ここ雪国でも春の気配が感じられるようになった。せせらぎも水量が増えてきたし、
雪の下では「ふきのとう」が育っているんだろうなぁ。
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じいちゃんが言っていたんだけど、ふきのとうは苦いんだよ。だから、子供は食べられないんだ。なのに、僕はふきのとうを採りに行くんだよね。採りに行くといっても、家の回りの土手やあぜ道なんだけど・・・。 ふきのとうは雪の下で大きくなっていて、 せせらぎ沿いの土手の雪がざーっと崩れたりすると、「僕、ずーっとここにいたんだよ」とでも言いたげに、 少し恥ずかしそうに顔を出すんだ。 雪が消えた後の地面から顔を出す草の芽なんかと違って、手品で何かがぱっと出てくるように・・・、 「ばあぁ」って、春の日がまぶしそうに顔を出すんだ。
僕はその事を知っているから、下のほうが溶けて穴があいているような所を見つけると、スコップを構える。
「ふきのとうは雪の下で大きくなっている」といっても、今の季節は、雪解けの後のように沢山あるわけじゃない。
せいぜい2個か3個見つけるのがやっとなんだ。
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だけど、おいらがふきのとうを採りに行ったのは、じいちゃんに誉められるからだけじゃないんだ。その頃は除雪が行き届いていなかったし、降雪量も多かった。 数ヶ月間は雪に囲まれて過ごしていたわけで・・・・、久しぶりに土や緑を目にした時は感激するのだった。
今は当時と比べればとても過ごしやすい。ありがたいことである。
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