【 就業規則を巡って 】


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 「もし何々だったら」と仮定して想像することは悪いことではないだろう。そこで「もし、私が経営者だったら」という仮定をし、勝手な思いを書いてみたい。
 私が経営者だったら、会社の運営には信頼関係を基本としたいなぁ!。信頼関係の必要性、そのことを就業規則の扱い等から考えてみたい。

 いまさら言うまでもない事で恐縮だが、就業規則とは労働基準法で作成が義務付けられて(106条)いるもので、簡単に言うと、会社(使用者)が従業員を使用する場合の約束のようなものである。(私は労働法に詳しいわけではないが・・・。)
 休日をどうするのかとか、定年は何歳だとか、忌引き休暇をどうするかなどということをきめて文書化し、労働基準監督署に届け、従業員に周知させることによって効力を発する。

 細かい取り扱いについては割愛させていただくが、このサイトをご覧いただいている方であれば、そういったこともネットを検索して確認することが出来ると思う。そういったことをきっかけにして労働法に馴染んではいかが?。

 就業規則が大切である理由は信頼関係が大切であることと同じである。きちんとした就業規則は会社にとっても従業員にとってもよいことなのである。
 会社経営に信頼関係が大切だと思う使用者は、作成や改訂などをきちんと取り扱うだろう。一方で信頼関係など不要だと考える使用者は、従業員に「就業規則も無いようでは信頼関係も築きにくいから作って欲しい。」と言われてしぶしぶ作り、「とりあえず作っておけば良い」とばかりに、それが20年も前に作ったもので時代遅れになっていたとしても放っておくかもしれない。

 就業規則はどの従業員にも同じように適応されるし、去年と今年の取り扱いが違うなどということも無い。従って、それをきちんとしておけば、えこひいきやうっかりによる社内トラブルの発生を防止できる。

 例えば「3年前にAさんが定年退職した時は60才だったが、今年Bさんは58才で定年退職だと会社から言われた。」というのでは、その従業員は困ってしまうし、他の従業員だってそのような扱いをする会社に不信感を持つだろう。そんなことで従業員は会社に信頼を置いて一生懸命働くだろうか?。「つべこべ言わせないで働かせる。労働力は余っている。」という考え方には何も言うことは無い。
  一方で会社にとっては、社長や家族の気にいられた者が優遇されるという仕組みのほうが命令しやすいし従業員を使う上で便利だと思うかも知れないが、大分時代遅れの発想である。良く考えてみることである。 自らの周りにイエスマンだけを集めた経営者が、低成長の時代に他の企業との競争力を持った会社をプロデュースしていけるんだろうか・・・。ある調査会社が作った「危ない会社の見分け方」というマニュアルの中で、経営者に関することのチェック項目に「取り巻きを作る」というのがあったが、そのとおりだと思う。

 従業員が労働基準法や就業規則などを知らないことを幸いとして、従業員をごまかそうと思えばできないことはないかもしれない。しかしそういったことは法律で禁止されているし、時代遅れの考え方であろう。
 会社は労働基準法や就業規則などを従業員に周知させなければならないことが規定されているし、前に書いたようにネットなどでいくらでも調べられるし、労働基準監督署などでも相談にのってくれる。ごまかしきれるものではないのである。だから「従業員の権利は権利として認め与える、一方で従業員はきちんとした扱いを受けていることに応えて一生懸命働く」という前向きの関係の方が望まれるのである。

 それは、年休の取り扱いなどでにも言えることである。
 年休を取らせなければ、従業員に20日分タダ働きをさせることが出来る。それは人件費抑制を経営方針の基本に置こうとする立場にとっては魅力的である。しかし本来、人件費抑制は生産性のアップで考えるべきであろう。
 なるべく取得させないための仕組みを作ったり、年休を取得したことで皆勤手当をカットするのはNGであることや時期変更権の行使はどの程度で可能なのかなどを無視する会社もあるのではないだろうか。

 「説明やお互いの納得(就業規則はここに入る)に基いた信頼関係のある会社」と「嘘やごまかしでその場をつくろう信頼関係のない会社」があるとしたら、後者で働きたいという人はいるだろうか?。
 「理想論でしかない」という声も聞こえてきそうだが・・・・。



<<< 補足 >>>

 就業規則等について労働基準監督署で伺ったことがあったが、とても参考になったので、その要点を記しておきたい。

Q:就業規則の有効性について
A:就業規則の有効性は、届出以上に周知が重要なポイントである。

Q:就業規則の閲覧について
A:使用者には労働基準法や就業規則を従業員に周知する義務がある(労基法106条)が、使用者が見せてくれない時は労働基準監督署での閲覧も可能である。


Q:労基法90条において、労働者の過半数を代表するものの意見を聞くばあい、役員は代表するものとなれるかということについて
A:表面上の役員(例えば労働時間に基いて賃金をもらっているなどがこの場合かもしれない)に過ぎないようなケースでは、代表する可能性が無いとは言えないが、一般的にはならない。

Q:変形労働時間制の実施について
A:これを実施するには、就業規則で規定するとともに毎年の届出が必要である。したがって実施する可能性があれば就業規則には「変形労働時間制を実施することもある」という決め方をすれば良い。
これを試験的にやる場合は就業規則は必要無いとは言えない。



Q:年休の時季変更権について
A:「一日における休暇の希望者が2名を超えるときは、代休または年休を許可するのは2人までとする。それ以外は欠勤の届けを出せ。」という言い方はかなり問題がある。

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