偉人リンカーンは奴隷好き

高山正之さんの「変見自在」シリーズの一つです。本書もとても勉強になります。

偉人リンカーンは奴隷好き<変見自在>

 「南京虐殺も従軍慰安婦も教科書や朝日新聞に書いてあるじゃないか。だからそれは真実だ。」「日本と日本軍は悪いことをした。戦争を終わらせるために東京空襲や原爆投下はやむを得なかった。」などとおっしゃる方が居た。

 高山正之さんの「変見自在」を読み、その上で分からないことがあったら調べてみれば良いのに・・・。
 そうすればアメリカに刷り込まれた自虐史観を持つこともなく、真っ当な日本人になれると思うなぁ。
 今回の「偉人リンカーンは奴隷好き」も、面白いし勉強になりました!!!

 高山正之さんの「偉人リンカーンは奴隷好き」を紹介するために、以下に目次や目を留めた項目をコピペさせていただきます。
 興味が湧いて、他も読んでみたいと思ったら、是非本書を手にしていただければと思います。

偉人リンカーンは奴隷好き 高山正之



目次

 はじめに ――「権威」ほど如何わしいものはない―― 3

 第一章 新聞に真実は載らない
「鞭屍」に値する媚中派政治家  19 / 白人の腹黒さも見抜けなかった幣原喜重郎  23 / 成田空港を「ごね得」で利した真犯人  27 / 朝日はどこの国の新聞か  31 / オバマ大統領につきまとう「出生の秘密」  35 / 農水省はウソと隠し事で成り立つ  39 / 新聞に蔓延る教条主義的お馬鹿  43 / 大江健三郎はなぜ裁かれないのか  47 / 非道国家に翻弄されたアイスランドの悲劇  51 / ノーベル賞は白人が横取りする  55

 第二章 野蛮大国は今日も健在  
朝日と大麻の奇妙な関係  61 / 田母神空幕長クビの真相  65 / 支那が戦争を望む理由  69 / 朝日新聞が危険を野放しにした  73 / 永世中立国のえげつない生き方  77 / 「隠れイスラム」オバマの真意  81 / リンカーン大統領は偉人か  85 / 一人前と半人前の国の違い  89 / 「ロス疑惑」三浦自殺の真相  94 / 在日にも法の裁きを  98

 第三章 数多のウソを並べてみれば
インパールを奪ったインドの非道  105 / 口は出すがカネは出さない支那人  110 / ウソは承知の朝日新聞  114 / 日本に住むには百年早い  118 / NHKのウソ番組に化ける受信料  122 / 偽もの時代の偽新聞  126 / 白人に寝返った哀れなツケ  130 / 清王朝継承という大ウソ  134 / 中越沖地震で分かった日本人の美徳  138 / 北方領土に「友愛」は似合わない  142

 第四章 美談には必ずウラがある
「女は半分」のイスラム世界  149 / 「犯罪は儲かる」では困る  153 / 鳩山家の困ったDNA  157 / 子供を狂わす過激性教育  161 / 都心に蘇るマッカーサーの恥部  165 / 愚将三木の下の愚卒  169 / 汚水溜めの如き支那人  173 / 真実は人種で繙けば見えてくる  177 / 北京で会った「百人斬り」浅海記者の娘  181

 第五章 「反日」の絵図に騙されないために
GHQ理論に騙されるな  187 / 日本人墓地を潰した非道ロシア  191 / 自決日本兵の頭蓋骨を調べた理由  195 / マッカーサーが喜ぶJAL崩壊  199 / 朝日は人の人生を弄ぶ  203 / 白人史観はこうして創られる  207 / 米・民主党が日本をしゃぶり尽くす  211 / 髭剃りでわかるオランダの性根  215 / 新聞は真実だけを書けばいい  219 / アフガニスタンに援助はいらない 223

 解説 宮脇淳子


はじめに ――「権威」ほど如何わしいものはない――

 米国 米国の名門ハーバード大の女性学長トゥルー・ファウスト女史が先ごろ来日した。
 日本とこの大学の付き合いは古く、明治七年にはもう二人の卒業生がいた。翌年にはポーツマス条約の日本側代表となる小村寿太郎が入学、金子堅太郎はその翌年に入っている。
 以後、山本五十六から雅子妃までハーバード卒の日本人は三千人を超えたそうだが、最近は減り気味でファウスト学長によれば「十年前の百五十人から今は百人ちょい」 同じ時期に中国人が二百二十人から四百六十人、韓国人が百八十人から三百十人に増えているのと好対照という。原因は日本の知性が落ちたからとか、留学も厭うほど内向きになったためとか。「ハーバード」を知性のバロメータに見立てて様々に「日本は駄目」論が新聞紙面で語られている。
 その語りをみていると米国の判断がいつも正しく、日本の価値観がどこかに埋没してしまう。それを毎回繰り返されると不思議なもので読者の方もいつのまにかそんな錯覚に陥っていく。ハーバードの評価もそういう落とし穴がある。
 この大学は十七世紀に始まる。そのときはすでに大学の前に黒人や白人の女を売る奴隷市場があった。この大学も黒人奴隷が建てた。そんな景色が建学から二百年も続いてやっと奴隷解放だ。
 日本に奴隷制はなかった。だから奴隷という形を目にすると「日本人は露骨に嫌悪感を見せた」と江戸中期に来たスウェーデン人植物学者ツュンベリが語っている。
 キリシタン大名は敵国の将兵や女子供を国外に売り、武器火薬に替えた。それを知った秀吉は奴隷売買の斡旋をした宣教師どもを呼びつけて売った日本人を連れ戻さないと追放するとあの伴天連追放令を出した。
 明治政府はペルーの奴隷船を「国際法違反につき」拿捕、船倉の苦力(クーリー)を解放して国際法廷に引き出されてもいる。
 それは国情の違いでハーバードの知性とは係わりないという主張がある。決してハーバードは奴隷制度に無神経ではなかったと。
 ではその大学の教授様ヘンリー・ゲイツJr.が先日のニューヨーク・タイムズ紙に書いた「黒人奴隷制の批判ごっこに幕を」をどう読めばいいのか。彼はオバマ大統領の出現で長い間放置されてきた黒人奴隷制の決着 ―― 謝罪と賠償 ―― を期待する動きに文句をつけた。「邪悪な白人が善良な黒人をさらって奴隷船に乗っけ……という言い方はあまりに一方的」で「米大陸にきた黒人奴隷の90%が同じ黒人の有力者に捕えられ、白人に売られた」のが真実だと。
 つまりガーナの浜辺で黒人を売っていたから白人が買っただけ。覚醒剤をやったボクは悪くない。覚醒剤の売人がいたから買っただけというのに似ている。
 こんな歴史観を教えていたら日本人が受講する気を失うのも当然だろう。
 ハーバードの大本は小村寿太郎がでた法律学校だ。米国は君主がいない。市民が創った国だから、そのルールとなる法律は重視され、いの一番に法律学校が作られた。
 しかし遵法という点でこれほど杜撰な国もない。例えば黒人青年が白人警官に袋叩きにされたロドニー・キング事件。陪審員は白人警官の無罪を決めた。市民対被告の形を取る米国法ではこれで無罪が確定するが、おさまらない黒人がロサンゼルスで暴動を起こし、街は四日間、燃え続けた。
 そしたら当局が無罪警官を連邦法で起訴し、有罪にした。「最初は州法で裁いた。今度は連邦法だから」と言うが、一つの行為で二度裁かれたのは紛れもない事実だ。法治国家の大原則「一事不再理」が平気で無視された。
 折から父ブッシュの大統領選が間近だった。黒人票を取り込むには白人警官を何としてでも有罪にしたいという政治判断があった。司法がそれに従って動いたということだ。米国はまだ三権分立すら確立されていない。
 クリントン時代、カリフォルニア州下院が「捕虜を虐待した日本に賠償させる」いわゆるヘイデン法を成立させた。だいたい捕虜虐待からしてでっち上げの上に「法の遡及の禁止」を無視した目茶苦茶な法律なのに米社会では一切の疑義も出ないまま、さあ日本企業から一兆ドル取れるとみんなではしゃいでいた。
 幸い政権が共和党になって、さすがにこの「勝手に遡及」法は失効させられた。日本に実害はなかったが、実はこの「法の原則など糞喰らえ」国家による実害は既に山とある。その代表格がコーニング対住友の光ファイバー訴訟だ。コーニングはハーバード大卒のA・ホートンが創ったガラス屋でエジソンの白熱電球を開発したことで大企業への道を歩み出し、今はハップル宇宙望遠鏡のレンズなども手掛けている。
 もう一つ手掛けたのが西沢潤一東北大教授(当時)が発明した光ファイバーだった。特許庁は毎度、失態ばかり繰り返す役所だが、この光ファイバーの特許申請を却下し、そんなことでもたもたしているうちに世界に製法が広まって行った。
 こういう問題に敏感なのは米国人と支那人でこのときもチャールズ・カオが西沢理論をそっくり真似て自分の理論らしいものを創り上げた。それにコーニングが乗っかり、西沢理論にカオ理論をたした形で米特許商標庁に特許を申請した。
 一方、住友電工は西沢理論をベースにカオ=コーニングの不純物を使う製法とは別の方式で光ファイバーを製造していた。
 そしたらコーニングが住友を訴えた。コーニングこそ西沢理論を盗んだ張本人だが、そういう倫理観は米国人、ましてハーバード大卒の人間にはない。法廷では二社の理論も製造方法も違う。素材も違う。とくにゲルマニウムを使った点で住友の技術がコーニングのそれに勝った別物であることはだれの目にも明らかだった。だれしも住友の勝ちを信じた。
 その根拠は法律の大原則「拡大解釈」の禁止だ。特許権問題ではそれはなおさらのことだった。しかし米国の法廷は公然、この禁を侵してコーニングの特許に書いていない部分まで拡大解釈して住友に負けを宣し、結局、住友電工は和解金二千五百万ドル(三十三億円)の支払いと米国から撤退という完敗を喫した。
 ケースはうんと小さくなるが、バイクで事故を起こした少年が一生車椅子だと嘘をついて製造物責任法でホンダを訴えた。ホンダが科学的に何の欠陥もないことを証明したが、評決は三百万ドルの賠償を命じるものだった。無実は分かっているが、それぐらい子供に払ってやれと陪審員は平然と言ってのける。
 法律が何かなどこの国には一切関係ない。まず自国民の利益。だからとろい日本から光ファイバーの特許も取る、ライバルは潰し、行きがけの駄賃に賠償金を取れればもっといいとしか考えない。議会も裁判官も公正を誓った陪審員もカモをいかに料理し、得をしようかしか頭にない。
 日本の新聞が知性の基準のように崇める米国にしてこの有様だ。支那、ロシアなどに至っては何を考えているか、想像するだけで恐ろしい。そういう現世をさあ友愛でと鳩山さんは言って、それでこけた。
 この本で友愛よりもっと大事なことを知っていただければ幸いである。
   2010年初夏   高山正之


オバマ大統領につきまとう「出生の秘密」 P35

 イランの古都イスファハンで会社役員が殺された。イ・イ戦争がどうもイランの敗北で終わりそうな気配になったころの話だ。
 イランはあれで治安もいい。警察力も高い。
 物盗りの居直り殺人と思われた事件は、実は殺された役員の妻と密通していた部下が、道ならぬ恋を成就させるために仕組んだ謀殺と判明した。
 犯行には部下の友人も協力し、見張りに立っていたことも分かった。
 警察は部下と友人と密通した妻も逮捕した。
 イスラムの法廷はアラーの名のもとに行われ、判決もアラーの名で下される。ということは神は無謬だから判決が誤りだとする控訴はあり得ない。裁判は一審で終わる。
 判決は部下に対し、上司を殺したのと同じ「ナイフで胸を何度も刺す」目には目式の死刑を宣告した。
 妻はコーランが大罪と規定する不倫の罪で有罪とされ、最も残酷な石打ち刑とされた。
 そして見張りに立った部下の友人は目によって犯罪に加担した罪で、両眼の抉り出しが宣告された。
 処刑は1986年4月3日に行われた。その翌日のテヘランの新聞には聖都コムの河原で行われた妻の石打ち刑を見物に来た群衆の写真が掲載された。
 石打ち刑は宗教警察官が「腰まで埋められた妻に十ガダームの距離」から「手頃なサイズの石」を投げつけて死に至らしめる。このときは約二十分間で絶命したと記事にあった。
 処刑の後の金曜礼拝でカシャニ師は「アラーは慈悲深い。しかしコーランは不義に慈悲は不要としている」と語った。
 不倫は文化だと石田純一はいう。日本人もみなそうだと思っている。
 そういう日本にはとても馴染みそうもない宗教だが、そのイスラムは七世紀にアラビア半島で誕生してから瞬く問に今のイランを飲み込み、アジアからマグレブヘと広がっていった。
 なぜか。
 一つにはコーランやシャリア(イスラム法)が衛生や社会規範に並んで契約とか債務、さらに無権代理人など商取引のルールを備えていたからだといわれる。
 これは便利だった。それでシルクロードや海の貿易ルートに沿ってイスラム国家が出現していった。
 もう一つは親子相伝の規則だ。前述した石打ち刑はもともとユダヤ教のモーゼが決めた戒律だ。またイスラムが定める豚はだめ、羊はいいといった食べ物の規定もユダヤ教の教えそのまま。それを見ても分かるようにイスラムとユダヤ教、キリスト教は同じ神をいただく兄弟宗教になる。
 つまりエホバとアラーは同一人物なのだ。
 で、そのユダヤ教は親がユダヤ教徒なら子もユダヤ教徒になり、異教徒との結婚は認めていない。
 もっとも最近は異教徒との結婚も認め、母がユダヤ教徒の場合は子供は自動的にユダヤ教徒に、スティーブン・スピルバーグのように父がユダヤ教徒で母がキリスト教徒の場合は子供が成人したときにどちらか選択できる方式が認められている。
 イスラムはこの親子相伝と異教徒との交わり不可を厳に踏襲した。スピルバーグ方式は認めていない。
 これもイランであった例だが、キリスト教徒のドイツ人商社マンが独身イラン女性と恋に落ちて寝たことがばれた。
 女は異教徒と交った罪で、ドイツ人はイスラムに改宗しないで女を抱いた罪でともに死刑が宣告された。
 イスラム教徒が増えた三つ目の理由は、イスラムから他の宗教に改宗するのを神に対する罪、つまり死刑と決めていることだ。
 サルマン・ラシュディが『悪魔の詩』を書いてイスラム世界から死刑を宣告された。理由は実はキリスト教への改宗にあった。そうやって改宗できないようにしているからイスラムは増える一方なのだ。
 先日の産経新聞に「オバマ氏のタブーとは」という古森記者の記事があった。オバマのミドルネームは「フセイン」。ムハンマドの孫の名で、それをいうとイスラムを連想し、彼への不当な個人攻撃になる。だからどこも書けない、というような話だった。
 しかしそんな名より父がイスラム教徒という方が気にならないか。
 少なくとも白人の母がイスラムに改宗しない限り結婚はできない。それとも彼だけ特別にスピルバーグ方式だったというのだろうか。
 (2008年11月6日号)


ノーベル賞は白人が横取りする P55

 「日本という言葉を発するときにたえず嫌悪の匂いが私の中に生まれる」と加藤登紀子が言った。
 曽野綾子さんがそんなに日本が嫌なら日本人でいることはない。他国人になれば(産経新聞「昭和正論座」)と親切に勧めていた。
 しかし彼女はその後も日本に居座っている。
 朝日新聞も彼女と同じに日本を嫌い「日本はいい国だ」と書いた空幕長を罵り倒してクビにさせた。
 この新聞もソウルに移ればいいのに、まだ日本で優雅に暮らしている。
 そんな新聞にHIVウイルス発見でノーベル賞を受賞する仏医学者リュック・モンタニエの話か載った。発見から二十余年。受賞がこんなに遅れたのは「米国のロバート・ギャロ博士との先陣争いがあった」と辻篤子論説委員がきれい気に書いていた。
 でも本当はギャロがモンタニエからもらったサンプルを元に「オレが第一発見者だ」と言い出した。
 名を残せるならどんな恥知らずもやる。ギャロを白状させるのにこんなに時間がかかったというのがホントの理由だ。
 日本のことなら嘘でも悪口を書く朝日は、相手が白人だとここまで遠慮する。
 おまけに辻女史は「受賞者は三人。漏れた四人目の学者が可哀想」とも。
 そんな金魚の糞みたいな存在に同情する前にノーベル賞の裏にある騙りや偏見をなぜ報道しないのか。
 裏は実際、とても汚い。例えば第一回のノーベル医学賞はジフテリアの血清療法に与えられた。
 北里柴三郎が破傷風に次いで手掛けた血清療法の第二弾で、ドイツ人エミール・ベーリングと共同研究の形で発表された。
 しかし受賞はベーリングだけ。北里は黄色い人種ゆえに受賞から外された。
 同じころ高峰譲吉が副腎皮質ホルモンを世界で初めて結晶化し、アドレナリンと名付けた(石原藤夫『発明特許の日本史』)。
 しかし日本人はここでも無視され、それをいいことに米国のジョン・エーベルは「高峰が私の発見を盗んだ」と言い出した。ギャロには先輩がいた。
 米医学会もそれに乗ってエーベルの名付けた「エピネフリン」を正式の名にした。不思議なことに日本の役所も戦後、米国名に倣っていた(同書)。
 米国にはギャロがまだまだたくさんいて、J・アクセルロッドはアドレナリンを脳伝達物質として理論づけノーベル賞を取った。高峰の名も業績も消された。
 鈴木梅太郎は第一次大戦前、オリザニンを発見した。
 人類を脚気から解放した大偉業だが、これまたポーランド人のC・フンクがビタミンと言い換えて発表した。
 まず日本人の名付けた名を消し、次に業績も「コメ糠に脚気の治癒効果がある」と予言したオランダ人C・エイクマンがノーベル賞を受賞した。
 ビデオからステルス性能まで生み出したフェライトは昭和5年にTDK創始者の武井武が発明した。
 オランダのフィリップス社がこれに興味を持ちサンプルを求めてきた。
 武井が親切にサンプルを送ると、同社はギャロと同じことをした。サンプルを分解し、理論を突き止めて世界に特許を申請した。
 戦後、GHQの命令で日本はフィリップス社の特許を飲まされた。武井武の名は消しさられた。
 さすがに同社はノーベル賞までは言い出さなかったが、それを見た仏物理学者ルイ・ネールが武井理論を自分の名で出してノーベル賞を受賞した。
 慶応医学部の小林六造は猫の胃から螺旋菌を見つけた。あの強い胃酸の中に菌がいる。大いなる発見だが、小林はさらにその菌をウサギに接種してみた。ウサギは胃潰瘍を起こした。
 彼はそれをヘリコバクタ菌と命名した。
 オーストラリアのバリー・マーシャルはその螺旋菌を自らの胃に接種した。胃潰瘍が起きた。胃がんのもと、ピロリ菌の発見だ。
 彼はノーベル賞を受賞したが、小林の名と業績を語ることはなかった。
 二十世紀を通して反日キャンペーンを張ったサンフランシスコ・クロニクル紙。朝日新聞の先輩格だが、この新聞は日本を嫌悪する根拠に「Brown Steal white brain(白人の知恵を盗む有色人種)」を挙げていた。よく言う。
 そんな白人を黙らせて来週、四人の日本人がノーベル賞を受賞する。
 (2008年12月11日号)


田母神空幕長クビの真相 P65

  爾(なんじ)の俸(ほう)爾の禄(ろく)は
  民(たみ)の膏(こう)民の脂(し)なり
  下民(かみん)は虐げ易(しいたげやす)きも
  上天(じょうてん)は欺き難(あざむきがた)し

 支那の役人は今も昔も汚職が生き甲斐だ。
 困った北宋の太宗はこの戒石銘をすべての役所に置いた。
 日本は清廉な武士が役人を兼ねたので汚職のない稀有の歴史を刻んできた。
 しかし明治になって支那流の科挙の制(高等文官試験)を入れたので今は支那と同じになった。
 ただ支那より悪いことに役人に漢字の素養がなく「上天は欺き難し」の「上天」を自分のことだと思い込んでいる。だって天下りって言うじゃないか。
 だから彼らは後の二行を「役人は欺き難い。もし欺けば役人は好きに民を苛めていい」と読む。
 いい例が姉歯事件だ。姉歯秀次は日本人として歴史的なことをやった。
 日本の昔は、武士が役所を仕切った。東京湾に流れ込む利根川を銚子に持っていく瀬替えなどの土木工事も武士がやった。
 武士道に生き、権力は持っていても不正とは無縁だった。
 一方の民もそんな役人を見習って欺くことなど思いもしなかった。
 しかし姉歯は、今の役人は昔の立派な武士とは違う生き物だと感じていた。
 三笠フーズの汚染米を96回も検査にいった役人は接待だけ受けて帰った。農水省の町田勝弘局長は「民は性善だと信じていた」と言い繕う。役人は仕事をサボってタダ酒飲んでいても、民は役人を欺いてはいけない。悪いのは役人を騙した三笠だと。
 それを姉歯は見抜いていた。試しにインチキ構造計算書を出してみた。案の定、建築指導課は何も見ないで判子をついた。
 そんな役人が天下る審査機関、姉歯ケースではイーホームズだが、これも右に倣え。姉歯が出した207件の半分99件がインチキだったが、すべてフリーパスだった。 ザルだってもっと引っかかる。こんな役人ばかりで呆れるが、それでも日本人が凄いと思うのは、上が腐り切ってもズルをやるものが明治この方、姉歯までいなかったということだ。
 しかし役人の怠慢を曝した姉歯事件はあらぬ方向にいく。役人は反省どころか逆に民を虐げに出た。
 建築指導課は三週間の審査期間を故意に遅らせ、半年も放っておく。施工主も建設会社もじっと待つ。待ちくたびれて倒産するところも出てきた。
 彼らは今、喉元過ぎたら今度は審査期間をネタに民にたかろうと考えている。
 羽曳野市の職員が生活保護を受けている女性に「ワイのおかげで受給できた」とセクハラし続けた。女性は裁判所に訴え、慰謝料の24万円を得た。
 セクハラ職員の上司、麻野博一課長は監督不行き届きで謝罪するかと思ったら逆に彼女に仕返しした。
 慰謝料は「収入」だからと生活保護費からその分カットしたのだ。「下民は虐げ易し」というわけだ。ちなみに米国などでは精神的苦痛への賠償は課税対象から外される。収入とは見倣さない。
 防衛省の内局、つまり背広組は先代の守屋次官を筆頭にみな腐敗していた。あまりに汚職が蔓延り、反省を込めて省内向けにビデオを作った。
 内容は制服自衛官が賄賂と供応を受けるというストーリーだった。悪いことはみな制服組に押し付ける。内局の悪い癖だ。
 守屋の後任の増田好平は次官就任のさい陸海空の幕僚長を呼びつけて、そのビデオと同じに自衛官は汚職まみれだから綱紀粛正するようにと申し渡した。
 田母神俊雄空幕長が反論した。それは汚職をやる内局に言えばいい、と。
 増田は羽曳野市の麻野課長と同じだった。反省しないで報復に出た。本来ならこの夏に田母神は統合幕僚長に就任する予定だったが、増田はそれを見送り、来春の彼の定年を待って次の統合幕僚長人事をやることにした。これが文民統制と思っている。
 そんな折、空幕長が民間懸賞論文で一等をとった。増田は事前許可を取っていないとか因縁をつけて、蚤の心臓の浜田防衛相を「今彼をクビにしないとアナタのクビが飛ぶ」と脅し上げた。かくてその日のうちに空幕長の解任が決まった。
 仕掛けた増田の名は表に出ない。支那の役人を超えた陰湿さだ。
 (2008年12月25日号)


朝日新聞が危険を野放しにした P73

 昔の話になる。正月三が日も明けないうちに知り合いの刑事が殺された。
 首を切り落とされるという惨い殺されようだったが、新聞に載らなかったのは加害者がその刑事の息子で、今で言う統合失調症患者だったためだ。
 その刑事の家にはよく夜回りに行った。なぜか気難しい彼にも奥さんにも可愛がられ、特ダネを貰ったこともあった。
 息子の病状は快方にあったという。正月くらいはと病院側も承知して家に帰ってきた、と通夜の席で奥さんが話してくれた。久しぶりの団欒だったという。
 台所で片付けものをして居間に戻ってみたら、血まみれの包丁を手にした息子が立っていた。
 この病の闇の深さが痛いほど伝わってきた。
 そのころ、朝日新聞は精神病院に記者を潜入させて、患者の人権侵害がひどいと大袈裟なキャンペーンを張っていた。殊勝げに「彼らを閉じ込めるな」と。
 こんな無責任な主張でも朝日新聞が言い出すとだれも抵抗できなかった。もはや長期入院は死語になった。
 おかげで通院に切り替えられた男が二年前、宮城の小学校正門前で幼女を包丁で刺したが、朝日はそれを痛痒にも感じない。
 神戸・タンク山で子供を殺した少年は、異常さが消えたという証明もなく社会に復帰したと朝日が伝え「彼を温かく迎えろ」と紙面で命令した。
 昭和50年、全日空機を高校生がハイジャックした。怪我人もなく解決したが、周囲の混乱と迷惑は大きかった。全日空は犯罪が間尺に合わないことを知らしめるため高校生に700万円の賠償を請求した。
 朝日はそれを、「大企業の全日空が母子家庭に高額賠償請求」とやった。
 それ以来、日本では経済的弱者は何をやってもいいことになった。ホームレスが公園を不法占拠して住みついても、だれも文句が言えなくなった。
 朝日はまた犯罪者の人権も重視した。女性10人を殺した小野悦男が違法な取り調べを受けたと騒いで、無罪判決を出させた。
 小野は出所してすぐ人を殺したが、朝日は殺される側の人権には関心がなかった。
 韓国製の靴を履き、指紋をべたべた残した世田谷一家殺害事件の犯人はまだ捕まっ ていない。
 朝日は、子供の祖父母の悲しみをそら涙で伝えたが、その朝日が事件解決を難しくしたことは伏せた。
 実は、朝日は在日など外人の指紋押捺を人権侵害だと言い続けた。朝日が言えばテレビも倣うから国会議員も抵抗できない。指紋押捺は廃止になった。
 かくてこの国に身許の不確かな者が跋扈しても、日本はそれを阻む手段を失ってしまった。
 朝日新聞のいうことは何かまやかしがあると読者は気づいてきた。
 ちょっと嫌悪感も覚えてきた。その感覚をさらに膨らませているのが日々の紙面だ。
 なぜかやたら外人が出てきて、二言目には日本が悪いと言う。たまに米国も悪いというが、でも日本を侵略国という米国は正しいともいう。
 例えばビル・エモットだ。彼は日本の首相に七十周年記念日の南京大虐殺記念館に行って謝罪しろと偉そうに書く。しかしこの無知な英国人は当の記念館でその日に嘘のばれた写真三枚を外していたことは知らない。
 クロード・ルブランもよく日本の悪口を書くが、彼は知られた論客でも何でもない。ただ日本を見下している外人というだけで朝日にコラムを持っている。
 金泳三(キムヨンサム)の副首相だった権五琦(クォンオギ)は「日本は朝鮮を厳しく搾取した」と書いた。搾取するものがあの国にあったとは知らなかった。
 日本は何もない朝鮮に汽車を走らせ電気を通しラジオも普及させたが、朝日の夕刊「ラジオの時代」では、朝鮮人にありがとうではなく「玉音放送で日本人は泣いていたけど『ざまを見ろ』と思った」と言わせている。
 歪みと偽りは不快感しか生まない。読者は離れ、朝日は売れなくなった。朝日に倣う毎日も地方紙も同じく下降線をたどる。
 そんな中で産経新聞が今年秋から九州で現地印刷を始めるとあった。朝日と違って嘘はなし、日本のいいことも書いてきた。
 支那万歳を繰り返す岡本行夫に一面を書かせるブレはあるけれど、まだまともと判断されたのだろう。
 (2009年1月15日号)


リンカーン大統領は偉人か P85

  朝日新聞はオバマがよほど好きみたいだ。
 先日の論説委員コラムは「オバマの尊敬するリンカーンが徳川家茂に宛てた書簡があった」という、それがどうしたみたいな話を載せていた。
 書簡は南北戦争のさなかに書かれ、そのすぐ後に彼は奴隷解放を宣言している。それから百五十年、いまオバマ大統領が登場した。家茂から現代までの年月と重ねてみて「これを長いと見るか短いと見るか」とコラムは問う。
 問いがよく分からない。
 だいたい百五十年前まで奴隷を使っていたこと自体、米国は恥ずかしいほど遅れていた。
 やっと奴隷制をやめてなお、百五十年間も人種の壁を崩さなかったのは正気の国とも思えない。

 奴隷制を憎んでその歴史ももたない日本と重ねたら、なおさらこの国のお粗末さが際立つだけだ。
 このコラム子はそれも分からずに、あたかも米国がいい国のように語る。
 この国の正体は百五十年前を見ただけではだめだ。遡ってメイフラワー号でやってきた清教徒の時代から見なければならない。
 彼らは知られるようにワンパノアグ族の酋長マサソイトが恵んだ食糧で冬を越す。感謝祭の謂れだが、よさそうな話にはけったいな続きがある。
 七面鳥で元気になった清教徒らは酋長の死ぬのを待って彼らの領土を奪い始める。抵抗した息子は殺され、その首は二十年間プリマスの港に晒された。
 彼の妻子と一族もまとめてカリブの奴隷商人に叩き売られた。
 土地を手に入れた清教徒は働き手と妻を最寄りの奴隷市場に買いにいった。
 奴隷市場は実はメイフラワー号が着く一年前に店開きしていて、最初の売り物は百四十人の英国産の白人女囚だった。
 新大陸はまず男どもが入植したから圧倒的な女日照りだった。それで英政府は万引き程度の罪でもみな島流しを宣告して新大陸に送りこんでいた。
 女が行き渡ると市場の主商品は黒人になった。
 こちらも当初は開墾だとかの力仕事に耐えられる男の奴隷が主だったが、やがて女の奴隷も入れるようになった。
 黒人奴隷は輸入に頼らず、国内で繁殖させればコストは安上がりになる。
 ちなみに独立宣言を起草したトーマス・ジェファーソンは黒人女性サリー・ヘミングスを隠し妻にしたことで知られるが、彼女は正確には八分の一の黒人混血児だった。
 つまり繁殖用に輸入された曾祖母がまずブリーダーの白人に犯され、生まれた娘が また白人に犯され、孫も犯されてサリーが生まれたということだ。
 彼女がずっと隠し妻だったのは当時、黒人女性など有色人種と白人が性交すること自体が罪とされていたからだ。
 それでもジェファーソンは「人は等しく創造され、生命と自由と幸福追求の権利を持つ」と書いて恥じるところがなかった。
 こうした裏切りや悖徳が山と積まれたころ、リンカーンが登場する。
 彼は確かに黒人奴隷制の廃止を宣言した。
 いかにも人道的な人のように見えるが、この宣言に前後して彼はダコタ族の討伐命令を下し、その処刑まで命じている。
 発端は白人側の裏切りで、土地を取り上げた代償の食糧品などが粗悪を極めた。怒ったダコタ族が決起すると、待ってましたと騎兵隊が殺到して全滅させた。いつもの手口だ。
 このときは法に則って裁判を開いたというが、たった五分で結審して三百人のダコタ族に死刑判決が下された。ミネソタ版の東京裁判といっていい。
 リンカーンはそれを支持した。人道的というにはほど遠くないか。
 奴隷廃止も額面通りではない。米国は国際世論がうるさい黒人奴隷に替わる格安の中国人苦力(クーリー)をとっくに見つけていた。実際、ペリー来日前に米の奴隷船から苦力が石垣島に逃げ込み、たまたまやってきていたペリー艦隊の戦艦サラトガの乗員が上陸して逃亡した苦力をみな殺しにしている。
 コラムはリンカーンの性格は筆跡からきっと「正直に違いない」と見る。そして日本に書簡を認めるとき「どんな日本を思い浮かべたのだろう」と結ぶ。
 同じモンゴロイドのダコタ族を虐殺し、苦力を代替奴隷に使う白人大統領が日本人をどう思っていたか、コラム子は想像がつかないのだろうか。
 (2009年2月12日号)


NHKのウソ番組に化ける受信料 P122

 今から四代前のニューヨーク・タイムズ東京支局長はニコラス・クリストフといった。
 天安門事件のとき、たまたま北京支局にいて、そのリポートでピューリッツァー賞をとっている。
 まあ東京支局長をやらせてもいいかなと思える経歴だが、彼が東京で書いた記事は驚きだった。日本人の異質さをほじくっては下品な筆致で強調する。行間からは日本人への憎悪すら感じられた。
 例えば彼は、百貨店のエレベーターガールの甲高い声にけちをつけた。
 インディアンの鬨(とき)の声のように、知性が低いほど声が高いと言われ出したころの話で、彼は「日本の女の地位は低い。だから彼女らは男の歓心を買うために少女っぽい高い声を出すのだ」と勝手に定義付ける。
 彼の息子が通っている学校で椅子取りゲームをやった。最後に息子と女の子が残ったが、「女の子は息子に勝ちを譲った。男の慰み物として生きるだけの日本の女は小さいころから男に譲るよう躾られている」。
 それなら女の子がゲームの決勝まで勝ち残るわけもなかろうが。
 すぐばれる嘘でも米紙には日本人を虚仮にするものなら大目に見る傾向がある、とロサンゼルス・タイムズ紙のサム・ジェイムスンは語っていた。
 それでもクリストフが一面写真付きで書いた「日本兵が人肉を食った」ストーリーは、大目の限界を超えたものだった。
 掻い摘むと、彼は三重県の田舎町で老兵から「支那の戦線で十四歳の支那人少年を殺してその肉を食った」との告白を聞き出す。
 老兵は「何十年も連れ添った妻にも打ち明けなかった秘密」で、「たった一切れだったが、今も悪夢にうなされる」と「枯れ木のような手を震わせた」とある。
 日本人は支那人と違い人肉食の習慣はない。この記事を怪しんだ産経新聞記者が三重の老人を訪ねた。
 老人はクリストフがきて人肉を食ったかと聞く。そんなことするワケもなかろうというと、では噂はどうかと畳みかける。
 あまりしつこいので華中に駐屯していたころの話をしてやったという。
 「市場に珍しく新鮮な牛肉が出た。滅多にないからと買って、みなで久しぶりのすき焼きをした」
 そこに憲兵がきて何某を知らんか。子供を殺した廉(かど)で追っている、という。それで仲間が、もしかしてこの肉はその殺された子をつぶしたのではと冗談を飛ばした。それほど新鮮だったという意味だ。
 クリストフはその話のあちこちを適当につまんで「日本兵が十四歳の子供を解体してすき焼きにした」ことにした。子供の歳は彼の閃きか。さすがピューリッツァー賞記者だ。
 先日、NHKで日本の台湾統治を描いた「アジアの“一等国”」が放映された。
 「台湾は漢民族のもの」とのっけから嘘をかますクリストフ流で、手法も彼を真似て、台北一中卒の老人に語らせる。
 老人は「差別された」と語り、だから「名前を日本風に変えた」と続く。
 大陸から逃げてきた蒋介石はまず台湾の知識人を虐殺する2・28事件を起こすが、これも「日本化して漢民族を裏切ったから処刑された」当然の結果という。
 台湾は実は親日的ではない。今まで口に出せなかっただけで、今やっとNHKに本音を吐露したのだと。この辺は「妻にも内緒の人肉食」をクリストフに吐露した老兵と同じ構成だ。
 番組を見た台北一中の同窓生らが驚いて老人を問い質すと「そんなことは言っていない」とNHKの意図的な切り貼りを訴えた。
 例えば蔡焜燦(さいこんさん)氏は「台湾人の創氏改名は許可制でまず不可だった」と届け出制の朝鮮との違いを語る。
 2・28事件も「蒋介石はサル山のつもりで旧ボスを殺してだれが偉いか見せつけるために殺しまくった」と黄文雄氏はいう。
 しかし番組制作者の田辺雅泰(まさやす)はそうした事実を避け、クリストフに倣って老人に語らせた言葉のあちこちを切り貼りして虚構の台湾人をでっち上げた。
 クリストフは日本を貶めれば喜ぶ米国人読者のために嘘を拵えた。
 しかし田辺は受信料を払っている日本人を故意に貶めるために、その受信料をつぎ込んで嘘を拵えた。
 こんなNHKに受信料を払う理由がどこにあるのか。

 (2009年4月23日号)


北方領土に「友愛」は似合わない P142

「「友愛」を熱っぽく語るからといって、その人が信頼に足る、愛すべき人物だとは限 らない。
 田母神さんとお茶会で最後まで一緒しながら「私は早々に帰りました」と鳩山由紀夫は平気で嘘をついた。人の本質は口先でなく、日頃の行いに表れるものだ。
 国家も同じ。良き隣人を装って本業は火事場ドロなんて国もある。正体を知るにはその国の行いを見るにしくはない。
 例えばロシアだ。この国との出合いに十八世紀の若潮丸事件がある。
 薩摩を出たこの船が難破してやがてカムチャツカに漂着する。ロシア人は稚児にできそうな十二歳のゴンザとソウザを除いて残り十七人を皆殺しにする。ゴンザらはのちに日本戦略研究の要員にされた。
 日本人がロシアの何ものかを知るのは、そのカムチャツカから逃げ出したハンガリー人ベニョフスキーがもたらした報告書でだった。
 それでロシアの脅威を知って林子平が『海国兵談』を著わした。
 十九世紀、子平の恐れた通り、択捉で松前藩とロシア人の衝突が起きる。彼等は日本人を捕らえると武士なら腕を斬り落とし、砲を扱う者なら目を抉った。
 維新直前には露艦ポサドニクが対馬に入り、藩主に芋崎の永久租借と遊女差し出しを要求してきた。
 英国が介入して事なきを得たが、占領してすぐ女を要求するなどマッカーサーと変わらない下品さだ。
 それでもロシアは諦めなかった。朝鮮を手なずけて日本海に出ようとして日本に完膚なきまでに叩きのめされてしまった。
 ロシアは白人国家仲間に顔向けできないほどの恥辱にまみれた。
 次に日本人がロシア人を見たのが昭和20年8月9日だった。
 日本はすでに陸海の戦闘能力を失い、米軍機は自由に日本の空を飛んでいた。この日もB29が一機、プルトニウム型原爆を小倉に落としに行き、雲が厚いので長崎に向かっていた。
 まさにその日、ロシアは日ソ中立条約を破って攻め込んできた。
 満洲も樺太も取り、8月15日もお構いなし、日本がミズーリ艦上で降伏調印をしているころ択捉、国後を押さえて9月5日、北方四島の占領を終えた。
 彼等は占領地で略奪と暴行を恣にし、さらに数十万の日本人を奴隷としてシペリアに送り込んだ。中世の蛮族と変わるところはない。ロシアという国の下衆さが実によく出ている。
 そんな国と最初に北方四島問題を語ったのが鳩山一郎だった。フリーメーソンの会員というのが自慢の白人崇拝者だから、彼のサインした日ソ共同宣言では日本側は面積で7%ほどの歯舞・色丹だけでいいみたいに書かれている。
 斎藤勉・内藤泰朗共著の『北方領土は泣いている』に詳しいが、孫の鳩山由紀夫もこの「歯舞・色丹でいい」に固執している。「日本列島は日本人だけのものではない」と言った真意は案外この辺にあるのかもしれない。
 しかしそんなことで日本人は納得しない。
 それならと入れ知恵してきたのがロシアにも媚を売る朝日新聞だった。
 この新聞が目をつけたのが「北方四島は珍宝島方式で」という政治学者の岩下明裕だった。ウスリーの中洲を巡る中ソ国境紛争は結局、面積を半分ずつにするということで決着した。
 だから北方四島も日本とロシアで面積を半分にすればいい、という主張だ。
 朝日は早速、若宮啓文が審査員を務める大佛次郎賞を岩下に与え、新聞で持て囃し、河野太郎によいしょさせてきた。
 最近話題の三・五島論はまさにこの岩下理論で、四島の面積を半分にすると日本側の取り分は歯舞、色丹、国後と択捉の半分になる。
 四つのうち三つ半と聞けば大方の日本人も納得するというのが朝日の読みだ。
 しかし、これは朝三暮四的まやかしにすぎない。
 北方四島は珍宝島と違って領土紛争ではない。性悪のロシアが他人様のものを盗った。それを返させる。ついでに猿でもできる反省のポーズをロシア人に取らせれば上出来という話なのだ。

 (2009年6月11日号)


北京で会った「百人斬り」浅海記者の娘 P181

  向井敏明、野田毅の二人の少尉が南京の収容所に送られたときは異様な雰囲気だったと、当時の収容者の一人は語っている。
 米国は日本のイメージを「第三世界の解放者」から「残忍な侵略者」へと書き換えていた。
 それは難しくはない。日本人が千人否定しても、白人一人がそうだと言えばそれを真実にできた。

 実際、米国の宣教師とドイツの武器商人の証言だけで三十万人南京大虐殺があったことにされてしまった。
 バターン死の行進も同じで日本人が何を言おうと米国人の嘘が真実になる。
 ただ彼らも白人が創った嘘ばかりでは気が引ける。
 だから毎日新聞の「百人斬り」は日本人が自ら「残忍な日本人」を語ったと大喜びした。
 二人の少尉は日本認定の貴重な「残虐・日本」の象徴として扱われたというのが冒頭の異様な雰囲気の意味だ。
 二人はそんな米国の目論見を知らない。南京の獄中から記事を書いた浅海一男記者に「真実を語って」と手紙をしたためた。
 浅海は記事で二人に無錫や丹陽など四か所で会って、その都度、関の孫六で三十人斬った五十人斬った、最後に紫金山で会ったときはとうとう百人を超えちゃったと二人で大笑いしたと書いている。
 しかし二人はこの記者に無錫で一度会っただけだ。向井はその後、負傷して病院に送られ紫金山にも行ってない。浅海自身も従軍記録によると激戦地の紫金山には行っていない。
 要は浅海のでっち上げ記事だった。状況証拠もある。彼はAP特派員との架空会見など他にも嘘を書いていた。嘘の常習記者だった。
 そんな男が真実を語るとも思えない。案の定、返信は「記事にした事実は二人から聞いた」と真実の一片も語ってはいなかった。
 かくて二人は浅海の記事を唯一の証拠に、その一か月後に処刑された。
 
一方の浅海は戦後、新聞社で将来設計を考え、これからは「左」に活路があると読み、新聞労組幹部になった。
 支那に左の政権ができると彼も早速、毛沢東賛美に走った。
 中共の対日新聞工作は六〇年代廖承志(りょうしょうし)を中心に活発化し、やがて日中記者交換が実現した。
 浅海は毎日新聞労組委員長として北京に招かれ、廖に会い、廖はそこで彼があの「百人斬り」の嘘を書いた浅海本人と知る。
 「残虐・日本」はまだ使いでがあると北京は読んでいた。カギとなる浅海を放置しておく手はない。廖は浅海の定年退職を待って彼を北京に招いて職を与え、娘の真理を北京大学に入学させた。
 やがて本多勝一の「中国の旅」が朝日新聞で始まり、浅海の「百人斬り」がもっとどぎつく再録された。

 山本七平がその嘘を糺し本多と論争になった。
 浅海も北京から戻ってきて他人事のように「二人は最期に日中友好を叫びました。その精神が大事です」とか。「日本軍は毒ガスの赤筒で敵兵をいぶり出して掃討した」とか。「敵兵」はトーチカに鎖で繋がれていた。いぶったところで外に出てはこれない。それに赤筒は催涙弾で毒ガスではない。
 浅海は親子で世話になっている北京政府の思惑通りに日本を残虐な侵略国家として死ぬまで語り続けた。
 二人の少尉の遺族が浅海の嘘に関わった毎日新聞と朝日新聞を六年前に訴えた。
 しかし地裁も高裁も米国製の歴史観を覆す度胸はなく遺族の訴えを退けた。最高裁はもっと臆病に門を閉ざして国民を裏切った。
 判決のあと北京の国営友誼商店を訪ねた。日本からの旅行客が必ず連れて行かれる土産屋で、その一階左奥に浅海の娘が北京政府からもらった店がある。
 廖承志の額の下で彼女は「父は苦しんだ」という。自分の嘘で二人も殺したら誰だって苦しむ。でもその嘘のおかげで親子二代がこうして安穏と暮らしてきたことは語らない。
 ちなみに今回総選挙では最高裁判事の審査がある。百人斬り訴訟を棄却した判事は残念ながら対象外だが、彼らの不始末の責任をとる竹崎博允最高裁長官がいる。
 国民があの裁判をどう思ったか。×で示したい。
 (2009年9月3日号)


朝日は人の人生を弄ぶ P203

 昭和三十年代、朝鮮総連が北朝鮮帰還者を募った。
 当時も今も北朝鮮のいいところは日本が残した水力発電所とか港湾施設とかのインフラだけで、彼ら自身のものは何もなかった。
 それでも九万人が喜んで帰って行ったのは朝日新聞の「北朝鮮は地上の楽園」キャンペーンのおかげだった。
 「アパートは次々と建てられ」て「工場は二十四時間フル稼働」し、帰還者は「職も生活も一切が保証され」と岩垂弘(いわだれひろし)記者らが臆面もなく嘘を書き連ねた。
 そんな嘘が二十年も繰り返し紙面化されたから、疑り深い彼らも信じる気になった。
 そして帰還船に乗って殺されに帰って行った。

 朝日は彼らが死に絶えたのを待って特集「北朝鮮の素顔」で、あのころの記事は嘘でしたと認めた。「取材の自由もなかった。やむを得なかった」と。では取材もしないで、なぜ誇大に北朝鮮を薔薇色に描いたのかという問いには答えなかった。
 フランスは先の大戦で国内のユダヤ人約八万人をナチに引き渡しアウシュビッツ送りを手伝った。戦後に「占領下だった。しょうがなかった」と言い逃れたが、ではなぜユダヤ人を襲い、墓地を荒らしたかは答えなかった。卑劣漢は似る。
 朝日はこれに懲りて後で嘘がばれても新聞社の責任が問われないようにした。
 嘘を書くときはいい加減な学者を使って責任を負わせる方式にした。
 
日本車が中支の渡河作戦で煙幕を使った。その現場写真を「南昌での毒ガス作戦」に仕立て、藤原彰(あきら)一橋大教授に「そうです。これが毒ガスです」と語らせた。
 この嘘がばれると、朝日は藤原教授に責任をなすりつけて知らぬ顔をした。
 米国は社会保障番号で個人情報を一括管理する。
 家を借りるのも税を納めるのも銀行口座をつくり、自動車免許を取るのもこの社会保障番号がないとできない仕組みにしてある。
 日本も大化の改新からの戸籍をやめ、社会保障番号に替えようとしたが、朝日新聞が反対した。
 朝日は造語がうまい。これを国民総背番号と名付け「あなたは番号で管理されていいのか」と国民に嫌悪感を植え込んだ。
 収入を把握されたら例えば在日のパチンコ屋は北に送金もできないし、架空口座もつくれない。不法入国した支那人は家も借りられない。
 朝日の反対論の背景にはだから支那、朝鮮の意向があったわけだ。
それがばれたとき用に朝日は白鷗大教授の石村耕治を使った。
 彼は米国では社会保障番号が盗まれ、なり済まし犯罪が横行しているという嘘を語った。
 朝日もニュースで黒人が白人になり済ました「ターリー事件」を報じた。
 しかし社会保障番号には皮膚の色も目の色も登録されていて、それがこの事件を未遂に終わらせたカギになったことは隠した。
 かくして社会保障番号制は見送られ、北朝鮮は日本からの豊かな送金をもとにテポドンを開発し、支那も不法入国者をどしどし増やしている。
 
先日の朝日の夕刊シリーズに四十年前、都立北高校をバリケード封鎖した名もない高校生、池田某の話が載っていた。
 彼はそれで高校中退。その後は全逓に入って騒ぎ続け、免職され、その後も騒ぎ続け二年前に懲戒免職無効の判決で復職した。
 連合赤軍に入った加藤倫教(みちのり)も取り上げていた。 当時十九歳だった彼は兄弟と一緒に妙義山のアジトにこもる。そして事の成り行きで自分の兄を「総括」して殺した。ほかに十一人の仲間も殺して埋めた。
 二人とも未熟だった。彼らの一時の気の迷いを当時、あおりにあおったのが朝日新聞だった。シリーズはその大罪を謝罪するのかと思ったら、違った。
 シリーズは加藤みたいに安保反対で人生を狂わせた者が集まって「九条改憲阻止の会」を立ち上げたと報じる。
 どうせダメ人生だろう。もう一度「反逆の心」を思い出して表で暴れたらどうかとけしかける。
 彼らは朝日が生み出し踊らせた挙句の廃物だ。そんな廃物を朝日が再利用する。
 いいアイデアと思っているところがこわい。
 (2009年10月8日号)


米・民主党が日本をしゃぶり尽くす P211

 クリントンの告白テープ本で、彼はやっぱり極めつきの日本嫌いだったと先週の週刊新潮が伝えていた。
 彼が大統領選に出た年にこちらは特派員としてロサンゼルスに赴任したから、彼のことはよく観察できた。第一印象は「とても軽薄」だった。
 それが間違ってなかったのは州知事時代の部下、ポーラ・ジョーンズに裸の下半身を見せて訴えられたり、研修生のモニカ・ルインスキーをホワイトハウスに引き込んでblow-jobをやらせたりとか、後に明らかになった行状がよく示している。
 反日の方は最初それほど鮮明ではなかった。シアトルでのAPEC総会では日本の首相、細川護煕に媚び、子犬のようにまとわっていたほどだった。
 考えてみれば片や四百年の家系を持つお殿様。対して彼はアーカンソーの貧農の出だ。育ちが違う。
  人間そういう時は自然と腰が引ける。気が付いたらお殿様の前で揉み手をしていたという感じだった。
 実はこれが反日への転機だったと言われる。彼の卑屈な姿が米白人社会で問題になって、彼は日本を逆恨みした、と。
 彼の職業はいかにも民主党的な弁護士だ。別名アンビュランス・チェイサー。救急車が走っていけば追いかけて訴訟ネタを探す。
 彼は日本への仕返しを考えたとき、ふと大統領選さ中にあったジョージア州での対トヨタPL(製造物責任法)訴訟を思い出した。
 原告は白人青年。カローラで走っていたらアクセルが戻らず、トレーラーに追突して負傷した。カローラに重大な欠陥があったという訴えだった。
 トヨタは事故車を調べて何の欠陥もないことを科学的に証明した。原告は原因をブレーキ故障にすり替えた。
 それも科学的に否定されると、今度は「マットが折れてアクセルが戻らなくなった」と三度も訴因を変えた。
 まともな法廷なら訴えを退けるが、ここは米国だ。
 トヨタがマットの曲がり方まで科学的に解明できないと知ると法廷は喜んで二百万ドルの賠償を命じた。
 しかし米国に媚びる日本の外交官も特派員もこのいびつな裁判に抗議の声すら上げなかった。
 日本に何をやっても政府もマスコミも騒がない。いいカモだ。クリントンは各政府機関にこのトヨタ訴訟をモデルに訴訟を起こせと命じた。
 司法省は三菱油化やダイセル、ペンタックスを法廷に引きずり出した。
 訴訟内容はトヨタと同じ、単なる言い掛かりで、例えばペンタックスは組立工場を香港から深川に移す時期に「組立は香港」とした表示は偽りだとされた。確かに部品の何%かは操業を始めた深川でやっていた。それで司法省は数千万ドルを脅し取るのに成功した。
 別の政府機関は三菱自動車を「女性蔑視の日本的風土を米国に持ち込み、セクハラを推奨し、文句を言う女性従業員はクビにした」と訴えた。
 クリントンはこの訴訟のために日本人ヅラしたポール・イガサキを任命し「日本では女に人権がない」と語らせた。日系人が言うのだから人種偏見には当たらないという工作だ。
 反日のニューヨーク・タイムズが喜んでこの政府の嘘で捏ねた訴訟に乗っかって三菱を叩いた。
 こうした人種ステレオタイプ化を非難してきたユダヤ系議員も黒人のジャクソン師も、日ごろを忘れてひたすら日本叩きに走った。
 かくて「バターン死の行進」と同じ。白人が騒げば嘘でもホントになっていく。
 クリントンの読み通り日本の政府もマスコミも沈黙したまま。三菱は孤立無援の中で三千四百万ドルを米政府に脅し取られた。

 彼のあとブッシュ共和党政権の八年間、民主党弁護士は沈黙した。対日本企業訴訟は一件もなかった。
 先日、米国でレクサスの事故に絡んで「マットが折れてアクセルが戻らなくなった」とどこかで聞いたような騒ぎが報じられた。
 アメ車も欧州車も敷くマット。それが日本車に限ってなぜか折れて事故を起こすというミステリー話ではない。
 米国に民主党政権が帰ってきました、阿漕な対日訴訟がまた始まりますよという徴と見てほしい。

 (2009年10月22日号)


アアフガニスタンに援助はいらない P223

 アフガンを初めて訪れたときは杏の花が咲き乱れていた。村人は畑を耕し、羊を追っていた。長閑そうに見えたが、それは見かけだけだった。
 道が鎖で通せんぼされていた。「この道を直した。通りたかったら金を払え」と髭の若者が言った。傍らにAK47があったから言われるまま金を払った。
 峠で孫を連れた老人が我々の車に手を挙げた。ヒッチハイクのつもりかと速度を落とすと、タジク人のガイドが「駄目だ。轢いてでも逃げろ」と言った。
 加速して通り抜ける。老人がマントに隠しもっていた銃を構える姿をバックミラーで確認した。
 彼らは獲物を見つけると畑を耕す手を休め、みんなで追いかけて仕留める。それが鹿でも狐でも異邦人でも同じことだった。
 同じころ、早大の学生ら四人がインダス川をカヌーで下っていて誘拐される事件があった。
 ダコイト(盗賊)の犯行だと新聞は書いたが、正しくは、羊を追っていた村人が川を下る獲物を見つけた。みんなで捕獲して金目の物を奪った。人間の方は適当に処分するつもりだったが、学生についていたガイドが機転で命を助ければ身代金が取れると説得した。
 おかげで早大生は助かったが、要するにあの国の民はみなダコイトなのだ。
 アフガンにはパキスタンのクエッタからピシン峠越えで入った。
 本当はハイバル峠を下ってトルハムから入る予定だったが、入国管理人が七千ドルを吹っかけた。役人までダコイトだった。
 ピシン峠の検問所は別に金を要求しなかったが、その先にあるスピンバルダックは村ごとダコイトだった。
 街の広場に鹵獲したソ連軍の兵員輸送車があった。それを見ていたら、彼らが襲う準備をしているとタジク人ガイドが教えてくれた。彼はこの辺のパシュトゥン語を知っていた。
 さりげなく車に戻り、猛スピードで脱出した。
 だいぶ後にやはりクエッタからピシン峠のコースでテレビ朝日のカメラマンがこの村に入り、村人に身ぐるみ剥がされた。幸いガイドがいたから三万ドルの身代金で救い出された。
 同じコースを数年前に広島の中学校教師二人がたどった。当然この村も通ったはずだ。
 二人が読んでいた朝日新聞は「アフガンの人はいい人ばかり」と書いていた。
  アフガンで井戸を掘る中村哲の「丸腰の美学」もよさそうに取り上げていた。朝日歌壇では「米軍が地雷を敷設して誰もいないアフガンの村には砂舞うばかり」とも載せた。

 アフガンに地雷を撒いたのはソ連だ。米軍は入ったばかりでまだ地雷は撒いていない。
 二人はそんな朝日新聞の嘘を頭から信じて無邪気にカンダハルからハイバル峠に抜けるプランを立てていた。
 二人はアフガンに入ってすぐに襲われて金品を取られた。しかし、ガイドのいない悲しさ、身代金話も出ないまま頭を撃ち抜かれて殺された。
 中村医師の丸腰の美学を信じたNGOの若者も昨年夏にアフガン人に拉致され、撃ち殺された。 「アフガンはいい国」と書く朝日は現地に記者は出していない。嘘は東京でも書けるからだ。
 しかしニューヨーク・タイムズ紙は違う。カブールに支局を出し、「もう二度も記者が誘拐され、助手が殺されている」(メルマガ「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」)。
 アフガンはペルシャもロシアもインドも中国も眼下に見下ろす。ここを制すれば世界の覇者になる。
 それでアレクサンダー大王もジンギス汗も英国も征服を試み、失敗した。最後のソ連は崩壊までした。
 それはここがダコイトの国だからだ。正規軍もない。普段は羊を追う。カモが来れば襲う。それでみんなやっつけてきた。
 今回は米国が出てきたが、ペトナムにも勝てなかった国では無理だろう。
 それは米国の勝手として、困りものは鳩山由紀夫だ。彼はアフガン人を無職だと信じて五十億ドルも出して職業訓練をさせるという。
 兼業ダコイトにあとどんな仕事をやらせる気だ。
 (2009年11月26日号)


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