(この記事は数年前に書いて、そのままになっていたものを平成25年3月にアップしたものです。) 先日スーパーに行って、棚に並んでいるワインの表示を見てきました。 何本も見ましたが、原材料を書いているものはありませんでした。 例えば「国産ぶどう使用」というようなものはありましたが、それは原材料表示ではありません。 原材料表示は使用している原材料を全て記載することですから・・・。 ただし水は記載不要ですし、他にも例外はあるかも知れません。 国税庁のサイトがありますが、それを見ても分かるように、酒について指導監督しているのは国税庁です。 ↓ http://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/sake.htm したがって、「ワイン(法律上は「果実酒」)には原材料表示をする必要はない。」としているのは国税庁のようです。 というよりも、原材料名の表示が義務付けられているのは清酒くらいで、ビールも焼酎もウイスキーもその必要ない。 それらに表示しているのはメーカーの誠意です。(ただし、表示の義務が無いのに書いているのですから、もしかしたら書きたくないものは書いていないかもしれませんね。) こんないい加減な指導監督をやっていてるというのにはびっくりです。 もっとも、彼らの仕事は税を集めることであって、国民の健康や利益などは眼中に無いのかもしれません。 「だって法律がないんだもん。」ではなく、国民の健康や利益を少しでも考慮するなら制定のために努力したってバチは当たらないと思う。 さて、酒税法によれば、次のようになっているようです。 ---ここから--- 果実酒(ワインも果実酒に分類されます)の原料として使えるものは、果実だけでなく、「砂糖、ぶどう糖又は果糖(糖類)」と「ブランデー、アルコール若しくは政令で定めるスピリッツ(ブランデー等)」もあります。 糖類は、「糖類の重量が果実に含有される糖類の重量を超えない」かつ「ワインの重量の100分の10を超えない」量であれば許される。 ブランデー等も、出来上がったワインのアルコール分の100分の10を超えなければ許される。 ---ここまで--- 私は法律は苦手なのですが、それに基づいて、ワイン造りをシミュレーションしてみましょう。 大雑把な数字で恐縮ですが・・・・。 糖度が10%のぶどうジュースが900ml、それと同じ糖度のリンゴジュースが100mlあって、それを混合します。 これは単純に考えると1000mlの中に糖が100g溶けている状態ですね。 発酵によってどれだけのアルコールが出来るかは、元の液体の糖度に係わってくるそうで、糖度の50~60%がアルコール度数になると考えて良いようです。(ちなみに糖分がどれだけアルコールに変わるかによって、甘口か辛口の分かれ目になりますね。) したがってこの場合だと、(55%として)10×0.55=5.5%のアルコール分できる可能性がありますが、果実酒(ワイン)なら12%くらいあっても良いですよね。 そこで砂糖の登場です。 加える糖類の重量が果実に含有される糖類の重量を超えなければ良いのですから、この場合は砂糖を100gまで入れることが出来ます。 単純に考えて、糖度が20%のぶどう・リンゴジュースが1000mlですから、これを発酵させるとアルコール分11%の果実酒(ワイン)が1000mlできました。 アルコール度数12%にはまだ1%足りませんから、その分は醸造アルコールを加えて補いましょう!。 さあ、このようにして果実酒(ワイン)が出来たわけですが、この場合の原材料は「ぶどう、リンゴ、砂糖、醸造アルコール」ですよね。 この果実酒をビン詰めして、ブドウの房を印刷してたラベルを貼って、棚に並べて置いたら「ブドウ100%のワイン」だと思う人は少なくないでしょう。 リンゴジュースも使っているし、砂糖は100gも使って、醸造アルコールも入れているのに、それでも原材料は表示しなくても良いというのです。 これでも、皆さんは表示は不要だと思いますか?。 私は必要だと思います。 (素人のシミュレーションであり、法律解釈などが間違っていたら、ご教授ください。) |