後述しますが、韓国系団体などの活動により、アメリカ国内では慰安婦像や記念碑の設置が相次いでおり、危機感を抱いている日本人が多くいるのです。
講演会当日は、明星大学教授で教育学者の高橋史朗氏、弁護士の徳永信一氏、現地で「ニューヨーク歴史問題研究会」を主宰している高崎康裕氏、そして私の4人がスピーチを行いました。
講演の中で最も衝撃的だったのは、高橋氏の「ユネスコ記憶遺産『慰安婦』共同登録申請の問題点と課題」というお話でした。
ジャーナリストの櫻井よしこ氏が『週刊新潮』2016年7月21日号に寄稿されたコラムによれば、〈中国と共に申請したのは、韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、オランダ、東ティモールと日本の8か国・地域の民間団体。最終段階でイギリスの博物館も参加して9か国となった。なぜ、イギリスも参加したのか、その経緯は不明〉だそうです。
記憶遺産をめぐるこれまでの流れから、登録に向けた活動の主導権を握っているのは中国だと考えられていたのですが、講演会で高橋氏は以下の「新事実」を明かしました。
「主導権を握っているのは中国ではありません。もともと、この申請を陰で主導していた韓国政府も、15年末の日韓合意後は手を引いています。では、いったいどこが主導しているのか、それは日本なのです」
この活動を主導しているのは、日本の特定非営利活動法人(NPO法人)「女たちの戦争と平和人権基金」です。同団体は、元朝日新聞記者、故松井やより氏の遺志を受け継ぐ形で、02年12月に設立されました。
松井氏は、文筆家の吉田清治氏が『私の戦争犯罪:朝鮮人強制連行』(1983年・三一書房)を発表すると、すぐに飛びついた人物です。翌84年11月2日付の朝日新聞では、〈八万人とも十万人ともいわれる従軍慰安婦の多くは、生きて帰れなかった〉と書くなど、慰安婦問題を積極的に取り上げました。
94年に朝日新聞を退職した後も活動を続け、2000年には、旧日本車の慰安婦制度の責任追及を目的に東京で行われた、法廷を模した抗議活動「女性国際戦犯法廷」において、国際実行委員会共同代表を務めました。
正式名称を「日本軍性奴隷制を裁く2000年女性国際戦犯法廷」というこの活動では、慰安婦制度を「日本の戦争戦略の一環で、政府の政策で導入した」「女性たちは自由を奪われ、意思に反した行動を強いられた」と指摘した上で、「強制労働条約や国際法上の義務に違反した日本国家は有罪」と判決を下し、昭和天皇に対しても「軍の犯罪行為を知っていたか知るべき立場にあり、性暴力をやめさせる手段を講じるべきだったのに怠った」と批判したのです。
当然、この活動は単なるプロパガンダに過ぎなかったものの、韓国政府は、女性国際戦犯法廷を「慰安婦問題の賠償を求める根拠」の一つにしています。
松井氏は02年に亡くなって以降、慰安婦問題の象徴的人物として左派から祭り上げられています。彼女の遺志を受け継いだ「女たちの戦争と平和人権基金」は、03年6月にNPO法人の認証を取得し、05年には東京都・西早稲田に戦時性暴力や慰安婦問題を伝える資料館「アクティブ・ミュージアム 女たちの戦争と平和資料館(wam/Women's Active Musenm on War and Peace)」をオープンさせました。
wamのホームページを見ると、以下の「5つの理念」が書かれており、その特徴がよく分かります。
〈1.ジェンダー正義の視点にたち、戦時性暴力に焦点をあてる。
2.被害だけでなく加害責任を明確にする。
3.過去・現在の資料の保存・公開だけでなく、未来へ向けての活動の拠点にする。
4.国家権力とは無縁の民衆運動として建設・運営する。
5.海外へも情報を発信し、国境を越えた連帯活動を推進する 〉
講演会で高橋氏は、ユネスコに提出された慰安婦の資料を提示しました。そのほとんどは、アメリカで次々に建てられている慰安婦像の写真やイラストに過ぎず、資料としての価値があるとは思えない物ばかりです。
資料の中には、ひときわ目を引く「赤い絵」がありました。「責任者を処罰せよ ― 平和のために」と題されたこの絵は、昭和天皇とみられる男性が目隠しをされた状態で木に縛り付けられ、処刑されるかのように銃口が向けられている場面が描かれています。作者は自称・元慰安婦の姜徳景(カンドクキヨン)氏で、1997年に亡くなるまでの間、慰安婦や旧日本軍の蛮行をテーマに絵を描き続けました。
「赤い絵」は日本人としては不愉快極まりない絵です。しかし、このような絵も「慰安婦問題の歴史的証拠」として、ユネスコに提出されているのです。
ちなみに「赤い絵」は前述の「女性国際戦犯法廷」の象徴になっています。そのため、この絵がユネスコの記憶遺産に登録されてしまうと、世界に「慰安婦=性奴隷」の嘘がさらに拡散されるどころか、「昭和天皇=有罪」というとんでもないことが、さも正当であるかのようにまかり通ることになる危険性も生まれます。
講演会で高橋氏は以下のように断言していました。
「今回の世界記憶遺産の共同申請は、女性国際戦犯法廷の再現です」
私は「赤い絵」に強い憤りを感じました。天皇陛下に対する侮辱が許されてよいはずがありません。なぜ、日本のメディアはこれを問題として取り上げないのでしょうか。
日本人による暴挙は日本人が止めなければなりません。この問題をきっかけに「こんな不敬は許されない」という世論が広まり、反日勢力の常軌を逸した活動を止める必要があります。
しかし、日本政府や外務省はあまり当てになりません。「南京事件に関する資料」が記憶遺産に登録されたことを受けて、日本政府は、中立・公平であるべき国際機関として問題だと抗議した上で、拠出金の支払いをいったん保留しましたが、結局は2016年末に約38億5000万円ものお金を支払ってしまいました。
ユネスコ事務局長はブルガリア人のイリナ・ボコバ氏が務めています。ボコバ氏については、09年9月24日付の朝日新聞で、以下のように紹介された人物です。
〈共産主義エリートとして積んだキャリアから、欧州統合の闘士へ〉〈ブルガリア共産党機関紙ラボトニチェスコ・デロの編集長を父に持ち、モスクワに留学して国際関係大学で修士号を得た〉〈96年の大統領選では社会党(旧共産党)側の副大統領候補に〉
15年8月に北京で行われた「抗日戦争勝利記念式典」に、当時の国連事務総長・瀋基文氏とともに参加するなど、中国との蜜月ぶりも見せています。
もし、アメリカに次いで日本も支払いを保留し続ければ、中国が最も多くの予算を負担することになります。そうすると、ボコバ氏がトップにいるユネスコは、ますます中国に傾くことになるかもしれず、日本政府はそれを恐れたのではないか、私はそう考えています。
ユネスコに提出された「登録申請書」には、慰安婦制度が「ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)やカンボジアの(旧ポル・ポト政権による)大虐殺に匹敵する戦時中の惨劇」であると書かれています。
これに対して、16年11月、カナダ・トロントにある団体「カナダ・イスラエル友好協会」は「申請者はホロコーストの意味をねじ曲げている」と批判する意見書をユネスコに送付しました。
11月24日には、産経新聞が以下の通り報道しています。
〈友好協会幹部のユダヤ人、イラナ・シュナイダーさんら3人が署名した意見書は「ホロコーストに匹敵するものはなかった」とする元駐日イスラエル大使のエリ・コーヘン氏の指摘を引用して反論。その上で、「中国によるチベット侵略の方がホロコーストの概念により近い」とし「もっとひどいのは文化大革命だ」と強調した〉
「なでしこアクション」の山本優美子氏は、ご自身のホームページで意見書の翻訳文を公開し、以下のように評価しています。
〈(意見書では)600万人のユダヤ人の男性、女性、子供が虐殺されたホロコーストと慰安婦を比較することは不適切かつ不快であること、などが指摘されています。日本の外務省がこれくらい反論してくれたらスッキリするのに、と思うような優れた内容です〉
日本人よりも、イスラエル人の方が真実を述べているということです。
意見書を受け取ったユネスコは、どのような判断を下すのか、注視していきたいと思い
ます。
西早稲田発国連行 P35p
日本人は「国連」という言葉に非常に敏感です。
「国連○○委員会が日本に○○を勧告した」「国連○○委員会の調査で、日本の評価は国際的に低いことが分かった」というような報道があると、日本は世界から遅れているのではないか、批判されているのではないか、と不安になってしまう人もいます。
しかし、そのような「国連の幻想」は捨てるべきです。私は何度も国連を訪れ、実際に委員会に出席したことで、「国連の正体」が少しずつ見えてきました。
衆議院議員だった2013年から、私は慰安婦問題の解決を目指して、本格的な活動を始めました。この問題について、以前から私たち保守系が主張しているのは、慰安婦問題で日本を糾弾してきた韓国、そして国内の反日勢力の「20万人の女性を強制連行して性奴隷にした」という主張には、三つの嘘があるということです。
私は慰安婦の存在を否定したことはありません。また、慰安所で性病の蔓延や、慰安婦の身に危険が及ぶことを防ぐために「軍の関与」があったことも否定しません。しかし、「20万人」が戦中の勤労奉仕団体である「女子挺身隊」と混同した数だということ、日本軍による強制連行が行われた証拠がないこと、慰安婦たちが高額な給料を貰っていたことが明らかになったにもかかわらず、いまだに嘘がまかり通っているから問題視しているのです。
まず、はっきりさせておかなければならないことは、国連でそのような嘘を広めたのは、韓国人でも中国人でもないということです。日本人が広めました。
国連では、非政府組織(NGO)の意見が尊重されます。人権派の弁護士が率いる「日本弁護士連合会」(日弁連)、部落解放同盟系の「反差別国際運動」(IMADR)、共産党系の「新日本婦人の会」など、いわゆる左派系NGOのメンバーは、国連で人権関連の委員会が開かれるたびに出席し、意見レポートを提出する他、委員会で発言したり、直接委員に陳述するなどのロビー活動を続けてきました。ときには、委員を海外から日本に招くこともあります。
これまで日本に勧告を出したり、評価を下してきた各委員会の委員たちは、日本の状況をよく知りません。だからといって、自ら調査や研究をすることもありません。すると必然的に、国連まで足を運んだ日本の左派系団体の情報や意見に取り込まれてしまいます。
そうした一方的な見方をもとに、反対意見を聞く機会もなく、「最終見解」(勧告)という形で、日本政府に
さまざまな要求を突きつけてきました。
つまり、前述の「西早稲田」辺りから発信された偏った主張が、海を越え、さらには国連というフィル
ターを通して、権威づけされて日本に戻ってくるというのが実態なのです。
私は16年3月、米ニューヨークの国連本部を訪問し、「国連女性の地位に関する委員会」のパラレルイ
ベントに参加しました(詳細は後述)。
国連は「総会」「安全保障理事会」「事務局」など六つの「主要機関」によって構成されていますが、女性の地位に関する委員会は、麻薬委員会や人口開発委員会などが属する「経済社会理事会」の下部に位置づけられ、毎年3月にニューヨークの国連本部で開かれます。
第2次世界大戦直後の1946年に設立された当初は、世界中の国々の女性の地位はまだ低く、特に途上国の女性たちの人権を守るために、国連のこのような委員会は有効だったのだと思います。しかし、現在の国連は、過度なフェミニズムやジェンダーフリー(性別に囚われない生き方をするという考え方)を推し進める組織に変わりつつあります。そして困ったことに、女性の地位に関する委員会では慰安婦問題が「性暴力」の問題の一つとして取り上げられています。2015年の全体会議では、韓国代表が「第二次世界大戦中の性奴隷である慰安婦の問題は、まだ解決されていない」と演説したのです。
国連には「国連女子差別撤廃委員会」という委員会もあります。この委員会は、「総会」に属する「人権理事会」の下部に位置づけられており、完全な男女平等の達成を目的として、不定期にスイス・ジュネーブにある国連欧州本部で開かれています。
女子差別撤廃委員会も、慰安婦問題の主戦場になっています。16年に聞かれた委員会では、日本の皇室の男系継承は女性差別であるとして、日本政府に対する「最終見解」の中で、皇室典範を改正すべきだと指摘しようとしていたことも明らかになりました。
この女子差別撤廃委員会の委員長は日本人弁護士の林陽子氏です。林氏は、先の女性国際戦犯法廷を主導した故松井やより氏からアジアの女性運動について多くを学んだと自ら述べており、「女性の権利」などについて日本に対して厳しい立場をとり続けてきた人で、16年には女子差別撤廃委員会の委員長の即時解任を求める署名運動が起こりました。
女子差別撤廃委員会については第3章で詳しく触れます。
ジャパン・ハウスなんていらない P54
2016年3月16日のパラレルイペントには、前日から多くの在米日本人が集まってくれました。ニューヨーク在住の人だけでなく、ロサンゼルスやサンフランシスコなど、西海岸からも駆けつけてくれたのです。女性の方が圧倒的に多く、慰安婦問題が自分たちの生活に及ぼす影響について、「母親の立場」で真剣に考えていました。
彼女たちにとって、外務省に対する不信感は拭い難いものがあるようです。日本に住んでいる日本人より海外に住んでいる日本人の方が、外交や安全保障の問題に敏感です。まさに矢面に立たされているからです。
在米日本人は中韓のプロパガンダに頭を悩ませています。日本の地位失墜を目的とした「ディスカウントジャパン運動」が行き着くところはどこなのか、日本を誰が守るのか。居ても立っても居られなくなって行動している日本人は、海外にたくさんいるのです。
彼らが最初に頼るのは領事館です。しかし、どこの領事もまともに取り合わないどころか、慰安婦像の撤去運動や反対運動を止めるように促す職員までいるそうです。やはり、外務省には任せていられないということです。
500億円の予算が投入され、日本の魅力を発信するために設置される海外拠点事業「ジャパン・ハウス」についても懐疑的な意見を持っているようで、ロサンゼルス在住の女性は以下のように語っていました。
「アメリカにも日本の茶道や華道、日本舞踊といった伝統や文化を発信するグループがたくさんあります。みんな民間で頑張っています。しかし、予算をつけてジャパン・ハウスができたところで、いったい何かできるのでしょうか? 慰安婦像一つ撤去できない政府や外務省に期待していません」
海外在住の日本人は、テレビではなくインターネットから情報を得ており、バイアスがかかったニュース番組などを見ている日本人とは、意識にも違いが生まれます。事実を伝えない日本のメディアの罪深さを改めて痛感しました。
集まってくれた在米日本人の中には、ニュージャージー州に住むNさんという女性がいました。同州はアメリカ東海岸で特に韓国系の勢力が強い地域で、グレンデール市のような慰安婦像はないものの、記念碑が三つも設置されています。
Nさんは、そのような地域で助産師として病院で働く傍ら、「慰安婦=性奴隷」の嘘を否定する内容のフリーペーパーを発行するなど、現地で情報発信を続けています。そのため、ときには韓国系住民から嫌がらせを受けることもあり、他の日本人からも「子供が嫌な思いをした」という情報が頻繁に寄せられているそうです。
ニュージャージー州に記念碑が建ってから、学校では韓国側の主張に沿った嘘の歴史を教えられ、韓国系の子供から心ない言葉を浴びせられるなど、現地に住む日本人にとって深刻な事案が増えています。Nさんの元に届いたメールには、以下のような声がありました。
「慰安婦像阻止の活動を行っている人に対して、脅迫ととれる内容のメールが届き、活動を中止するように書いてある。また、車に動物の死骸を置かれたりする嫌がらせを受けた人がいる」
「学校で日本人の男の子が韓国系のグループに囲まれ、『謝罪しろ』としつこく絡まれていた」
「小学校で韓国系の生徒に『独島(韓国での竹島の呼称)はどこの島だ?』と質問され、知らないと言っても何度もしつこく聞かれた」
「高校の歴史の時間に『第2次世界大戦は日本が自分の力を誇示するために起こした戦争だ』『東条英機はヒトラーと同じだ』と映像を使って教えられた」
「クラスメイトから『日本人はテロリストだ』『パールハーバーや南京大虐殺はナチス・ドイツがやったことと同じだ』と言われた」
「日本人への差別以上に、日本人の母親を持つハーフ・ジャパニーズという人たちが韓国人住民にとって憎悪の対象になっている」
一方、ワシントン州シアトル在住で、「脱植民地化を目指す日米フェミニストネットワーク」(FeND)共同呼びかけ人の小山エミ氏は、雑誌『週刊金曜日』14年6月13日号で〈大日本帝国を擁護する動きに反発を強める日系米国人〉という記事を書き、韓国系による日本人に対するいじめについて、否定的な意見を書いています。
〈「慰安婦」碑裁判を報じる日本の保守系メディアは、「慰安婦」碑が設立されて以来グレンデール市において日系人の子どもに対するいじめや日系人に対する攻撃が頻発していることをよく紹介している〉〈しかし現地の日系人たちはみな口をそろえて、そうした話は聞いたことがない、と答えた。グレンデール市警察およびグレンデール市教育委員会に問い合わせても、そのような相談は一件も受けていないと返答があった。さらに、「慰安婦」碑訴訟の訴状すら、日系人の子どもに対するいじめについては一切記載されていない。もちろん、通報や相談がないからといっていじめが一件もおきていない証明にはならないが、少なくとも広範に起きていることではないだろう〉
しかし、現地の日本人の悲痛な声は溢れています。悠長なことを言っている状況ではな
いのです。
<参考>
ウィキペディアでは「週刊金曜日」について「『金曜日』(きんようび、通称週刊金曜日)は、株式会社金曜日が発行する主に政治・社会・環境問題を扱う週刊誌。」と解説し、過去・現在の編集委員として本多勝一、
佐高信、
落合恵子、
宇都宮健児、井上ひさし、
筑紫哲也、
辛淑玉の各氏等を紹介している。
国連の「良心」を利用する左派NGO P84
私たちは、女性の地位に関する委員会のパラレルイベントから遡ること半年前、2015年7月27日に女子差別撤廃委員会の準備会合に参加しました。つまり、このとき初めて私たちは国連の委員会に出席したのです。
女子差別撤廃委員会のような会期委員会は、以下の流れで行われます。
①委員会は準備会合を開催してNGOから意見聴取
②委員会より日本政府へ「質問書」を送付
③日本政府は「質問書」に対する回答となる「報告書」を作成して委員会へ提出
④委員会は「報告書」を元に事前会合を開催してNGOから意見聴取
⑤委員会は対日審査を開催して日本政府へ質問
⑥委員会より日本政府へ「最終見解」を送付
女子差別撤廃委員会には23名の委員かおり、さまざまな国籍の人で構成されています。中にはモーリシャスやレバノンといった、日本と縁が深いとは言えないアフリカの国の委員もいます。もちろん、それ自体に問題はありません。しかし、そのような委員が日本を審査しようとするから、事態はおかしな方向へ進むのです。
人権を侵されている国の市民は、政府に改善を求めることができない、だから委員会が準備会合でそのような市民の声を吸い上げるということは、すでに述べました。しかし、これはあくまでも表向きの理由であり、その裏には、委員が審査対象となる国のことを知らないため、市民から意見を聴取しなければ何も勧告できないという事情もあります。
それは日本に対しても同様で、モーリシャスやレバノンの委員だけでなく、ほとんどの委員は日本の事情を把握しているわけではありません。だから審査に先だって準備会合を開き、NGOのメンバーを招集して、日本の状況を聞き出します。しかし、これまでこの準備会合には、「日弁連」をはじめとする左派系NGOしか集まりませんでした。彼らは「慰安婦=性奴隷」を肯定し、過度な男女同権やマイノリティーの保護を訴えています。
そのため、準備会合ではありもしないことをでっち上げて、あたかも日本が人権侵害国家であるかのように吹聴してきたのです。
すると委員は、そのような嘘を信じてしまいます。彼らは反日的な考えから日本を糾弾しているわけではなく、良心から「改善しなければならない」と考え、日本政府にさまざまな勧告を出してきました。
準備会合が終わると、委員会は「質問書」を作成して日本政府に送ります。「質問書」で慰安婦問題に関する考えや、今後の取り組みについて問うのです。それを受けた日本政府が、慰安婦の強制連行や「慰安婦=性奴隷」という嘘に対してきちんと反論すれば問題はありませんでした。しかし、これまで政府は「質問書」に真剣に向き合い、今後の対処などについて回答してきました。このような日本人の真面目な一面が、ありもしない問題を認めたことになり、慰安婦問題は大きくなってしまったのです。
国連の特殊なシステムと、それに真摯に向き合う特殊な国・日本。この二つの関係性を改めなければ、日本は今後も国際社会で貶められる一方です。
「異なる意見」に委員が動揺 P100
そもそも私たちは、どのような経緯で女子差別撤廃委員会に出席できたのでしょうか。
女性の地位に関する委員会は、出席するだけでも協議資格が必要になります。しかし、人権理事会の下部に位置する女子差別撤廃委員会の準備会合に出席するには、何かしらのNGOに所属する必要があるだけで、協議資格の有無は関係ありません。国連のホームページの参加登録の欄で、名前や国籍など必要事項を記入して登録すれば、誰でも出席できるのです。
ただ、準備会合でスピーチをするには、委員会の事務局とメールのやり取りをしなければなりません。その際には、準備会合でスピーチする内容と、その内容を裏づける資料をメールで送る必要があるため、多少の英語力は必要になりますが、申請さえすれば誰でもスピーチができます。しかし、スピーチ時間はそれまでの実績などが考慮されるため、初めて参加する人の発言時間は短くなります。
そのような過程を経て、私たちは2015年7月27日に開催された女子差別撤廃委員会・準備会合に出席し、スピーチすることになりました。歪曲された情報ではなく正しい情報を発信していかなければならない、私はそう決意していました。そして当日は、「なでしこアクション」の山本優美子氏と、それぞれ2分ずつスピーチしました。
会場には「日弁連」や「日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク」の他、「すペーすアライズ」「全国『精神病』者集団」「大阪子どもの貧困アクショングループ」といった面々が大勢詰めかけていました。彼らは国連で常連のような扱いを受けており、私たちには2分しか与えられなかった発言時間も、それぞれ6分間ずつ確保されていました。準備会合の直前に「発言時間は平等に振り分けてください」と申し立てたものの、結局は認めてもらえませんでした。
この準備会合で出た議論をもとに「質問書」がつくられ、翌16年2月の女子差別撤廃委員会・対日審査で、日本政府がそれに回答するという流れになっていました。そのため、どちらかと言えば、この準備会合の方が慰安婦問題の国連における「本丸」と位置づけられていました。
左派系NGOのメンバーからは、以下のような発言がありました。
「日本では女性が差別されている、特に在日、アイヌ、沖縄、部落の人たちが差別をされていて、中でも女性は特に差別されている。彼らに対するヘイトスピーチもひどい」「日本で夫婦別姓が認められていないのは女性差別だ」
慰安婦問題に関しては「日本は十分な謝罪も賠償もしていない」という声がありました。
そうした中、山本氏は慰安婦像や記念碑が次々と建てられているアメリカの実情を説明し、「女性の人権問題の域を超えて、日本を貶めるキャンペーンと化している」と訴えました。
私は、朝日新聞の誤った報道と、それによって海外に広まった情報に焦点を絞りました。
国連の委員会では、常任理事会の5ヵ国(アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国)のいずれかの言語でのスピーチが義務づけられています。私は15年の春からフランス語の勉強を始めていたこともあり、準備会合ではフランス語で以下の通りスピーチしました。
〈私の名前は杉田水脈です。日本の前衆議院議員です。
今日は、私か考える慰安婦問題のポイントを皆さんと共有したいと思います。日本の慰安婦問題の論点は、日本の軍隊が女性たちを強制的に慰安所に連行したかどうかです。私は、外国で言われているような「日本の軍隊が力づくで女性たちを動員し、性奴隷にした」という歴史的な証拠は日本でいくら探しても見つからないことをここで確認しておきます。
「女性たちを駆り出して連行した」という話は、吉田清治という作家のでっち上げが基となっています。日本の有力紙、世界的にも有名な朝日新聞は、吉田清治のつくり話を歴史的な証拠として32年間の長きにわたり、国際的に日本の名誉を貶める報道を続けました。
しかしながら2014年8月5日、朝日新聞が紙上で慰安婦問題のこれまでの報道の検証を行い、吉田清治の証言が全くの虚位であったことを認め、それを記事として周知しました。
現在、まだまだ世界中で、日本は女性を性奴隷にしたと思われており、それはナチス・ドイツのホロコーストに匹敵する重大な犯罪だと宣伝されています。これは全く事実無根であることを私は大きな声で断言します〉
山本氏と私のスピーチ内容に、委員は驚いたようでした。これまで数十年にわたって日本の左派系NGOから「日本は慰安婦にひどいことをした」といった見解を聞かされ続けてきたのに、私たちが180度異なる見解を示したからです。
準備会合の後半には、委員から以下のような質問がありました。
「日本の慰安婦問題については、強制連行され、性奴隷にされたということは知っているが、それは事実ではないという意見を初めて聞いた。本当なのか?」
「あなた方は政府の意向を受けて来ているのか?」
準備会合の会議場には、私たちのグループの一員として、準備会合を視察するために同行していた「テキサス親父」ことトニー・マラーノ氏もいました。委員からの質問に対してマラーノ氏は、1944年に米陸軍がビルマ(現・ミャンマー)で拘束した朝鮮人慰安婦を尋問して作成した「調書」を例に出し、慰安婦たちが「性奴隷」とは言えない豪華な生活を送っていたことを説明しました。
また、「政府の意向を受けて来ているのか?」という質問に対しても、明確に否定しました。すると準備会合の最後に委員から「これからは慰安婦問題に対して、二つの考え方があるという立場に立ちます」と言ってもらえたのです。
女子差別撤廃委員会は準備会合で出た意見を踏まえて、7月31日、日本政府に「質問書」を送ってきました。そしてその中には、注目すべき質問が盛り込まれていたのです。
〈委員会は最近の公式声明から「慰安婦の強制連行を証明するものはなかった」との報告を受けた。これについて(日本政府の)見解を述べよ〉
準備会合における私たちの発言を踏まえた質問です。日本政府は翌16年2月の対日審査で、この質問に対する回答をすることになりました。
どこの国の外務省か P132
杉 杉山審議官の発言後、日本では不可解なことが続きました。岸田文雄外務大臣の記者会見です。岸田大臣は毎週火曜日に定例記者会見を開いており、その内容は外務省のホームページで見ることができます。
まず、女子差別撤廃委員会直後の2016年2月23日の記者会見です。
産経新聞の田北真樹子記者は、「(杉山審議官が語った)内容を今後、政府として、いろいろな国際会議とか、そういう場で説明していくのか、また、外務省のホームページの、歴史問題Q&Aというものがありますけれども、そういうところにでも掲載して周知していく考えはあるのでしょうか」と質問しました。すると岸田大臣は以下の通り答えました。
「従来から申し上げてきたことを改めて、質問を受けたので、発言したということでありますので、こうした立場、中身については、全く変化はありませんので、今後ともそういった内容については、変わりはないと考えております」
私たちは杉山審議官の発言を受けて、「日本政府がやっと反撃をしてくれた」と感じたのですが、岸田大臣は、あくまでも質問があったから答えただけであり、日本政府の慰安婦問題に関する考えは変わっていない、という見解を示したのです。
また、「こうした立場、中身については、全く変化はありません」という岸田大臣の発言の通り、外務省のホームページの「歴史問題Q&A」の欄にある「慰安婦問題に対して、日本政府はどのように考えていますか」という質問に対する回答を見ると、いまだに以下のような記述があります。
〈心からお詫びと反省の気持ちを申し上げてきました〉〈「償い金」の支給等を行うアジア女性基金の事業に対し、最大限の協力を行ってきました〉
対日審査から約半年後の16年8月、ようやく杉山審議官の発言概要のリンクが貼られたとはいえ、「お詫び」が先に掲載されていることから、日本政府の姿勢は何も変わっていないということが窺えます。
16年2月26日に行われた記者会見でも、岸田大臣のおかしな発言がありました。ジャーナリストの安積明子氏が、対日審査の際、「強制連行」や「性奴隷」が事実でないことを「報告書」に記載せず、なぜ杉山審議官の口頭での回答にしたのか、その理由を訊ねました。岸田大臣の回答は以下の通りでした。
「これは委員会において質問が出たことに対して答えていくというやり取りであります。ですから、どのような質問が出るか、これは委員会に出てみませんと分かりませんから、これはその場に応じてお答えする、そういった性質のものであります」
山本氏と私は、対日審査に出席するためジュネーブに出発する直前、国内で外務省総合外交政策局女性参画推進室長(当時)から以下の説明を受けていました。
「日韓合意に配慮して女子差別撤廃委員会への報告書には詳細は書かないが、対日審査の場で、もともと作成していた報告書の内容と同じ説明を口頭で行う。委員から質問がなくても必ず行う」
しかし、岸田大臣は記者会見で「どのような質問が出るか、これは委員会に出てみませんと分かりませんから、これはその場に応じてお答えする、そういった性質のもの」と説明しました。岸田大臣と女性参画推進室長の話は大きく異なります。
岸田外相はこの会見の中で「文書提出に至るまで様々な動きがあったとしたならば、それを踏まえて文書をつくる、これは当然のこと」とも話していました。恐らく日韓合意を踏まえての発言でしょう。世界に「慰安婦=性奴隷」の嘘が流布されてしまった状況で、反撃のチャンスを活かそうと頑張った勢力と、それを抑え込もうとした勢力の戦いが繰り広げられたことは、想像に難くありません。
こうした政府や外務省の姿勢が、日韓合意後も次々と新たな慰安婦像を設置するなど、韓国側をつけ上がらせる一因になっているのではないでしょうか。
「保育園落ちた日本死ね」は愚か P194
匿名ブログ 匿名ブログの「保育園落ちた日本死ね」という記事が関心を集めました。記事には、子育て中の母親が口にしたとは信じ難い、過激な言葉が並んでいました。内容は以下の通り
です。
〈なんなんだよ日本。
一億総活躍社会じやねーのかよ。
昨日見事に保育園落ちたわ。
どうすんだよ私活躍出来ねーじやねーか。
子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?
何か少子化だよクソ 〉
衆議院議員の山尾志桜里氏(民進党)は、このブログを国会で取り上げて、政府・与党の政策を批判しました。2016年12月には、「保育園落ちた日本死ね」が、「自由国民社『現代用語の基礎知識』選2016ユーキャン新語・流行語大賞」でトップテン入りを果たし、山尾氏が表彰式に出席したことも大きな話題になりました。
私は国会議員になる以前の18年間、地方公務員として、兵庫県西宮市役所で働いていました。市役所では、児童福祉課に配属されていたことがあります。自治体で児童福祉に取り組んでいた私からすると、匿名ブログをめぐる論争は「前提条件」が間違っていると言わざるを得ません。
ブログを書いた母親や、その記事に賛同した人は、「保育所は誰もが利用できる当たり前のサービスであり、我々は保育所を利用する権利がある」と考えているようです。しかし、それは大きな間違いです。保育事業は「福祉施策」です。では「福祉」とは何なのか。私か尊敬する一般財団法人児童健全育成推進財団の鈴木一光理事長は、講演会などで次のように話しています。
〈「福祉」とは「ふ」つうの「く」らしで「し」あわせに、という意味です〉
要するに、自力で「普通の暮らし」を営むことができない人に対して、税金を使って支援することが「福祉施策」なのです。障害者福祉、低所得者福祉、高齢者福祉、児童福祉と冠をつければ分かりやすいでしょう。福祉施策は、国民が納めた税金を使うため、きちんとした理由がなければできないのです。
保育事業には、まずは「家庭で保護者が子育てをする」という前提があります。片親しかいない家庭や、親が病気や怪我をしているなどの理由で子育てができないというような、どうしても働かなければならない家庭を支援する施策なのです。
かつて児童福祉法には〈保育に欠ける乳児・幼児を保育することを目的とする施設〉と書かれていました。現在は〈保育を必要とする乳児・幼児を保育することを目的とする施設〉と書かれています。
つまり、保育所に入るには入所基準があり、各家庭の状況に応じて点数化されて入所の可否が決まるのです。例えば、片親の家庭や、両親が正社員として長時間働いている家庭の点数は高くなります。逆に高所得者の家庭、祖父母と同居している家庭、あるいは祖父母が近くに住んでいる家庭の点数は低くなります。
こうした公平な基準により、保育所に入所できる児童は決まっています。前述の匿名ブログを書いた母親の子供が保育所に入れなかったのは、より保育所を必要とする家庭があったというだけのことです。
匿名ブログの「保育園」とは「認可保育所」を指しているのでしょう。保育所は「認可保育所」や「無認可(認可外)保育所」があり、待機児童が問題になっている大都市には「認証保育園」なる制度も設けられています。また、民間のベビーシッターも多く存在しています。つまり、認可保育所に子供を預けられなくても、他に方法はいくらでもあるのです。現にブログを書いた人が、子供を保育園に入れられなくて、生活に困窮しているという話は、まったく聞こえてきません。
16年3月、山田宏氏は自民党東京都連の会合で、匿名ブログを「落書き」とした上で、「私にしてみれば『生んだのはあなたでしょう。(育児は)親の責任でしょう、まずは』と言いたい」と発言され、大きな批判を浴びましたが、この訴えは正論です。
自分でできる部分は自分でやってもらわなければ、社会は成り立ちません。一切合財を他人任せでは、社会は潰れてしまいます。「自助・共助・公助」の順番を間違えてはならないのです。
ノンフィクション作家の河添恵子氏は、以前、討論番組『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)に出演された際、「子育ては母親がするのが最良」という主旨の発言をされ、他の出演者から集中砲火を浴びました。
この意見は一昔前なら当たり前のものだったはずです。しかし、現在では大勢から非難されることになるのです。私たちが長年培ってきた価値観が、急速に壊されているようです。
日本を壊そうとする反日日本人は、数十年前から海外勢力と手を取り合い、国連など世界で活動を続けてきました。近年、その活動の影響が徐々に表面化してきているような気がしてなりません。
『朝まで生テレビ!』では、多くの女性論客が「保育所を義務化すべきだ」と主張していました。そして現在、この主張に賛同する女性は多いようです。しかし、保育所義務化は、子供が家庭から引き離されることになります。
私は公務員時代、共産党系の労働組合が運営する学童保育所を視察したことがあります。もし、保育所が義務化されるとなると、そのような特殊な保育所で、子供たちに共産主義を植えつけるような教育が施される可能性も生じます。
日本の左派勢力は、夫婦別姓、ジェンダーフリー、LGBT支援などの考えを世間に広め、日本の最もコアな部分である「家族」を崩壊させようと仕掛けてきました。保育所問題もその一環ではないか。私はそう考えています。
ヘイトスピーチと「性奴隷」はワンセット P220
2015年6月、兵庫県宝塚市は総務常任委員会で、請願第1号「ヘイト・スピーチに対し法規制する決議を求める事についての請願」の審議を行いました。それを受けて、私はブログに以下のように書きました。
〈「こういう問題よりも、もっと市民生活に密着した行政課題がたくさんあるのに、なぜこんなことに時間を割いているのか?」と思われる方もおられるでしょう。ですが、市民が請願を提出してきた以上、市議会は審議しなければならないのです。宝塚市の市議会議員の方々は毎回大変だと思います〉
この審議を通じて、請願を提出した団体と、宝塚市の公民館に元朝日新聞記者の植村隆氏を招いて講演会を行った団体が同一であることが確認されました。植村氏は、後に朝日新聞が誤りを認めて取り消した1991年8月11日付の〈「女子挺身隊(ていしんたい)」の名で戦場に連行され〉という記事などを書いた記者です。
要するに、ヘイトスピーチを告発する勢力は、「慰安婦=性奴隷」を流布してきた勢力と同根だということです。
大阪市議会は16年1月15日、ヘイトスピーチ規制条例を成立させました(16年7月より施行)。直前の1月12日、「いっしよにつくろう! 大阪市ヘイトスピーチ規制条例」という団体は、大阪市長の吉村洋文氏に要望書を提出しました。要望書はヘイトスピーチの具体例を挙げるなどして解説していたのですが、要望書の最後には、なぜか慰安婦問題について、以下の言及もあったのです。
〈慰安婦問題を捏造したのは朝日新聞だ。従軍慰安婦は存在しないと日本政府は世界に発信しろ。韓国人を許さないぞ。慰安婦像を世界に広めようとする韓国人を許さないぞ〉
これらの発言は事実に基づくものですが、同団体から見るとヘイトスピーチに分類されるようで、以下の説明が記述されていました。
〈今回の「日韓合意」においても、戦時下において「当時の軍の関与の下」、現在の日本政府が「責任を痛感」するほどに「名誉と尊厳を深く傷」つけられた「多数の女性」がいたことが確認されています〉
「日韓合意」で日本政府も責任を認めたのだから、上記のような発言はヘイトスピーチだということのようです。
ヘイトスピーチ規制を推進している勢力と、「慰安婦=性奴隷」という嘘を世界に広めている勢力は連携しています。慰安婦に関する歴史的事実に基づいた私たちの意見をヘイトスピーチに仕立て上げ、封殺しようと企んでいるようです。
事実に基づく発言であっても、別の主義・主張の人の主観的判断により、ヘイトスピーチにされてしまう危険性があるため、私は規制する法律には反対しています。
それから、私がヘイトスピーチに反対する理由はもう一つあります。日本にヘイトスピーチが存在すること自体が不思議であり、それを規制する法律をつくらなければならないことに対しては、情けないとすら感じています。
韓国人は反日デモで頻繁に日の丸を燃やし、日本の首相の写真を破ります。だからといって、同じことをやらないのが日本人の素晴らしさではないでしょうか。しかし、日本にも一部とはいえ「韓国人を皆殺しにしろ」「朝鮮人は日本から出ていけ」と声高に叫ぶ排外主義者が存在します。結果的には、彼らがヘイトスピーチ規制条例をつくったと言っても過言ではないでしょう。
その一方で、在日外国人の生活保護受給の可否について議論しなければならないし、公的医療保険制度を悪用する外国人については、きちんと追及していかなければなりません。ただ、そのような問題意識と排外主義とはまったくの別物です。
以前、動画サイト、ニコニコ動画で「杉田水脈が桜井誠を批判『あんなことする人間が育つのは教育の問題』」という、私の発言の一部を切り取る形で編集された動画が上がっていました。私は「排外主義についてどう思うか」と質問され、それに対する意見を述べただけなのですが、まるで私か政治活動家の桜井誠氏を批判したかのように編集されていたのです。
動画を見た人からは「左翼思想と同じ」「似非保守」「日本人ではない」と、多くの批判を受けました。
前述の通り、ヘイトスピーチは許せないと思います。それと同時にヘイトスピーチを規制する動きにも反対の声を上げています。そのような私を攻撃するよりも、慰安婦問題とヘイトスピーチをこじつけて、日本を貶めようとする勢力と戦うことの方が大切ではないでしょうか。
ヘイトスピーチについては、小手先の法規制をしても何の解決にもなりません。人が嫌がることを言う人間や、人を傷つけて喜ぶ人間をなくそうと本気で思うのなら、根本から見直す必要があります。
まず必要なのは教育の正常化です。例えば、日本の教育現場に「教育勅語」を復活させれば、ヘイトスピーチを喜ぶような人間は育たないはずです。ヘイトスピーチ規制を求める市民団体は、ぜひ「教育勅語復活を求める請願」を各地方議会に提出してはどうでしょうか。
左派の最後の砦 P237
2016年9月30日、東京・永田町の参議院議員会館で行われた院内集会「『日韓合意』後も賠償は可能! ―― 被害者の賠償請求権は今も消滅していない!―― 」に潜入してきました。主催は「『慰安婦』問題解決オール連帯ネットワーク」です。
会場に着いた私は受付で参加費500円を支払い、資料を受け取りました。このとき、私は白いスーツ姿で、胸にはブルーリボンバッジを付けていたため、会場では明らかに浮いていました。受付では「議員さんですか?」「秘書さんですか?」としつこく聞かれましたが「いいえ、違います」と否定して会場に入りました。
参加者は60人から70人程度で、男女の比率はほぼ同じでした。
集会が始まると、まずは女性司会者の挨拶があり、続いて院内集会のために議員会館内の会議室を手配した参議院議員の紙智子氏(日本共産党)が短くスピーチをしました。議員の参加は紙氏だけでしたが、衆議院議員の池内沙織氏や赤嶺政賢氏など、共産党議員の秘書も参加していました。
マイクは再び司会者に戻り、16年6月30日に外務省との間で行った交渉の報告を始めました。交渉した部署や担当者の名前は明かしませんでしたが、「日韓合意後も被害者の個人賠償請求権は消滅していない」という説明を受けたと話していました。その上で、「日韓合意で『最終的かつ不可逆的な解決』という安倍政権の意思を覆すにはどうすればよいのか」について、2名の弁護士が講演を行いました。
最初に話をしたのは川上詩朗氏です。川上氏は15年に成立した安保法制の反対するデモに参加するなど、左派的な活動を続けている弁護士です。講演会では、「日韓合意と『慰安婦』問題解決のための展望」として、外務省の回答とは関係なく、個人の賠償請求権は消滅していないと主張し、その根拠として以下の4点を挙げました。
①この問題が解決したかどうかを決めるのは、国家ではなく個人。なぜなら慰安婦問題は政治問題ではなく人権問題だからだ。
②1965年に韓国と締結した「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」とその実施に伴う「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律」の条文を紹介。前者の第二条には「両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題」とあるが、後者には「財産、権利及び利益に該当するものは(中略)昭和四十年六月二十二日において消滅したものとする」とある。「国民間の請求権」という言葉は後者にはない。よって消滅していない。
③国会答弁においては、1991年8月27日参議院予算委員会での日韓請求権協定に関する質問において、政府として「国家として持っている外交保護権を相互に放棄したということでございます。いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません」と答弁している。また、92年2月26日の衆議院外務委員会において政府は、「国内法によって消滅させていない請求権はしからば何かということになりますが、それはその個人が請求を提起する権利と言ってもいいと思います」と、裁判所に訴える権利も認めている。
④シベリア抑留訴訟における国側の主張として、日本政府は「日ソ共同宣言六項二文により我が国が放棄した請求権は、我が国自身の有していた請求権及び外交的保護権であり、日本国民が個人として有する請求権を放棄したものではない」としている。これは、請求する側が日本、される側がソ連だが、慰安婦問題に置き換えて、請求する側か韓国、される側か日本となっても同様に成立する。
上記の4点は、重箱の隅をつつくような見解ばかりですが、これだけ根拠を並べられると、単に「国家間合意の意味が分からない左翼」で片づけるのは難しいと感じました。反論するには、法律の専門家のようにしっかり根拠を示すべきだし、国会などの答弁も見ていく必要があります。
次に弁護士の大森典子氏が「『河野談話』と日韓合意」をテーマに話をしました。大森氏は「吉見義明裁判」を担当しています。この裁判は、中央大教授であり慰安婦研究者の吉見義明氏の著書『従軍慰安婦』(1995年、岩波書店)について、前衆議院議員の桜内文城氏が「同書の『慰安婦は性奴隷だ』という記述は捏造だと明らかになっている」という主旨の発言をされたことから始まりました。吉見氏は、自著を捏造とされ名誉を毀損されたとして、約1200万円の損害賠償を求めて訴訟を起こしたのです。ちなみに16年1月には東京地裁、12月には東京高裁が吉見氏の訴えを棄却しました。
大森氏は集会で以下の話をしました。
①河野談話を我々の活動の拠り所にし、今後、進化・発展させていかなければならない。
②日韓合意で解決したと言われても河野談話で反論できる。河野談話がある限り、日本は謝り続けなければいけない。
③河野談話に則り、中学校をはじめとする学校教育でもこの問題を教えていかなければいけない。中学校の歴史教科書に慰安婦問題の記述を復活させる。
④吉見義明裁判における桜内氏の供述は支離滅裂でひどいものだった。許すことはできない。
川上氏と大森氏の話が終わると質疑応答の時間となり、両氏は来場者の質問に答えました。質問内容も、それに対する回答も、私の考えとは真逆のものばかりでした。中でも印象的だったのは、川上氏の「賠償金の支払いと謝罪をもってしないと解決とはいえない」「日本政府はお金を支払ったが謝っていない」という主旨の発言でした。
私も大森氏に三つの質問をしました。私の質問と大森氏の回答の概要は以下の通りです。
質問① 河野談話を我々の活動の拠り所にすると言われたが、安倍政権が終わり、他の首相になった際、談話が破棄されたり、見直されたり、新しい官房長官談話が出る可能性もあるが、そのときはどうするのか?
回答 あの安倍政権すら引っ繰り返せなかった河野談話を破棄するような政権が出てくるということを私は考えたくない。この談話は代々の日本政府が国際社会に約束を繰り返してきたものである。簡単には破棄できない。
質問② 大森氏の資料の中に「(慰安婦は)日本人を除けば、大多数は朝鮮半島出身だった」とあるが、日本人慰安婦の請求権はどうなるのか? あなた方は日本人慰安婦の支援をどう考えているのか?
回答 日本人慰安婦は大きな問題。調査も行われていない。声を出していない人を見つけ出して、救済していかなければいけない。
質問③ 国会質疑において、当時の石原信雄官房副長官が、強制連行を示す証拠がなかったので、裏づけのない元慰安婦の証言だけで談話を作成したという主旨の発言をしたが、一般の裁判において「裏づけのない証言」は証拠としての能力はあるのか?
回答 裁判においては裏づけのない証言の方が多い。また、裏付けがないから証拠能力がないということはない。
質問している間、私には厳しい視線が集まりました。
会場で配られていたチラシは、第1章で触れた「女たちの戦争と平和資料館」(wam)で渡されたものと同じチラシでした。「『日韓合意』後も賠償は可能!」と考えて活動している団体と、ユネスコの世界記憶遺産に慰安婦の資料の登録を目論んでいる団体が繋がっていることが分かりました。
15年12月に日韓合意がなされ、日本政府が10億円を韓国政府に支払ったことで、左派勢力はかなり焦っています。残る最後の砦が「河野談話」だというわけです。
一時は見直しの一歩手前までいった河野談話ですが、彼らはこの談話がある限り、慰安婦問題は終わらないと主張しています。私たちが河野談話の破棄に追い込まなければ、戦いは永遠に終わらないと改めて感じました。